昨年の11月。オリンピックで2大会(アテネと北京)連続で金メダルを獲得した女子柔道の谷本歩実選手とお会いし、その翌週に開催された講道館杯にご招待いただいたことがきっかけだった。
講道館と全日本柔道連盟が推進している『柔道ルネッサンス』の取り組みを知ったのである。
柔道修業の本来の目的は「人間教育」であった。創始者の加納治五郎師範は、このことを「己の完成」と「世の補益」であると定義づけしている。
つまりは、「人間的に成長した、世の中に役立つ人材を輩出する」ということが、柔道本来の目的であったのだ。
しかるに、そのことから遠ざかってしまった現在の柔道を、本来の柔道の姿に戻していこう!変えていこう!というのが、「柔道ルネッサンス」の取り組みなのである。⇒ 参考:山下泰裕八段による講演(ぜひクリックしてお読みください)
このことに大いに共感し、影響をを受けた(単純な)僕は、パフが創業時から取り組んできた「職サークル」も、いまいちど本来の姿にしていかなければ!と考えたのである。
そして年明けから本格的に、職サークルルネッサンス委員会なるものが会社に設置され、現在の「職サークル」を、どのようにルネッサンスさせていくべきかということが議論されていくことになった。
ぜんぜん目の前の利益にはならないのだけれど、夜中、休日を利用して、ずいぶんと長い時間と労力を、この「職サークルルネッサンス」のために使ってきた。僕だけではない。委員会委員長を務めるホサカを始めとする、有志の社員たちが、たくさんの時間を費やしてくれた。
そして今週、その全体のカタチがほぼ決まった。企画書も出来上がった。絵本(?)も出来上がった。
いよいよ来週から、この新しくなった「職サークル」を世の中に発表し、コアな仲間たちを募っていく段階に移る。
しかし、いきなり大勢の仲間を無理やり集めたいと思っているわけではない。
まずは、趣旨に本気で賛同してくださる方々(法人でも個人でも)といっしょに、「職サークル」が目指す未来を築き始めていきたい。
「職サークル」が目指す未来。それは、
すべての社会人が
当たり前のように
若者たちを見守り
育てていく世の中
である。
そんなことは、学校がやるべき とか 親がやるべき とか 国がやるべき とか 地域がやるべき とか、他人の義務と責任にしたがる大人たちがたくさんいるけれど、そろそろ、そんな責任のなすり合いはやめにしたい。
みんなで取り組もうぜ!
だって、「若者は社会共通の財産」なのだから。
これが僕たちの主張である。
そして僕たちのまわりには、若者を育てるにあたって、とても大きな影響力と能力を有している大人たちがたくさんいるのである。
それは、新卒採用を行っている企業の経営者や採用担当者の方々である。
僕たちは、企業の経営者や採用担当者の方々といっしょに、若者を有為な人材として社会に送り出していきたい、と考えている。
それから、できれば多くの同業者たちにも、仲間になってもらえると嬉しいと思っている。
「学生の純粋で真剣な就職活動を、金儲けの道具として扱ってしまっている現状を、寂しいと感じませんか?」と問いかけてみたい。 「効率化の名のもとに、姑息な(顔の見えない)採用手法や採用ツールを企業に提供していることへの罪滅ぼしをしたくありませんか?」と聞いてみたい。
僕が偶然、就職と採用の業界に足を踏み入れたのが1983年。もう27年も昔のことである。考えてみれば、(途中、寄り道はしたものの)ずいぶんと長くこの世界で仕事をしてきた。
多くの就職情報事業者や、(マニュアル本の執筆者を中心とする)似非就職コンサルタントや、一部の有名企業たちが中心となって演じている茶番劇に対して、怒りを感じたり、ウンザリしたこともたくさんあった。
この世界での仕事をあと何年続けられるかは分からないが、僕個人のビジネス人生においては、最終楽章を迎えていることは間違いないだろう。
だからこそ、次に続くこの業界の若者たちにも、今回の「職サークル」の考え方を広めていけたらと思っている。
まずは、来週のHRプロさん主催のセミナー(HR戦略総合セミナー2010)で講演させていただくことを皮切りに、いろんなところで、「職サークル」を語っていこうと思う。
7月9日(金)は、企業の採用担当者の方々向けに、パフ単独の大型イベント『採用コロンブスの卵~採用活動が変わる12のヒント』を開催する。ここでももちろん「新生・職サークル」を発表する。約200名の集客を想定している。
パフの社員たちも来週の火曜日から、「新生・職サークル第一期協賛企業」の募集を、懇意にさせていただいている企業の経営者や人事担当者の皆さんを中心に、呼びかけ始めることになっている。
来週から、ルネッサンスの活動(まずは仲間を募集する活動)が、一気に始まるのだ。
さあ、「職サークルルネッサンス」の初年度。どの程度の仲間に集まっていただけるのか。いまからとても楽しみである。