今夜は1ヵ月以上前から計画されていた“お見合い”の実行日。仲人は、この僕である。
ふたりとも、僕の古くからの友人。ひとりは、26年前からの付き合い。ひとりは、10年前からの付き合い。
・・・ということは、ふたりとも随分と熟年。そう。ひとりは、今年50歳。ひとりは、今年40歳。まあ、年齢差だけでみると、ちょうどいいバランスかもしれないな。
50歳のほうはMさん。40歳のほうはUさんという名前。
都内の人目につかない小さなお店(しかも三畳もない狭い座敷)で、このお見合いは実行された。
二人が会うのはもちろん初めてなのだが、UさんはMさんのことを以前から知っており、憧れていたという。なので、最初はたいそう緊張していた。Mさんのほうも、Uさんの存在を知っており、Uさんに会うのを楽しみにしていた。
実はMさんから、「Uさんに一度会ってみたいんだけど…」とお願いされたことで、本日のお見合いを、僕が段取りすることになったのである。
Uさんは、憧れのMさんを目の前にして、最初こそ緊張していたものの、少しずつ本領発揮。熱いメッセージがたくさん飛び出してきた。そのメッセージを聞いて、Mさんも大喜び。
ふたりの共通点は、もんのすごい“若者思い”ということだ。心から、若者はこの世の中の財産だと思っている。若者が世の中に巣立つことを、一切の邪心を抜きにして願っている。
ふたりの間に僕も入って、熱い語り合いが始まった。7時ちょうどから始まったこのお見合いなのだが、気がつけば、夜の11時を回って、閉店の時間となってしまった。
帰り際、Mさんが僕に耳打ちした。「いやあー、Uさんって、本当にいい人だね」。
Uさんも、「Mさんに会えて本当に嬉しかったです、クギサキさん、ありがとうございました!」と感動してくれた。
二人に喜んでもらえて、仲人役を引き受けた甲斐があったっていうものだ。
今後、この二人の交際が、本格的に始まると嬉しいなと思う。
が、ひとつ問題点が……。このふたり、両方とも男なんだよね。ま、いいか。