ご存知NHK連続テレビ小説「マッサン」。いよいよ佳境に突入してきた。週末(土曜日)の放送では、ついにマッサン(玉山鉄二)が鴨居の大将(堤真一)に辞表を提出した。
マッサンは自分の理想のウィスキーを造るべく北海道での起業を志すが、出資者からのお金だけでは資金が足りない。あと10万円(現在の価値で約5,000万円)を調達しなければ事業がスタートできない。そんななかでの辞表提出だった。
サントリー創業者の鳥井信治郎をモデルとして描かれている鴨居商店の大将・鴨居欣次郎は、そんなマッサンにこう言い放つ。
無理や。
お前は経営者にはなれん。
無理やり社長になったらみんなが不幸になる。
どのみちお前は科学者や。
ウイスキーに対する情熱は認める。
そやけど、お前にはそれしかない。
造る事だけに執着があって、売る事、宣伝する事には全く関心がない。
経営者いうんは商品を開発して宣伝して売らなあかん。
石にかじりついてでも利益を上げてみんなに分配せなあかん。
お前にはでけへんやろ?
わてはやるで!
たとえ「イミテーションの鴨居」言われたかて従業員食わせていくためや。
メイド・イン・ジャパンのウイスキーを広めるためやったら、わては何でもやったる!
お前にはでけへんやろ?
この台詞を聞いた途端、僕はまるで自分がマッサンになったかのようにテレビ画面に釘付となった。
マッサンは、「できます!」とやや逆切れ気味に、鴨居の大将に言い返す。
すると鴨居の大将は、さらに大きな声で、
ほななんで頭下げへん!?
と言って、自分にその足りない10万円を借りるように仕向ける。
しかし、マッサンは、それは筋が違うと答える。
そんなマッサンに対して鴨居の大将は、一喝。
そんなこと言うとる場合か!
どない無様でも、恥ずかしゅうとも、はらわた煮えくり返ってても、なんとか10万円都合つけたろうと思わんのか!
会社のために頭一つ下げられん男が経営者になれるか!
経営者は、従業員とその家族を食わせていかなあかん、幸せにしたらなあかん、おまえはそこがほんまに分かっとんのか!
マッサンは静かに土下座をする。
鴨居の大将は「よく頭を下げてくれた」という表情を浮かべ、即座に10万円の小切手を切って「持ってけ」と優しくマッサンの手にしっかりと握らせる。
そして将来のライバル(その後ニッカウヰスキーを創業することになるマッサン)に対して、
「お互い日本のウィスキー事業を盛り上げて行こう」
「お前がどんなに美味いウィスキー造ったかて、わては負けへんで」
と最高のエールを贈る。
僕の目には涙があふれていた。
うーん、僕も堤真一に思いっきり怒鳴られてみたいと思う、今日この頃である。
さて、そろそろ新展開(北海道編)のマッサンが始まる。マッサンの起業を応援しながら支度をして行ってきます!