釘さん日記

がんばれ新聞少年!

昔、山田太郎という歌手がいたのだが、その代表曲が「新聞少年」。僕がまだ小学校に入学する前だったと思うから50年近く前のヒット曲だ。

 

僕のアダナを知ってるかい

朝刊太郎というんだぜ

新聞配ってもう三月

雨や嵐にゃ慣れたけど

やっぱり夜明けは眠たいなあ

 

という歌詞の唄である。

昔は家計を助けるために、新聞配達や牛乳配達をする若者たちが大勢いた。

うっかり「昔は」と書いてしまったが、もちろん今でも新聞配達をしている若者たちはいる。その貴重な労働力のおかげで日本の新聞事業は成り立っているといっても過言ではない。

新聞各社には育英奨学会(新聞奨学生)の制度がある。奨学生には学費や生活費の(ほぼ)すべてが支給される。食事や寮(または借り上げアパートなど)も用意されている。親に一切の経済的負担をかけることなく学校に通い卒業することができるのだ。

しかし、その仕事はとってもハードだ。山田太郎の唄のごとく、雨の日も嵐の日も新聞を配らなければならない。先日のような大雪の日の配達は、想像を絶する辛さだったろうと思う。

そして(月に1回程度の新聞休刊日以外は)休みがない。毎朝、夜明け前(だいたい午前3時ころ)から新聞を配り始めて、朝の7時くらいには自分が受け持っているすべての家庭に配り終えなければならない。もちろん配達は朝だけではない。だいたいの新聞は夕刊もセットになっているので、午後3時にはまた配達を行なう。夕刊が休みなのは日曜日と祝日だけ。「風邪を引いた」とか「お腹が痛い」なんていって仕事に穴を空けるわけにはいかない。そんじょそこらの甘ちゃん社会人なんかの何倍もの自己管理が必要な仕事なのだ。

昨日は、この過酷な新聞配達の仕事を大学1年生のときからずっとやり続けている就活生(大学3年生)向けの就職相談会を行なった。スポンサーは新聞社の育英奨学会だ。新聞社にとっても、彼らの就職活動が円滑に行えるような環境をいかに作っていくかということは、重要な課題なのだ。

彼らにとって悩ましいのは、企業の説明会や選考に出席するための時間がなかなか確保できないということ。配達時間にぶつからない日時で開催されている説明会や選考会にしか参加できない。あるいは応募先の人事担当者に交渉して、参加する説明会や選考会の時間を調整してもらわなければならない。融通を利かせてくれる場合もあるのだが、(特に多くの応募者が集まるような企業の場合は)「残念ながら個別の事情に合わせることは出来かねます」という冷たい対応をされることも多い。

それから、これは質問されて意外だったのだが、「新聞配達なんて企業には評価してもらえないのではないでしょうか?」という疑問や不安を彼らは抱いている。人事担当者に限らず、普通のサラリーマンには新聞配達の仕事を経験したことのある人は殆どいない。だから、この仕事の辛さや大変さなんて理解できっこないと思っているのだ。

僕はそれを聞いて、「そんなことは絶対ない。少なくとも俺はよく知ってるぞ」と答えた。1週間や2週間ならいざ知らず(卒業まで通算すると)4年間も新聞配達をやり続けるなんて、それだけで多くの企業の採用基準を(全部ではないが)クリアしている。ビジネスパーソンに必要な、忍耐力や継続性を有していることは間違いないことだ。

僕は、勤労学生に対しては人一倍思い入れがある。ぜひ、あきらめることなく有意義な就職活動をしてほしい。

今後も継続的に、彼らを集めての相談会を行なう予定だ。個別に企業を紹介することも考えている。

キミたちなら絶対大丈夫。がんばれ新聞少年!

さて、本日は早くも金曜日。なんだか雪がたくさん降ってきたようだ。(新聞配達が困らないように)あまり積もらないことを祈りながら行ってきます!

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