アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融不安。ここまで全世界を巻き込んだ金融市場の混乱に発展するなんて、一年前は誰も思わなかったのではないかな。
超エリートが、超高収入で、超ハードに働いている外資の金融機関。特に投資関連事業には、賢い連中が集まっているという印象がある。その連中が中心になって、今回の混乱を引き起こしたのは、実に皮肉だ。
そしてその混乱が、ついに日本にも押し寄せてきた。
日本の金融関係者も(政治家や官僚や日銀も含んで)、大きな投融資をジャッジしたり、金融商品を生み出している連中には、ずば抜けて賢い連中が多いはずだ。
賢いならば賢いなりに、自分たちのミッションをぜひ果たしてほしい。というより、いま一度、自分たちのミッションが何であるかを考えてほしい。
汗をかかない虚業が、汗をかきながら地道に実業を行なっている会社を、倒産に追い込んだりしてはいけない。
特に中小企業はたいへんだ。大きな仕事を大企業から受注したのはいいが、その大手企業から、突然代金の支払いを引き延ばされている。それじゃ予定していた材料費やら外注費やら人件費が払えない。そんなときのために資金を融資するはずの銀行なのに、そっぽを向く。いや、そっぽ向くどころか、貸し剥がしまで行なう。手形が決済できない。不渡りだ。
結局、「お金」という輸血さえあれば潰れなくても済んだはずの中小企業の多くがいま、見殺しになってしまっている。
行政は、中小企業向け金融対策を打ち出し始めたが、ぜひ手遅れにならないようにしてもらいたい。
金融機関は、とにかく、真面目にこつこつと実業を行なっている会社を潰してはいけない。潰すべき虚業の会社と、潰すべきではない実業の会社を、真剣に区別してほしい。決して表面的な数字だけの(コンピューターにインプットして、コンピューターがアウトプットする指示に従うだけの)判断はしないようにしてほしい。人間なんだからね。高い志を持ってほしい。
・・・と、自分の会社の金融対策が一服した日に、中小企業の社長でもある僕は、冷静に思うのでした。