釘さん日記

「ありふれた奇跡」の日

この数週間、なんだかんだ週末にも仕事や用事があり、家でテレビを見るということがなかった。

僕はテレビっ子であり、実はドラマが大好き。

でも、最近のテレビドラマには、品質の高さを感じられずにいた。

ところが、(以前の日記にも書いたが)フジテレビが開局50周年で制作・放映している木曜10時のドラマには、久々にテレビドラマの面目躍如的なところを感じた。

昨年の秋に始まった倉本聡脚本の(緒形拳の遺作となった)“風のガーデン”も良かったのだが、それ以上に良かったのが、山田太一脚本の“ありふれた奇跡”。今週の木曜日が最終回だったのだが、今回も前回も前々回も、3週連続で観ることができずにいた。

普段なら週末に録画しておいたものを観るのだが、冒頭に書いたとおり、この数週間、まとまった時間がとれずに、ずっと溜めてしまっていた。

で、本日。3週間分をまとめて観た。

よかったなあ~~。

淡々としたストーリー展開のなかにドラマがある。「人間」を実に、味わい深く描いている。さすが山田太一だなあと思う。

山田太一テイストを存分に生かしながら演じている役者陣にも感心した。特に、仲間由紀恵、加瀬亮の主役のふたりの演技は良かった。加瀬亮の演技をみたのは、痴漢冤罪の被告人をみごと演じた“それでも僕はやってない”以来だったが、彼はすごいと思う。彼以上にあの役を演じられる役者はいないんじゃないかな。

仲間由紀恵も見直したなあ。彼女の演技力を批判する人もたくさんいるけど、いいですよ、なかなか。きっと大物女優になると思う。

陣内孝則の演技も久々。同年代だもんね。井川比佐志はさすが貫禄。風間杜夫も久々に観たけど、さすが(つかこうへい)劇団員出身だ。八千草薫も久々だったけど70歳を超えてのあの可愛さ。すごすぎる。オメダのお母さん役(33年前のドラマ“俺たちの旅”)のときと、全然変わってなかった。

山田太一がドラマの脚本を書くのは、本作が最後だという。視聴率も思ったほど伸びなかったようだ。いまの若者たちには山田太一の脚本は受け入れられないのだろうか。実にもったいない。

今回のドラマはDVD化されるらしいが、ぜひ「釘さん日記」読者の皆さんには、鑑賞してもらいたいなあ。“ふぞろいの林檎たち”以来の、山田太一ワールドが広がる、味わい深いドラマですよ。

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