昨夜は、採用プロドットコムの寺澤社長と就職ジャーナリストの常見陽平さんと僕の3人で集まって激論を交わした。とても楽しかった。鰹のたたきも美味しかった。
常見さんは(本日のブログでも書いているが)「若者はきっと変身できる」と熱く語っていた。僕もそう思う。そして、就職情報会社もきっと変身できると思う。いや、変わらなきゃいけない。
そして企業も、現在の採用姿勢を変えなければいけない。ぜんぜん透明でも正直でもない採用を行っているのに、オープン&フェアなんて言ってはいけない。本当の採用基準をきちんと学生に知らせるべきなのである。ターゲット校を定めている現実を伝え、ターゲット校ではない大学の学生には早い段階で諦めてもらうべきなのである。それが現実であり、オープン&フェアなんじゃないかな。
一方で、大学も変わらなきゃいけない。大学生のレベルが下がったといわれる現実にどう向き合うか。最近やっと文科省も、大学生を早期から職業人として育成しなきゃヤバイと気づき、施策を打ち始めてきた。でもやっぱり中から変わらなきゃ駄目だ。いちばんは教授・先生・職員たち。学生の身近にいる先生や職員がいちばんの魅力あるキャリアモデルにならなきゃ。社会を、経済を、産業を、なにより働くリアルを、もっと勉強しなきゃ。この国の99%を占める中小企業の凄さを、もっと学生に伝えなきゃ。
そんなことを3人で激論していた。
あ、そうそう。パフにタカタという入社5年目の営業マンがいる。営業成績はいまいちなんだけど、一昨日とてもいい提案をしてきた。提案のタイトルは「就職情報会社に必要なこと」。昨夜はそのことも話題に出た。提案書の中身はさすがにオープンにできないのだが、あとがきだけを下にコピペしておこう。なかなかの名文だ。これからの就職情報会社を変えてくれるのは「売れない営業マン」なのかもしれない。僕も昔(リクルートにいたころ)は、売れない営業マンだったしね。
さて、本日は朝から歯医者だったんだけど、この後は家に篭る。先週、娘とのチャンネル争いに敗れて観られなかった龍馬伝もさっき観た。他にも録りためていたテレビ番組や、買い溜めていた本が山ほどある。時間が足りない。インプットが追い付かないなあ。
では、以下、タカタの提案書の「あとがき」をご覧ください。
1968年。
江副氏が就職ジャーナルを創刊した。
リクルートの営業マンが、鬼気迫る思いで全国からかき集めた就職情報は、圧倒的弱者であった若者にとって非常に貴重なものであった。
また、企業としても(特に中小企業にとっては)、今まで会えなかった人を採用できるという革命的な価値があった。
リクルートがいなければ、新卒文化はこれほどまでに日本に根付かなかったと思う。
リクルートは、闇に包まれた就職情報を学生に開放した革命運動家であった。
それから、42年。
就職業界は、江副氏のモデルを引き継いだだけであり、本質的には何も変わっていない。
それどころか、長い年月を経て、革命家は独裁者となった。
ナポレオン、カストロ、レーニン、金日成 、毛沢東。いずれも長期にわたる権力が革命家を独裁者に変えた。
Rは、独裁者である。
学生のための情報の公開という思想を忘れ、情報の独裁者になった。
企業はRがいなければ採用ができなくなったし、それだけならまだしも、自分のライバルを市場から締め出そうとしている。
まさしく、独裁者である。
就職業界は変っていないが、世の中は変ってきている。
テレビは見られなくなり、音楽が買われなくなり、新聞・雑誌も読まれなくなった。いつでも低コストで、文字、写真、音声、映像を簡単に伝えられるようになった。
世の中に情報の独裁者は、必要がなくなってきている。
独裁者が操作する情報をありがたく受け取る必要はなく、情報はみんなで発信し、みんなで共有するものになった。
もう一度、歴史の話に戻るなら、独裁者は、常に民衆の力によって駆逐される運命にある。
今度の革命は、一人の天才が起こすものではない。一人ひとりが自分の範囲で起こすものだ。
もう一度、就職情報を学生の手に。
就職情報会社に操作された情報ではなく、働く人の生の情報を学生のもとに届ける。
今学生に必要なのは、誰か知らない人が届ける情報ではなく、顔の見える信頼する人が届ける血の通った情報だ。
必要なのは、一方通行の情報ではなく、双方向な情報だ。
もう一度、人々がイキイキと働くことを語れる世の中にしよう。