今夜ほど、自分は運のいい恵まれた男だと実感した夜はない。
ムライミツルっていうやつは、やっぱりスゴイ男だった。
この男のおかげで僕はいまどうにか仕事をしているようなものだ。
僕以外にも、そう思っている彼の知り合いはたくさんいるのではなかろうか。
でも、そんなことを言われることが、この男にとってなんの褒め言葉にもならないことを僕たちは知っている。
この男は、自分がスゴイ男だなんて、おそらくこの52年間、たったいちども思ったことがないだろう。
この男は、いつも人間らしく、迷いながら、悩みながら、苦しみながら生きてきたはずであり、この男のスゴイところは、そんな弱さを、ぜんぜん隠そうとしないところだ。
偉ぶったり、強がったり、ふんぞり返ったりなんて絶対しない。
かといって、弱みをみせながら謙虚ぶったり、正直ぶっている訳でもない。
あくまで自然体なのだ。
この男を見ていると、宮澤賢治がなりたかった「雨ニモマケズ」の「サウイウモノ」を思い出す。
そう。
ムライミツルっていう男は、僕が若者だったときになりたかった「サウイウモノ」なんだ。
ちょっと褒めすぎたかな。
でも、ホントのことだからしょうがない。
僕もあらためて、いまからでもサウイウモノになりたいと思った夜だった。
— 以下、コピペしておこう —
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ