くらやみ初心者

 

おはようございます。阿久根です。

花粉と新型ウイルスの猛威が街をふるっている今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

いくら新型とはいえども、基本の手洗い・うがいがとても効果があるようですね。

学生のみなさんも社会人のみなさんも、どうか体調を大事に過ごしてください。

 

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先日、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という、暗闇の世界を探索する

アートを体験してきました。

 

実は2018年の夏に、この体験と同じ運営組織が提供している

「ダイアログ・イン・ザ・サイレンス」を体験しており、

アテンドの方の表情の豊かさや、参加者一人ひとりのちからを最大限に引き出す(惹き出す、と言う方が正しいでしょうか)パワーに魅了され、

ぜひダークも、という想いで足を運びました。

 

場所は「三井ガーデンホテル 神宮外苑の杜プレミア」。

国立競技場の目の前の、奥ゆかしくモダンなホテルが会場です。

 

今回のテーマである「内なる美、ととのう暗闇。」の世界にどっぷり漬かる気持ちで

会場に向かっていたのに、途中であれもこれも忘れていた、という「やることの忘れ物」に

気付き、開始直前までばたばたしてしまいました。

 

その様子を見て、受付の方に「お忙しそうですが大丈夫ですか?」と声をかけていただいてしまう私。

開始時間になったらすぐに携帯の電源を切り、

自分の中でなかば強制的に、これから出会う空間に沈みこむことを決意しました。

 

 

いざ、暗闇の世界へ。

照明がゆっくり消されていくと、辺りが文字通り「まっくら」な世界へと変化しました。

率直に感じたのは、「怖い。」ただそれだけでしたが、とても強い感情でした。

中で怪物が待ちうけている訳ではないのに、ただ今まであった視界が一時的に

私の元にはないだけなのに。

はじめからこんな状態で、終わりまで気持ちが持つのだろうか、と一抹の不安を覚えたのを

記憶しています。

 

過去、同じ体験に参加された参加者のひとりの方から

「そのうち『見ることを諦める瞬間』が来るよ。」という

助言をいただき、にわかには信じられませんでしたが、

暗闇をアテンドの方のサポートを受けながら進んでいきます。

 

 

はじめは暗闇に目が慣れる瞬間をいまかいまかと待ち望んでいましたが、

ついにその時がきました。「見ることを諦める瞬間」。

 

視覚としての「見る」ではなく、全身の感覚を使って物事を「観る」。

言葉で表すのは難しいですが、たしかにこの実感がありました。

見ることを諦めると自由になって、広い空間にたどり着いた時には

何も恐れず、心のおもむくままにすたすたと歩きまわっていました。

 

水はこんなにも柔らかいんだ。

人の声はこんなにもあたたかいんだ。

どんな気持ちで話しているのか、体温も含めて伝わってくる感じがしました。

 

ヘレン・ケラーがはじめて「水」の存在を実感した時のように、

こんなにも新鮮な驚きがあるなんて。

正直、自分にいちばん驚きました。

 

目が見えるからこそ分かることに、日々左右されすぎているかもしれない。

かっこいい人、かわいい人、きれいな人、若い人、年を重ねた人。

これらの評価が、いかに「見る」ことだけでおこなわれているか。

視覚的な情報が得られないからこそ、何の評価も下さず、

気取らず、「そのままのその人」を知る時間が得られたと感じました。

 

そして、身近な人たちから日々ささやかな優しさをプレゼントされている、とふと気付きました。

 

体験後、「暗闇が怖い」という気持ちは消えていました。

その代わりに残ったのは、「私たちは、くらやみ初心者なんだ」という気持ち。

それぞれが何かの初心者であるはずなのに、その事をいつの間にか忘れてしまうようです。

 

怖がらずに触れ合ってみよう。

もっともっと観てみよう。

 

次は石河さんです。

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