今夜の帰り道でのこと。
会社を出たのは夜の10時半ころ。大通り(晴海通り)に入ったすぐのところで、勝どき方面に走っていく自転車と遭遇した。自転車に乗っているのは、若い女性だ。
自転車が僕を追い越したその瞬間、女性は、ポーンと火のついた煙草を歩道に放り投げた。煙草は僕のすぐ目の前をコロコロと転がっていき、天丼屋さんの玄関先で止まった。
「おい、自転車から煙草のポイ捨てとは何事だ! しかも中央区は路上での歩き煙草は条例で禁止されてるんだぞ!! 拾え!!! 」
と、怒鳴ってやろうと思ったのだが、自転車はもう遥か先に行ってしまっていた。
「ったく最近の若いやつらはしょうがないな。しかも女なのに煙草のポイ捨てとは何事だっ」と、ムカムカしながら歩いていた。
築地市場の交差点まで歩いてきたところでビックリ。
さっきポイ捨てをした女性が、信号待ちをしていた。
「よーし、説教してやる!」と意気込んで、その女性の自転車のすぐそばまで近づいた。
顔を覗いてみた。
なんと、かなりの美人だ。しかも、かなりキワドイ服装である(へそが丸みえで胸元も大胆なタンクトップ)。耳にはヘッドホンラジオ。口には新しい煙草をくわえていた。
正直、ビビった。一瞬、声をかけるのを躊躇してしまった。
えぇーいと勇気を振り絞って「お、おい!」と声をかけようとしたときだった。信号がまだ赤なのに(交差する信号が赤にかわった瞬間)、その女性は、猛スピードで走り去ってしまった。
あ、あ、あぁぁぁぁ、ま、まって……と思っても、もう遅かった。
しかもその女性、僕を嘲笑うかのように、またも煙草を横断歩道を渡りきるところでポイ捨てしていった。
く、くっそー!!
ボウリング大会で負けた時よりも悔しかった。この敗北感、かなりのものだ。
なぜ叱れなかったんだろう。
美人だったから? 周囲に人がいて恥ずかしかった? 逆切れされるのが怖かった? ストーカーだと騒がれるんじゃないかと思った?
ビビって躊躇した瞬間、こんなことを考えていたようだ。
ああ、悔しい。
今度こそ、あの女性をみつけたら、叱ってやる!!