釘さん日記

山崎ハコにはまった夜

 この日記の読者の皆さんの中で、山崎ハコのことをご存じの方はどれくらいいるだろうか。

僕より3歳年上の個性的なフォークシンガーだ。

出身地は僕が育った大分県湯布院町のそば(といっても結構遠いけど)の日田市。僕が中学3年生のころにデビューした。出身地も年齢も近いので注目はしていたのだが、暗い曲が多かったため、それじゃなくても貧乏で孤独で暗かった10代の頃の僕は、ちょっと距離を置いていた。そして最近では、その存在さえも忘れかけていた。

ところが本日、実に久々に(30年ぶりくらい?)、山崎ハコの歌声を聴いた。

先週の土曜日のBS2で放送されていた、「大集合!青春のフォークソング」という番組に出演していたのだ。

南こうせつ、イルカ、泉谷しげるの3人が司会の(僕ら世代にとっては)贅沢すぎる演出。出演者は他に、山本潤子、ばんばひろふみ、杉田二郎、遠藤賢治、そして、まさかの小椋佳など。すごい番組だったのだけれど、先週は途中からしか観ていなかった。

それで、今夜あらためて録画しておいたものを最初から観たのだが、前半に登場した山崎ハコの歌う姿に、思わず身震いしてしまった。

最初は、「あれ?山崎ハコだ。久しぶりだなあ。歳とったけど、なんだか雰囲気あるなあ」と思いながら、司会者とのやりとりを眺めていた。

何を歌うのだろうと思ったら、なんと阿久悠が作詞した「ざんげの値打ちもない」。1970年に流行った唄で、北原ミレイという歌手が歌っていた。ジャンルはフォークではなく、いわゆる歌謡曲である。天才・阿久悠が生みだした詞の中で、僕がもっとも好きな唄なのだ。

山崎ハコがギターを抱えて歌う「ざんげの値打ちもない」は、女の情念と切なさと悲しさとやるせなさみたいなものが、これでもかというくらいに込められており、ほんとうに「凄い」としか形容のしようがない。昔は敬遠していた歌声だったのだが、30年の歳月を経てあらためて聴いてみて、その素晴らしさに初めて気づいた。

歌も素晴らしかったのだが、ギターの音がさらに素晴らしかった。ギターを弾いていたのは安田裕美。小椋佳の昔のレコードは安田裕美が編曲とギターを担当しており、僕は35年前から、いいミュージシャンだなあと思っていた。そして今夜、(wikiで調べて)初めて知ったのだが、安田裕美は、山崎ハコと結婚していたのだ。いやー、びっくりした。

そんなわけで、今夜はyoutubeで、山崎ハコを探しては聴いていた。

お気に入りに登録していたら、知らぬ間にtwitterにも自動ツィートされてしまったようだ。「釘さんって、いつもこんな暗い唄ばかりを聴いているの?」と思われたかな(苦笑)。

著作権の問題でいつか削除されるのだろうが、Youtubeで見つけた以下の2曲を貼り付けておこう。

僕が身震いしてしまった「ざんげの値打ちもない」。そして、オリジナル曲の「ひとり唄」。

夜、部屋を暗くして(あるいは裸電球ひとつで)お聴きください。酒を飲みながらだと、さらによいと思います^^。

 

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