「あの素晴らしい愛について」を受講した日
2010年11月27日 (土曜日)
40代後半以上の方々で、北山修氏のことを知らない人は誰もいないだろう。
かのザ・フォーク・クルセダーズのメンバーであり、60年代~70年代の偉大なる作詞者であり、医学博士でもある(今年の春まで九州大学の教授だった)。昨年、亡くなった加藤和彦氏とは、フォーク・クルセダーズ時代からの無二の親友だった。
代表作品として、「戦争を知らない子供たち」や「風」などがある。堺正章が歌って大ヒットした「さらば恋人」も北山修氏の作品だ。
そういえば僕が高校生のときには、深夜ラジオ「オールナイトニッポン」のパーソナリティを自切俳人(ジキルハイド)の名前でやっていたっけ。
とにかく僕のようなフォークソング小僧にとっては、神様のような人なのである。
しかし僕は、北山修氏の顔を、レコードのジャケットでしか見たことがなかった。どんな人なんだろうと、40年くらい前からずっと思っていた。
この北山修氏に、なんと今夜会う(観る)ことができた。しかも、すぐ目の前で。
「アカデミックシアター」というライブ企画が、2日間限定で日本橋の三井ホールで開催されており、その初日である本日、観に(聴きに)行くことが出来たのだ。
ライブは三部構成になっていた。
一部は、北山修氏の講義である。「母子像研究より」というテーマで、約80分間の本格的な講義だった。
日本の浮世絵に描かれている母子の絵や、聖母マリアとキリストの絵をもとに、人間の「こころ」についての氏の独特な考察を披露してくれた。素晴らしい話だった。北山修氏の講義を受けていた九大の学生たちは幸せだな。
二部は、お待ちかねの音楽ライブ。ミュージシャンの吉川忠英氏と青木まり子氏を加えて、北山修作詞の名曲の数々を披露してくれた。
実は、この二部に出演していたミュージシャンの青木まり子さんに今回のライブを教えていただき、チケットも手配していただいたのだった。青木まり子さんとは15年ほど前に六本木のライブハウスでお近づきになり、つい最近、twitter上で再会したのだった。普通ならなかなか手に入らなかったであろうチケット(しかもステージのすぐ前の席)を手配していただき大感謝なのであった。
上の写真に演奏曲が書いてあるのだが、このうち2曲(「イムジン河」と「風」)は、僕も先日50歳記念ささかみライブで歌った唄だ。でもさすがプロ。僕なんかの唄とは根本的に違う。ギターの音色がとても美しい。イムジン河(朝鮮半島の分断を悲しむ唄)などは、あまりにタイムリーすぎて、鳥肌が立ってしまった。
第三部は、ゲストと北山修氏とのトークライブだ。今夜のゲストは、政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)さん。東大の教授なのだが、テレビのコメンテーターやベストセラー作家として、いまや超有名人である。第一部の講義をもとに語り合っていた。味があってよかったなあ。
締めくくりは、全員で(出演メンバーも観客も)、加藤和彦&北山修の名作中の名作、「あの素晴らしい愛をもう一度」の大合唱である。もう大感動。
北山修氏は、今年で64歳。僕よりも14歳も年上なのだが、すごく若い。弁舌は爽やかだし、頭の切れ味も鋭い。唄にはたっぷりと情感が籠っていて、聴いているひとを惹きつける。僕もこういうトシの取り方をして、60歳を過ぎても歌っていたいものだ。
影響を受けやすい僕なので、たぶん明日はギターで、ずっと北山修氏の作品を練習しているんだろうな(笑)。
北山修さん、素敵な講義と唄を堪能させていただきました。ありがとうございました。
青木まり子さん、演奏と唄、お疲れさまでした。とっても素敵でした。チケットの手配もありがとうございました。またひとつ、いい思い出が増えました。