釘さん日記

続・急性胃腸炎に襲われた日

結局、木曜日の夕方から金曜日の明け方まで、断続的に襲ってくる下痢と胃痛のために熟睡することもできず、ずっと布団とトイレの間を往復していた。

セミナーの開始は11時。会場の青山一丁目のツインタワーまでは、タクシーで30分あれば到着する。ぎりぎりまで横になって精神を集中させた上で家を出ようと思った。

そして10時10分過ぎに決死の思いで家を飛び出した。

運よく家の前をタクシーが通りかかった。すぐに飛び乗り青山一丁目を目指すのだが、このタクシーがクセモノだった。

運転が下手っクソ(というか、荒っぽい)。急ブレーキをバンバン踏みまくり、急発進もしまくる。それでなくても弱っている胃が、コテンパに痛めつけられた。しかし、僕には文句を言う気力も、もう残っていなかった。

会場に到着したのが、講演の始まる15分まえ。

社員たちは僕が到着したのを見て、安心と不安の両方の表情を浮かべていた。

そしてついに講演開始の11時となった。

何の準備もせぬまま(用意されているパワポのチェックも何もせぬまま)、演台にあがる。多くのお客様が目の前にいらっしゃるのだが朦朧としてよく見えない。

「こんにちは!」と元気よく発声したつもりだったのだが、ぜんぜん声が出ていないのが自分でもよくわかった。そのあとの簡単な自己紹介もロレツがぜんぜん回らない。脂汗が滲んできた。

こりゃダメだ、と観念し、実は昨日から急性胃腸炎に罹ってしまったことを暴露した。

場の雰囲気を崩すことになるので、できれば隠そうと思っていたのだが、顔なじみのお客様には「様子がヘンだ」とバレていたことだろうし、初めてのお客様には「あんな情けない奴がパフの社長なのか?」と思われてしまうのも心外だし、そのお客様とあとで接する社員たちが可哀そうだ。あえて、いまの自分の弱々しい姿は仮の姿であるということを、言い訳させてもらった。

それから50分間。絵本の朗読も含めてなんとか喋りきったものの、伝えたいことの半分も伝えられなかったという悔しさがある。

自分で言うのもなんだが、僕は腹から大きな声を出すことが得意で、その声で情熱や思いを伝えることにも自信がある。アドリブで冗談を言って笑いをとったり、その場その場で浮かんだことを口にして、新鮮な講演を行うことをいつも旨としている。

が、今回はまったくダメ。アドリブをやる余裕もなくパワポにあることをそのまま読み上げてしまい、情熱のかけらも乗せることができなかった。せっかく講演を聴きにきてくださった皆さんに、たいへん失礼なことをしてしまった。

講演後、意気消沈して控室で休んでいた。

僕の次の出番は、17時からのセレモニーと、18時からの大情報交換会。10年以上パフと取引を継続してくださっているお客様に感謝の気持ちをお伝えし、そのまま懇親会に突入するというプログラムだ。

まだずいぶん時間があるので、いったん帰宅して休んでから再度、出直そうと思った。

しかし、家に帰る途中からまた胃の痛みが猛烈に激しくなってしまった。家に着いてからもいっこうに治まらず、昨夜からいちばん酷い状態に陥ってしまった。

そして午後3時。復活を断念し、セレモニーを欠席する旨を会場のスタッフに伝えた。

いやあ、本当に残念無念。そして、お客様やパートナー企業の皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

翌、土曜日(10日)。

実はこの日も、外せない仕事があった。しかも、こちらは代役が誰もいない。明治学院大学で実施する「パフマジカル社会人デビュー講座」なのだ。

胃の痛みはまだ抜けないのだが、それでも前日よりは少しはましになっていた。開始時間が15時と遅めでもあったので、どうにかこうにか3時間の講義をやりきった。

学生たちには「普段は3倍くらい元気なんだけど、勘弁ね!」と冗談めかして講義を行ったが、講義が終わったときには立っているのもやっとという感じだった。

いやあ、書いていて悲壮感あふれるものになってしまったな(苦笑)。

そして、この日記を書いている現在(日曜日のお昼)。

やっと胃の痛みは治まった。下痢もない。これだけの文章を書けるくらいまで回復したということだ。

しかし、木曜日の朝ごはんを食べて以来、(水分以外は)ほぼ何も口にしていないのでフラフラではある。鏡で顔を見ると、かなりゲッソリしている。すごいダイエット効果だな。

それにしてもたいへんな思いをした3日間だったわけだが、教訓と学びも多かったな。

<教訓>

 健康はやっぱりイチバン大事。金はなくとも健康と元気があれば、なんでもできる。特に経営者たるもの、健康管理には細心の注意を払い、細菌やウィルスを寄せ付けない丈夫な体力を維持すべし。

<学び>

 社長はなくとも社員は育つ(?)。

金曜日の史上最大のイベントは、社長不在の状態でも、社員たちの力で無事最後までやりきったとのことだ。実はパフ最古のお客様であるS社のS社長が、克明なレポートを僕の携帯に送ってきてくれた。それを読むと、社員たちの奮闘ぶりが目に浮かぶようで嬉しかった。

もちろんガッカリさせてしまったお客様もいらしゃったと思うので軽々に喜ぶわけにはいかないのだが、この史上まれにみるアクシデントで会社が少しでも鍛えられたのだとしたら、僕の急性胃腸炎もあながち無駄にはならなかったのだと思いたい。

最後に、ご心配やご迷惑をおかけした、ご来場のお客様、そして、出展のご協力をいただいたパートナー企業の皆様に、深くお詫び申し上げます。

次の11月13日に予定されている一大イベントでは、このようなことが決してないように頑張ります!

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