裸の王様

o0800052311617747254

「えー、自分は人に嫌われてるんじゃないかって心配している皆さん。
安心してください。そういう場合は、たいてい本当に嫌われています。
問題なのは自分が人に嫌われているのがわかっていない人のほうで…」
By 古畑任三郎

まことに共感します。
以下、古畑任三郎が話していると思ってお読みください。
(以下の話はフィクションであり、古畑任三郎は架空の刑事です)

BGMとしてこちらを聞きながらお読みください。
http://www.youtube.com/watch?v=5MwrRbcsaro

「何でこの人は、他の人に対してはやさしくしてくれるのに、私には冷たいのだろう?」と感じる時があります。
それは、自分が相手にとって「やさしくしてあげたいとは思えない」対象だからです。

そして、自分が「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」と思っていることが、
それとなく相手に伝わります。
そうすると、相手も「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」と思い始めます。

しかし、われわれも人間です。
誰しも人を嫌いたくない。また嫌われたくもないものです。
えー、ですので、お互い努めて「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」
という感情を押し殺そうとしながら接します。

ただ、そんなに器用でない人の場合…
出てしまうんです。
「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」
と思っているということが…
なので、えー、結局はあまり仲良くなれません。

そして、お互いがお互いを嫌っているのに、
お互いそんなそぶりを見せまいと、いやむしろ好きですよと言わんばかりの
事を言い合っている…そんな滑稽な構図が生まれます。
みなさんもそんなご経験があるのではないでしょうか。

えー、どうしてこういう風になってしまうのでしょうか…
子供のころは非常に単純です。お互い嫌いなものは嫌いと言います。

ところがですねー、大人になると好きな人だけと生活するわけには行かなくなります。
同僚、上司、取引先、えーそして…んふふ…配偶者…
えー、やな人だからといって「嫌いだ」とは間違っても言えません。
大人になるということは非常に難しいことです。

しかし、「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」と
思えるうちはまだいいのです。
問題は、えー冒頭に申し上げたように、えー
「嫌われていることにさえ気づかない」人のほうで…

えー、こんな話があります。
ある方が「○○さん(えー、部下の方です)は、私とお仕事をしているときが一番楽しそうにしている」と
おっしゃっていたので、わたし、聞いてみたんです。その方に。
「××さんと仕事しているときはずいぶん楽しそうにしてらっしゃいますねー」と。
そしたら…えー人の心と言うのはわからないもんです。

彼女、一言こう言ったんです。「そんなわけないじゃないですか」と…
えー、実に不思議な話ですねえ。

えー、われわれは大人になると…思っていることをそのままは口に出しません。
むしろ、思っていないことも言おうと思えば言えるようになります。

また、いわゆる上司であったり、面接官であったり、お客様、ビジネスパートナーであったり…
そういう、一般的に「うまくやる必要のある」相手には、
本心は言えないものです。

えー、我々もいつしか上司になり、発注者になり、社長になり、面接官になるときが来ます。

そんな時、
気をつけないといけないのは…えー
「裸の大様」にならないことなわけでして…

「この人は私のことが嫌いなのではないだろうか?」と
思えるうちのは、
「自分に何か問題があるのではないだろうか」と思えている証拠なんです。

えー、また、自分のことを本当に好きでいてくれる人は世の中全体から見たら
ほんのごくごくわずかなわけでして、
飲み会は断らない、お世話になった人にはお礼を言う、困っている人は助ける、
好きな人には好きだと言う、期待をしてくれている人には報いる、
自分からは常に誠実に、そんな人間でありたいものです。

古畑任三郎(執筆は土田)でした。

モバイルバージョンを終了