ノブという暑苦しい男がいる。
最初に会ったのは彼が大学四年生のとき。もう六年前のことだ。
「クギサキさんが絶対気にいる男なので、ぜひ会ってみてください」と、かつて一度もそんなことを言ったことのなかったヨシカワが、珍しく熱くなりながら僕にそう言うものだから、半信半疑ながら会うことにした。
『どうせ、“俺はできるぜ”というオーラを出しまくっている自信満々の勘違い学生だろう』と、正直たいして期待していなかった。
しかし、会って10分もしないうちに僕は彼と意気投合し、おまけに思わず寿司までご馳走してしまい、別れるときには固い握手をしながら、「こいつとは一生付き合いたい」と思ってしまった。
なぜか。
説明するのも面倒なくらい暑苦しい男だったからだ。
いや、本当はもっと形容すべき素晴らしい言葉があるのだが、癪に障るのでやめておく(笑)。
その暑苦しい男ノブが、この四月からタイに行く。現地社員10数名のボスとして、短くても3年間は向こうで勤務するのだという(ノブは商社マンなのだ)。
ということで昨日は、ノブの壮行会を東京駅の近くにあるタイ料理屋で催した。
半年ぶりに会ったのだが相変わらずノブは暑苦しかった(いっしょに連れてきた後輩の男も、また面倒なくらい暑苦しい男だった)。
不思議な奴だ。ノブと話していると、つい釣られて、こちらも熱くなってくる。
でも、こういう若者がこれからの日本企業には必要だ。
たくさんいたら、それはそれで迷惑なのだが、10人にひとりくらいは、こういう暑苦しい男であってほしい。
余談だが、朝、自宅でこの日記を書いている途中、ノートPCのバッテリーが切れてしまった。いま会社で二度目の執筆中なのだが、「くそっ。なんで俺がノブのことを、朝の貴重な時間を使ってわざわざ二度も書かなきゃならないんだ(怒)」と、いま憎しみを込めながら書いている(苦笑)。
ということで、ノブ。
タイに行って、さらにその暑苦しさに磨きをかけてきてくれ。そして大きな失敗をしてきてほしい。おまえの帰りを楽しみに待っている。健康には十分気をつけるんだぞ!