今朝はめずらしく涼しい。東京・月島の自宅で迎える朝。窓から気持ちのいい風が入ってきている。それだけで、なんだかとても幸せな気分だ。このままの気持ちよさで一日過ぎればいいんだけど…。
ところで昨日は、福井商工会議所(主催はふくいジョブカフェ)にて、「人財経営実践塾」という、企業経営者や人事担当者を対象とした講座の講師を務めさせていただいた。
僕はもともと、福井県とは縁もゆかりもない人間だったのだが、いまから10年前、たまたまのご縁で学生向けの講演を引き受けたのがきっかけで、以来ずーっと毎年のように福井にお邪魔している。今年はこれで2回目かな。
いつもは学生向けに講演をすることが多いのだが、今回は企業向け。
しかも今回は講演ではなく、少人数の経営者や人事担当者を対象とした「講座」。いわゆる研修みたいなものである。
ということで、「若者の採用を経営的な視点で考えていただくための研修プログラム」を、この講座のために作成した。
参加人数は15名。3名ひと組のチームを5つ作って、チームごとにワークを行ったり、ディスカッションしていただいたりした。
会社も業種も規模もバラバラのみなさん。年齢も(推定)20代~60代までバラバラ。どうなるかなあ…と、少し心配したが、みなさんとても素晴らしいチームワークで、活気あふれるワークや議論が展開された。
・そもそも採用を行う目的って?
・採用がもたらすメリットとデメリットとは?
・採用が、自社以外のところ(世の中)にもたらす効果とは?
こんなことを議論していただいたのだ。
「そもそも論」というのは、日常の仕事の中でやる機会があまりない。こういう場所で、ぜんぜん違う会社同士で語り合うことそのものに価値があると思うのだ。
他にも、ケーススタディを行ったり、データの解説をおこなったりと、結構盛りだくさんだったように思う。盛りだくさん過ぎて最後時間が足らなくなり、用意していたワークを全部やれなかったのは反省であり心残りだった。
僕が最後の方に提示した、「地方の中小企業にとって大事なこと(七カ条)」は、我ながらイケてるのではないかと思う。
ちなみに以下の内容だ。
①メディア(○○ナビなど)だけに頼らない。
②人脈を駆使し足で稼ぐ。とにかく会う。とにかく語る。
③目の前に居る若者を、自社のビジョンをいっしょに達成してくれるかもしれない将来の「仲間」だと考える。
④目の前の若者がたとえ未熟な若者であっても、自社の採用対象になりえないと思っても、態度を変えない。本気で目の前の学生の成長を願ったコミュニケーションをこころがける。
⑤自社を愛す。地元を愛す。人を愛す。
⑥優秀な学生を採るのではなく、自分たちが育てて優秀にしたい学生を採用する。
⑦そんな思いを伝えられるホームページをしっかりと作る。
特に⑥(優秀な学生を採るのではなく、自分たちが育てて優秀にしたい学生を採用する)は、中小企業だけではなく、あらゆる企業にとって大切なことなのではないかと思う。人事だけではできないことだ。現場の社員を最大限巻き込んでいくことが大切なのだ。
採用の目的は、採用することではない。会社を強く逞しくし、長きにわたって存続可能な組織にしていくことなのだ。採用活動は、そのための社運をかけた投資活動なのだ。
後半の講義の場面では、(パフが4年前から2年間かけて取り組んだ)熊本県の某中小企業の経営改革プロジェクトの事例も紹介させていただいた。会社の組織・風土改革を、新卒採用活動を通じて成し遂げた好事例なのである。
150人の会社なのに、新卒採用のために約50名の社員がプロジェクトをつくって精力的に取り組んだ事例だ。優秀な社員が採れただけではない。同時並行で行った人事制度改革や研修との相乗効果もあり、社員全員の意識改革が促進されたのだ。自ら考え自ら動く優秀な人材へと成長していった。そして熊本県下の他の企業や大学から注目を集める会社になっていった。当然業績も、みるみる改善していった。自分たちが採った新人を、社員全員が心から喜んで迎え入れた。
いやあ、懐かしいな。昔話をしていたらついつい話も長くなった。
ともあれ、たまにこういう講座の講師を務めるというのはいいことだ。キチンと勉強するし、自分の考えも再整理される。
参加された15名のみなさん。福井商工会議所(ふくいジョブカフェ)の皆さん。昨日はどうもありがとうございました!!
・・・といいつつ、また9月8日に続編が行われることになっている。
次回は、毎年少人数ながらも欠くことなく新卒採用をやり続け、高い業績を維持しておられる新潟県の某中小企業の採用責任者をゲストにお迎えして、いろんな話を伺うことにしている。実はパフの協賛企業でもある。僕自身、とても楽しみなのである。ガンバろっと。