僕は今年の春先から、障害者雇用(主に知的障害者の雇用)に関わる仕事を行ってきた。
(現在はまだ)会社の収益に(直接は)結びつきにくい仕事なので、社員を巻き込まずに、まずは僕だけが単独で動いてきた。
その過程は、この『釘さん日記』でも断片的に書いている。
2009年7月 1日 (水) 3社の障害者雇用の現場を見学した日
2009年8月21日 (金) 知的障害者雇用のためのバスツアーを実施した日
きっかけは、今年の春先の某商社の人事責任者の方々との会食(っていうか飲み会)だった。そういえば、この日のことも日記に書いていた(日記ってホントに便利だ)。
2009年3月17日 (火) 社長退任ご苦労様&激励会を行なった日
この日は、某商社の子会社の社長を務めていたFさんの、親会社の人事部長への就任祝いだったのだが、その席で、10年来のお付き合いをしているIさん(その商社の人事部長代行)に、「釘崎さん。今度、障害者雇用の件で相談に乗ってもらえませんか?」と打診され、いつもの調子で、 「喜んで♪」と軽い返事をしたのが、すべての始まりだった。
僕にとって、障害者雇用(特に知的障害者雇用)は、まったく知識も経験もなかった領域の仕事。よく引き受けたものだと、いまさらながら思う。
でも、そのおかげで、さまざまな出会いを得たし、かけがえのない経験もさせてもらった。
知らないことや経験のないことでも、専門家の方々の協力を得ることが出来れば、やれないことは何もない。そんな自信にもなった仕事だった。
・・・と、前振りが長くなってしまった。
本日は、この知的障害者雇用に関する仕事が、ひと段落した日だったのだ。
前回(8月21日)と同じく、コマツ(人事部ビジネスクリエーションセンタ)さん、大東コーポレートサービスさん、スワンカフェ&ベーカリー赤坂店さんを訪ねた。
そして前回以上の気づきと感動を得た。
木村所長(コマツ)と、山崎社長(大東コーポレートサービス)の愛情と熱意と優しさに満ちたお話は、世界最高峰の感動ものだった。また、知的障害者の皆さんのスピーチには、胸がジーンと来てしまった。
ほかにも、たくさん書きたいことがあるのだが、この日記を書いているいま、猛烈に眠くなってしまっている。そろそろ寝ないと、明日の仕事に差し障りがある。この眠気の中、まともな文章を書く自信もない。
でも頑張って、ひとつだけ書く。
それはコマツさんの仕事場の壁に張られていた一枚の紙に書かれていたことである。
聞いてみると、コマツの木村所長が知的障害者の皆さんとの面談の際に、「楽しい仕事や職場って、どんなんやと思う?」と聞いたときのナマの答えを、まとめたものだという。
長くなるけど、書き写して、本日の日記を終えようと思う。(読者の皆さんの感想などいただけたら最高であります)
『楽しい職場・仕事』
○笑顔が絶えない職場(毎日、来たくなる職場)
○一緒に楽しく働く仲間がいる職場
○お母さんが安心してくれる職場・仕事
○ちょっぴり緊張感がある仕事
○注目を浴びる職場
○将来に(自立・自活の)希望がある仕事・職場
○お給料がよそよりたくさんもらえる仕事
○人に自慢できる職場や仕事
○自分にとってやりがいのある仕事
○達成感が味わえる仕事
○責任がある仕事、責任をもたらせてもらえる仕事
○自分の能力が伸びていることがわかる職場・仕事
○ぜったい辞めたくないと思う仕事・職場
○他の人より褒められたり、感謝される仕事
○ちょっぴり競争がある仕事
○がんばって勉強して能力を向上したいと思う仕事
○あったかい職場(守られている・しかってもらえる)
全部、コマツで働く知的障害者の方々から出てきた、そのままの言葉だという。つまり、彼らの職場はいま、上のような職場であり、働くことが楽しいと、心から思えているのだ。
木村所長は、「障害者を採用する基準はひとつだけ。それは“笑顔であいさつができること”。これしかありません」と言い切った。
一方、大東コーポレートサービスの山崎社長は、知的障害者雇用を行う企業(使用者)に必要な条件を、「優しさだけです」と言い切った。
知的障害者雇用の世界を通じて、はたらくことの本質、経営者として大事にしなければならないことを教えていただいた気がする。