と、えらく挑戦的なタイトルだけど、べつにケンカを売っているわけではない。高尚なことを書こうと思っているわけでもない(笑)。
とはいえ、SPIをはじめとする適性検査が企業や学生に与えている影響はとても大きい。とくに多数の学生が集まるような大手企業では足切りツールとして使われているのだから。
この検査が人間の能力を正しく測定するものであれば、それも合理的で頷ける。同時に、人の能力が変わらざるものであるならば、入社時の一時点での測定結果で足切りしてしまうのも、致し方ないであろう。
が、SPIに限らず、絶対的な正しさをもった適性検査などない。質問紙法という検査手法をとる限り、被検者の自己認識が誤っていたとすれば検査結果も誤ったものとしてアウトプットされる。また意図的に(自分が思い描く理想の自分として)回答することもできる。「性格は変わらない」とよく言われるが、SPI(的な検査)で測定される項目には変わりやすいものも多く含まれる。
性格面だけでなく基礎能力においてもそうだ。いわゆる“地頭”を反映したもので、性格検査に比べればその妥当性は高いのだが、偏差値で5~10点程度はカンタンにぶれる。
実はパフ自身の新卒採用でもSPIを最終段階で実施しているのだが、「あれ?」と思う結果がでてきた応募者については、再受検を促している。その際に、ちょっとしたアドバイスを(ほんの一言だけ)伝えることにしている。すると、性格特性も基礎能力も、別人のような結果となることが多いのだ。
僕はある程度、適性検査の特徴や限界(もちろん利点もある)を理解しているし、“顔の見える採用”を行えている会社なので問題は少ないと考えているのだが、そうではない会社や採用担当者も大勢いる。とても危険なことだと思っている。
検査でアウトプットされる性格や基礎能力の高低と、入社後の業績との間での相関関係をきちんと調べていない会社も多い。そもそも不合格となった(入社しなかった)者の業績など分かるはずもないのだから、科学的に証明することは不可能なのだけど。
僕の前職は適性検査を開発する会社だった。
実は、こういった問題意識をずっと持っていたのだが、そのことを先週末の法政大学キャリア研究学会において、大学の先生や企業人事の皆さんの前でお話しさせていただいた。
それがこれ。
パフでは今、SPI的ではない、まったく新しいタイプのアセスメントツールの開発に取り組んでいる。そのことについてもお話しさせていただいた。公式に外でこのお話をするのは初めてだったが、参加された皆さんには興味を持っていただけたようだ。
落とすための検査ではない。
人の変化(将来における可能性)を測定するアセスメントツール。いままで落とされていた人に光を当てるアセスメントツールを、世の中に送り出したいと考えている。
おっと、うっかり真面目なことを書いていたら時間が無くなってしまった。続編は、こんどまた別の場所で書くことにしよう。
では立冬の朝。カラダを温める速足ウォーキングで行ってきます!