僕は案外、物持ちがよい。貧乏性だということもあるのだが、買ったものは長いあいだ使っている。
例えばスーツ。
会社を立ち上げようと思った10年前。安定した収入のあてがなく、当面はスーツを買うことすらままならないと思い、会社員時代の最後のサラリーで、2着のスーツを買った。
なんとそのスーツは10年たった今でも着ている。腹回りは2度ほど服の仕立て屋さんで広げてもらったが、今でも十分着られる。
先日の10周年記念式典では、あえてその10年前に買ったスーツを着て臨んだ。肘や膝は、ややツルツルしてはいるのだが、あまり気にならないし、わからない。
そろそろ買い換えたら…と言われることもあるのだが、創業時の思い出のスーツでもあるので処分することができない。きっと、ずっと、ボロボロになるまで、着続けるんじゃないかな。
例えばノートPC。
会社のPCはよく壊れてしまうので、数年に1回のペースで代替わりしているのだが、自宅で使っているノートPCは、すでに7年間使い続けている。
特に大事に使っているわけでもないのだが、なぜか壊れない。出張の時はいつも持ち歩いているノートPC。
自宅で作業をすることが多いので、使用時間は会社のPCよりも、だんぜん長い。いまブログを書いているのも、このノートPCだ。
例えば腕時計。
物持ちがいい、というより、僕はそもそも高価なものを身に着けたいと思わない。時間さえわかればいいものなので、ブランド品の腕時計を自慢している連中の気持ちがよくわからない。
ちょっと前まで使っていた腕時計は、6、7年ほど前に、家電量販店で1万円くらいで買ったものだった。が、その時計を、昨年の秋、五反田で飲んでいたときに失くしてしまった。
それ以来、腕時計なしで過ごしていたら、カミさんが不憫に思ったのか(苦笑)、誕生日プレゼントに買ってくれた。いまはその時計を大事に使っている。丈夫そうな時計なので、失くしさえしなければ、きっと死ぬまで使うんじゃないかな。
それから最後に靴。
僕は仕事用では、黒と茶色の革靴をそれぞれ一足ずつしか持たないことにしている。我が家の下駄箱が小さいのでそれ以上収容できないという理由もあるのだが、必要最低限の靴だけで済ませている。
なので当然、消耗も早い。少しでも長持ちするように、たまの休日には、靴墨をたっぷりつけて磨いてやることにしている。
きょうも午前中、自宅でせっせと靴磨きを行った。
まずはブラシで表面の埃をはらって、アルコールで古い墨をふき取ってから新しい靴墨を塗る。そして古い下着をぐるぐるまきにした布で、丹念に磨き上げる。15分も磨き続けると、新品の靴とは違った、風味のあるツヤになる。
茶色の靴は、もう履き始めて2年を超える。黒い靴はまだ3ヶ月程度だが、その前の黒い靴は、4年間履いていた。
僕は毎日、徒歩通勤をしているので、踵(かかと)の減りは早い。さすがに社長という立場上、踵(かかと)が磨り減った靴をいつまでも履いているわけにもいかないのだが…。それでも、靴屋さんで(踵の交換の)修理をしてもらいながら、履き続けている。
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僕は何かと飽きっぽい性格なのだが、このように案外、いったん買ったものは大事に、長く使う人間なのだ。
しかし一方で、この2年間に、財布を2度も失くしている。物持ちがいいのは、買いたくても買えない財布の事情があったりするのかもしれない(苦笑)。