釘さん日記

ポニョを観た日

なぜだか分からないが、「観てみたい」衝動に駆られて、豊洲のユナイテッドシネマに向かった。

『崖の上のポニョ』。ご存じ、宮崎駿の久々の監督作品である。

「なぜだか分からない」と書いたが、たぶん「久々に童心を味わってみたい」と思ったからだと思う。

朝いちばんの回に入場した。周りは小さな子供連れのファミリーばかり。単身で来ている僕はしかし、不思議なことに、恥ずかしい気持ちには一切ならず、上映を待った。

宣伝や予告編のあとに始まった。

ほほう…と感心しながら、しばらくはスクリーンに集中していたが、そのうち、次第に心が離れていってしまった。アニメだし、童話なのだからしょうがないのだが、「あり得ない話」に気持ちがついていけないのだ。

うーん。こりゃいかん。童心を味わうどころか、童心を味わえない自分を発見してしまった。きっと自分が5歳くらいだったら、映像の中にはまり込んでしまったろうに。

ところでこの映画、賛否両論らしい。もちろん、賛否を偉そうに言っているのは、大人たちだ。

アホかと思う。

この映画に賛否をいう資格があるのは、子どもたちと、幼い子どもたちの気持ちになることのできる純粋な人たちだけだ。

なので、僕は何も言う資格がないのだ。批判するとすれば、幼心に戻ることのできなかった自分自身だろう。

 

午後は傾斜角を最大(15度)にしてのウォーキング。きょうは両手にはダンベルではなく、文庫本を持った。

この手に持った文庫本、実は先日観た映画クライマーズ・ハイの原作本(横山秀夫著)なのだが、実に面白かった。

傾斜角15度を時速5Kmで、ゆったりゆったり歩きながら、小説の世界に入り込んでしまった。気がつけばランニングマシンの制限時間(90分)が来てしまっていた。

しょうがなく、筋トレを済ませたあと、更衣室に引き上げた。そして、シャワーを浴びたのち、休憩用の椅子に座って、また続きを読んだ。

約2時間で読破。

いやあ、面白かった。映画も面白かったが、やっぱり小説は深みがある。映画のスクリーン以上の風景や登場人物の心象風景が、頭の中に広がっていく。人間の脳みそって凄いもんだ。

『ポニョ』では幼心に戻れず、ちょっと落ち込んでしまった僕なのであるが、午後、硬派な小説にのめり込めたことで、 「オヤジにはオヤジなりの感動の仕方があるのだ!」と自信を取り戻せた。

以上、朝から文化的な(?)休日を過ごした日であった。

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