釘さん日記

ラーメン屋なのに、ラーメンを食べなかった日

築地のパフから月島の自宅までの帰り道には、ラーメン屋が2軒ある。一軒は、オーソドックスなしょう油味の中華麺を500円というリーズナブルな料金で食べさせてくれる店。もう一軒は、博多ラーメンの店だ。

昔は博多ラーメンの店で食べて帰ることが多かったのだが、最近はほとんど行けていない。経営方針が変わったようで、夜の11時に閉店してしまうのだ。昔は明け方までやっていたのに……。これでは夜が相変わらず遅い僕は、なかなか行けない。

もう一軒の中華麺の店は深夜3時くらいまでやっているので、最近はもっぱらここで食べて帰ることが多い。カロリーも博多ラーメンと比べればヘルシーなのだ。

昨夜も、この中華麺の店にふらふらと立ち寄った。

ストレスが溜まっているのだろうか、暑かったからだろうか、無性にビールが飲みたくなって、瓶ビールを一本頼んだ。

つまみとして餃子を一皿。でも餃子は焼き上がるまで時間がかかる。「餃子が焼ける前に、すぐにできるものって何がありますか?」と聞くと、「もつ煮込みだったらすぐ出ますよ」との答え。迷わず、「じゃ、それ!」とオーダーした。

なるほど、もつ煮込みは、すぐに出てきた。

そしてほどなくして、餃子も出てきた。

「餃子」と「もつ煮込み」。なかなかヘビーな組み合わせだが美味い。ビールとの組み合わせも最高だ。至福のひと時を味わう。

一気に食べ終えたのだが、なんだかもう満腹。

本当は、ラーメン(しょう油味の中華麺)を締めとして食べようと思っていたのだが、飛び入り参加のモツ煮込みのおかげで、もうお腹に入る気がしなかった。

結局、お勘定をしてもらった。

店員さんが「え?お勘定なんですか?」と不思議そうに僕にたずねるが、「うんお勘定」と満足した僕の返事に、店員さんはそれ以上、何も言わなかった。

店を出たあと、なんだか清々しい気持ちになった。常識や慣例を打ち破った快感だ。

ラーメン屋だからといって、ラーメンを食べる必要なんてないのだ。

薬局だってお弁当や野菜を売る時代。かつての町の小さなカメラ屋さんが、全国チェーンの大型家電量販店に姿を変えたように、いつ何が(誰が)どのような変革を起こし世の中を変えていくかなんて、誰にも分からない。常識という枠組みや、見えない(本当はありもしない)壁をぶち壊すのだ。

 

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