3月末でNHK朝の連ドラ「まんぷく」が終わってロスに陥るかと思いきや、4月1日から始まった「なつぞら」が面白くて、すっかりハマってしまっている。
なかでも、主人公なつの子供時代を演じている子役の演技と、東京の戦災孤児だったなつを引き取って育ててくれている十勝の牧場家族の長、草刈正雄演じるおじいさんの演技と台詞に魅了されているのだ。
まだ放送が始まって9回なのだが、すでに朝っぱらから2度泣いてしまった。
1度めは先週4月4日の放送、2度めは昨日の放送(仙台のホテルでみました)だ。
とくに先週の放送は、新社会人たちに送るメッセージのようにも感じた。備忘としてこの日記にも残しておこう。
なつは草刈の牧場で、夜明けとともに働いている。その一生懸命な働きを認められて、草刈はなつを帯広の町に連れてきて、開拓者仲間が経営している菓子屋で、なつが絞った牛乳を使ってアイスクリームを作ってもらった。下のやりとりは、そのアイスを草刈となつがベンチに座って食べながらのシーンだ。
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草刈:ちゃんと働けば、必ずいつか報われる日が来る。報われなければ、働き方が悪いか、働かせる者が悪いんだ。そんなとこはとっとと、逃げ出しゃいいんだ。
(なつは草刈にもらったアイスを食べるのを止めて草刈を見上げる)
草刈:だが一番悪いのは、人がなんとかしてくれると思って生きることじゃ。人は人をあてにする者を助けたりはせん。逆に、自分の力を信じて働いていれば、きっと誰かが助けてくれるもんじゃ。
(なつは涙を流す)
草刈:お前はこの数日、本当によく働いた。そのアイスクリームは、お前の力で得たものだ。お前なら大丈夫だ。だからもう、無理に笑うことはない。謝ることもない。お前は堂々としてろ。
(草刈は、なつを強いまなざしで見つめる)
草刈:堂々と、ここで、生きろ。いいな!
(なつの頬には涙がたくさん流れている)
草刈:はよ食べれ!
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どうだろうか。背景が分からないと感動もしないだろうが、次の台詞にはビンビン来た。
「人は人をあてにする者を助けたりはせん。逆に、自分の力を信じて働いていれば、きっと誰かが助けてくれるもんじゃ。」
「お前は堂々としてろ」
ここに、人が働く本質がある。脚本を書いた大森寿美男、なかなかやるじゃないか。
草刈は、家族の前ではいつもムスッとしている偏屈爺さん、いわゆるクソジジイだ。なつが連れてこられた時も、いちばん冷たく辛く、なつに接していた。
なつは、周りの人にいつもペコペコしており、何かあるとすぐに謝る、自分が悪くないのにすぐに謝る、そうしないと戦争孤児の自分は生き延びていくことができないと思い込んでいた(あるいはその振る舞いが沁み込んでいた)のだ。
それが、草刈のこの言葉で、ずいぶんと救われたのではないだろうか。
てなわけで、今朝もなつぞらを観て、堂々としながら行ってきます!