自慢じゃないが、僕は高校時代ダメダメな男だった。
家を出て下宿してたのをいいことに、学校に行くのはいつも2時間目からだし、授業中はずっと寝てるし、下宿では朝まで下手なギターを掻き鳴らすし、お酒は呑むし、タバコは吸うし、挙句の果ては下宿屋のオバサンを怒らせて部屋を追い出されてしまうし……。
もちろん高校時代の成績は最悪。下から数えたら東大に合格するくらいの順番だった(ほんと自慢じゃないですね、苦笑)。
こんな「丸出だめ男クン」の元高校生が、ひょんなことから現役高校生を相手に講演を行うことになった。
とある大手進学塾からの依頼なのだが、大学受験を終えたばかりの生徒さんたちに向けての講演。「大学に入学したとたん目的を見失ってしまいがちな生徒たちに、次なる目標を持たせてあげたい。縁あってうちの塾で学んだ生徒には立派な社会人を目指してほしい。そんな願いを込めて彼らを大学に送り出してあげたい」という塾側の意向だ。
僕はもともと人前で話すのは好きではないし得意でもないのだが、この塾の趣旨には共感するし、せっかくいただいたご縁をお断りするのも忍びない。
ということで引き受けたのはいいのだが、さて困った。高校生向けの講演なんて、いままで経験したことがない。
実はこの正月もネタを探そうと思って、高校生がよく読んでいるという「進撃の巨人」や「ONE PIECE」を手に取ってみるのだが、なかなか辛くて読めない。
困った挙句、開き直って以下のような講演ストーリーを考えて、塾の担当者にぶつけてみた。
●ボクの暗黒の高校時代
・酒とフォークソングに逃げていた劣等生が、片思いの女子大生に勧められて大学受験を決意
・しかし受験の結果は……
●孤独で貧しかった浪人時代
・単身上京。どうせならイチバン難しい大学に入ってやる!
・夏休み前の共通模試で全国4位に♪
・受験料と入学金を稼ぐことに集中した夏休み
・しかし受験の結果は……
●いろんなことに熱中した大学時代
・人形劇、居酒屋、はとバスの車掌、そしてリクルート
●みんなからバカにされたボクの就職
・社員10人の誰も知らない小さな会社
・そこは、チンプンカンのコンピュータの世界だった
●そんなボクが会社を創業。今では企業の採用コンサルタント
・振り返れば、ぜんぶのことが無駄ではなかった
●そんなボクだからこそ、みんなに伝えられること
●最後に贈る言葉。「うまれよ!」
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てな感じだ。
「いろいろ考えたんですが、偉そうな話は性に合わないので、自分のダメだった高校生の頃を晒したうえで、でも、大学に入って以降は、熱中できるいくつかのチャンスや人に巡り合い、その経験と出会いが、いまの自分の基礎を作り上げてくれたんだっていうこと。あのころの自分がいたからこそ、いまの自分がいるんだっていうことをお話ししようと思います」
とお伝えしたのだが、さて、OKとなるか、「いや、それはさすがに…」となるか。
実際の講演はまだ少し先なので、最近の高校生のことをちょっと研究してみようかな。
さて、本日は早朝会議が終わったら西日暮里のお客様のところに表敬訪問する。西日暮里は「孤独で貧しかった浪人時代」の僕が住んでいた町(根津・千駄木)の隣町でもある。
では18歳の頃を思い出しながら、行ってきます!