昨日はお昼から、神戸芸術工科大学(アート&デザイン系の大学)で、学生の親御さん向けの講演を行った。
お願いされたのは、一ヶ月ほど前(足の指を骨折する直前!)に訪問したとき。縁も恩もあるこの大学からの依頼なので、二つ返事で引き受けた。
引き受けたまでは良かったのだが、さて、親御さんに対してどんな話をしたら良いものか…と、直前(前々日かな)になっていろいろと考えこんだ(もっと早くから考えろよ!と、自分突っ込み)。
まずは子供がどのように親のことを考えているのかを、僕も親御さんも知る必要がある。ということで、パフと関わりを持ちながら就職活動を行った学生(元学生も含む)に聞いてみたのだった。
これが良かった。30名の若者たちが詳しく、丁寧かつ具体的に答えてくれた。心が洗われるような内容だった。
「親から我が子への愛情と信頼」「子供から親への感謝の気持ち」といったものが、よく伝わって来た。
冒頭で、「あなたの就職活動において、あなたの親は・・・」
1.協力的だった
2.とくに協力してもらったという記憶はない
3.陰ながら協力してくれていたのだと思う
4.無関心だった
5.むしろ妨害されたという感じがする
という質問をしたのだが、なんと90%の若者が、協力的だったor陰ながら協力、という回答をしてくれた。しかも、「陰ながら協力」というのが圧倒的に多かったのだ。
それを裏付ける具体的エピソードの記述がまた良かった。ほろりと来るようなコメントがたくさんあった。
ああだこうだ口出しせずに、子供が困っているとき・悩んでいるときにだけ、すっと(恩着せがましいところのないような)手を差し伸べている。我が子の成長をじっと見守りつつ、我が子を信頼し、我が子の選択と決断を尊重している父親像・母親像が、くっきりと浮かんできていた。
僕はこのアンケートの回答内容が嬉しくなって、大学の講演会に来てくださった親御さん全員に、印刷して配ることにした。僕の講演よりも数倍価値のある内容だったんじゃないかな。
で、肝心の講演内容。
前半では、現在の就職と採用の歪な現状をしっかりとお伝えした。若者を一方的にバッシングする世の無責任な風潮を批判し、「効率」を言い訳にした安易な採用を行っている企業の採用スタンスや就職情報業界の無能さ(自己批判も含めて)などをお話しした。さらには、若者を本当に欲している(無名だけれども将来への可能性のある)中小企業に、もっと目を向ける必要性をお話しした。
中盤では、「若者を社会共通の財産」ととらえ、「すべての社会人が、当たり前のように、若者たちを見守り、育てていく世の中」を実現させる取り組である「職サークル」の話を、絵本の朗読を交えてさせてもらった。
そして後半では、僕が「うまれよ塾」で話している内容を親御さん向けにご紹介した。
1.レンガ積み職人の話
2.職業に貴賎なし
3.「はたらく」の意味
4.キャリアの80%は偶然によって決まる
5.偶然を活かしてキャリアを成功させるための5つのスタンス
といった内容だ。
締めは、おきまり、「うまれよ」(うそをつくな、まけるな、れいぎただしく、よのためひとのため)である。
いつもは、学生や企業の人事担当者を対象に話をすることの多い僕なのだが、こうやって親御さんに対して直接訴えかけることも大切だと改めて感じた。
そういえば講演後、ひとりの親御さんが僕のところに来てくださったのだが、なんと某大手組織の人事労務の課長さんだった。仕事に悩む多くの社員たちに、本日の話を聞かせ、「職サークルの絵本」を配ってあげたいということだった。嬉しいことではないか。
あらためて講演の機会を与えてくださった、神戸芸術工科大学(とくにキャリアセンターの日比さん)に感謝!なのである。
日比さん、ホントにどうもありがとうございました。