釘さん日記

友人の再就職を祝った日

僕の学生時代の友人にYという男がいる。同じゼミでマーケティングを学んだ仲間だ。

彼は大学卒業後、某業界の某大手名門企業に就職。その後、順調なキャリアを積んでいた。

数年前、事業提携先である某外資系企業(たぶん誰もが知っている会社)からのオファーで、その外資系企業に転籍することになる。彼の経験や実績が、その外資系企業から評価されての転籍だった。

しかし、昨年の初め、その外資系企業の本社(米国)の方針が変更となり、日本法人が縮小されることとなった。それに伴い人員も極端に削減。Yは会社を去ることになってしまった。

僕がこのことを知ったのが昨年の秋。Yから「相談にのってほしい」という連絡をもらったときのことだった。そのときはすでに転職活動を開始して半年程が経過していた。

僕らの年齢になってからの転職活動は、正直言って相当に難しい。企業の採用の仕事に携わっているはずの僕であっても、なかなか彼の力になることができず心苦しく思っていた。

ところが、つい先日、嬉しい連絡がYから来た。再就職が無事決まったのだ。転職先の会社は、彼がいままで仕事をしてきた業界とはまったく異なる業界。仕事内容もまったく違う。おそらく、彼の(職種や業界を超えて通用する)能力や人間性が、この会社の経営者から評価されたのではないかと思う。

そして本日、Yが「お礼をしたい」ということで、パフまでわざわざ足を運んでくれた。僕はお礼をされるようなことは何もできていなかったのだが、その気持が嬉しくて、お昼御飯をご馳走してもらうことにした。

昼食を食べながら、転職活動時の辛かった心の内側の話を彼から聞いた。元来、とても明るい性格の持ち主のYなのだが、それでも何度か心折れそうになったのだという。

しかし彼は、負けずに動き続けた。努力し続けた。今回の会社との出会いは、偶然が重なってのことだったのだが、縁を感じた彼は、その会社の業界のことを懸命に勉強し、自分なりに考えた(求められていたわけでもない)事業計画書を二日間連続で徹夜して作り上げ、面接の時にプレゼンしたのだという。

「今回、あきらめずに転職活動を続けてこられたのは、釘ちゃんたち昔の仲間が応援してくれたからだよ。本当にありがとう。いままでの経験が通用しない、まったく新しい業界だけど、オレ死ぬ気で頑張ってチャレンジするよ」

Yは、僕にそう言ってくれた。ジーンと来た。何もしてあげられなかった僕なのに、こんなことを言ってくれるYのことを、本当にスゴイ奴だと思った。

Y、本当におめでとう。そして、ありがとう。友情の尊さと、あきらめないことの大切さ。そして何歳になっても新しいことにチャレンジする勇気を持つことの素晴らしさを、君からあらためて教えてもらいました。お礼を言うのは僕の方かもしれないね。

 

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