パフ代表の徒然ブログ「釘さん日記」

昨日の各新聞では、経団連の榊原会長の「就活時期の見直し」に関する記者会見の内容が紙面を賑わしていた。日経本紙はもちろんのこと、日経産業新聞の一面にも掲載されていた(僕のコメントもこっそり載っていたw)。テレビのニュースでも多くの時間を割いて報道していた。

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僕は、上の日経産業新聞に掲載されたコメントでも述べたように、そもそも政治家や経済団体が口を出したり規制したりすることそのものを、やめてしまったらいいんじゃないかと思っている。

 

どうせ守れないんでしょ?

嘘つきをこれ以上増やしてどうするの?

学生を騙したり困らせたりすることに罪悪感はないの?

若者に範を示すべき大人として恥ずかしくないの?

 

みんなホントは嘘なんかつきたくないわけなんだから、こんな空しいルールをあれこれ作るのはやめませんか?

そもそも採用というのは、企業の自由競争のもとなされるべきもの。

談合やカルテルは厳しく禁止しているのに、なぜ採用時期だけを各社一斉に行おうとするんでしょうか(いや、実際には「見せかけの一斉」なだけで、実態は、各社各様なわけで。それが水面下で行われてしまっていることが問題なわけで……)。

そこには一切の(資本主義経済の)合理性がないために「従う必要なし」ということで、新興企業で構成される新経連加盟各社や外資系企業は大手を振って、「そんなの関係ねー(ふるっw)」として、独自の採用を行っている。

それら企業は経団連企業を嘲笑うかのうように、「当社の採用はこうです!」と、堂々と選考スケジュールや方針を宣言している。ファーストリテイリング(ユニクロ)などは、大学一年生の段階から公然と内定を出している。インターンシップを活用した採用を行う企業として有名なワークスアプリケーションズは、成績優秀な学生には学年問わず「入社パス」を付与し、卒業後三年間はいつでも入社できるという独自の制度を設けている。

時期のルールをなくすことで、最初のうちは混乱が生じるかもしれない。しかし、少なくとも陰でこそこそするような(怒られるのを怖がるような)チキンな採用担当者を生み出すことはなくなるだろう。正直者が馬鹿を見るようなこともなくなるだろう。

我々(採用時期が規制されることによって効率の良いビジネスモデルを構築してきた)採用関連事業者にも大きな方向転換が迫られるだろう。でも、それでいいじゃないか。

自由競争の環境の中から、新しい秩序や新しいビジネスが生まれる。その環境に適合した会社が、次代を担うべき会社なのだ。

ってーことで、言葉足らずなところもある本日の日記。今年の10月1日(経団連が定めるところの内定解禁日)に書いた記事もついでに貼りつけておこう。

では、新しいビジネスに果敢に挑戦としている「あさ」の応援後、いつものウォーキングで行ってきます!

—以下、今年の10月1日に書いた日記です—

正式内定解禁日?

2015年10月1日 (木曜日)

本日は、経団連が定めるところの「正式内定解禁日」。しかし、内定式を計画通り執り行える企業もあるだろうが、まだまだそれどころではない企業も今年は多いのではないか。特に、内定辞退の嵐で疲労困憊している採用担当者の心中は察するに余りある。

そんな折、疲れ果てた採用担当者の神経を逆なでするようなニュースが流れていた。

 

就活で「学生が勉強できなくなった」経団連会長 (読売新聞 9月30日(水)19時25分配信)

 経団連の榊原定征(さだゆき)会長は30日、今年の企業による学生の採用活動に関し、「結果的に学生が勉強できなくなり、中小企業がいい人材を採用できない問題が起きている」との認識を示した。

 今年から選考解禁日が4か月繰り下がったことで、一定の影響が出ていることを懸念した格好だ。都内での講演で述べた。

 榊原氏は、原因について「(繰り下げた)初年度ということで大学、企業、学生にもいろいろ戸惑いがある」と指摘。学生や企業がより良い形での活動を行えるようにするため、10月中に実態調査をまとめ、改善策を検討する考えを改めて強調した。

 

 

ちょっとちょっと榊原さん、もうこれ以上、弄繰(いじく)り回すのは止めにしたら?

・・・と、思う。

「改善策を検討する」って、イチバンの改善策は、現場を知らない(政治家も含む)おエライさんたちが独善的な口出しをしないことだろう。

経団連は、自分たちの愚かさに気づかない本物の愚か者たちの団体なのか、と思ってしまう。まだ僕たちが加盟する愚か者本部の社長たちのほうがマシではないかという気さえしてくる(苦笑)。

もういちど僕が2年半前(2013年4月)に書いた過去の日記を貼りつけておこう。当時の経団連会長は、米倉さんだった。

 

米倉会長、本当にそれでいいんですか? 2013年4月9日 (火曜日)

新卒採用に関わる仕事をしている人たちの多くは、そう感じていることだろう。

昨日の、経団連・米倉会長の記者会見を受けての話だ。

つい先日(4月3日)の記者団との談話では、「学生の声を聞かないと大きな問題になる」と言っていたそうではないか。それがどうしたことだ。

現場を知らぬ政治家や、視野狭窄な他の経済団体幹部に押し切られてしまったのか?

それとも、この短時間に学生の声を聞いて、「大きな問題にならない」と判断したうえでのことか?

昨夜のNHKの報道では

「『政府から正式に要請があればわれわれも粛々と受け止めて、政府の意向を会員企業に周知徹底していくことになると思う』と述べ、政府から正式に要請があれば経団連としても受け入れる考えを明らかにしました。」

となっている。

確かに、映像で確認しても(前後の発言はカットされているのだが)そのように答えている。

今朝の日経新聞でも、「解禁繰り下げ 経団連が容認姿勢」との見出しがついてしまった。

ところが、経団連のホームページ(記者会見における米倉会長発言要旨)を読むと、

「学生に動揺を与えないか、中小企業の採用にどのような影響が生じるかなども考えて検討すべきである。倫理憲章は自主的な取り決めなので、多くの企業が賛同できる内容でなければならない。対応については、政府から正式な要請がきてから検討したい。就職活動期間の短縮化は学生が学業に専念することを目的としているが、そのためには大学も魅力的な授業を行い、学生の学業に対する関心を高めていく必要がある。」

と、かなり慎重な表現に修正されている。「政府の要請を、そう簡単に受け入れるわけにはいかない」というニュアンスで、記者会見の発言とは逆の意味にも受け取れる内容だ。

そう。経団連は、加盟する大手上場企業や、彼らの採用ターゲットであるブランド大学の学生のことだけを考えればよい経済団体ではない。

我が国を支える(労働人口の約70%の雇用をも支える)中小企業や、ブランド大学ではない学校(大学とは限らない)に通っている大多数の若者の将来のことを、あわせて考える責任と、日本全体の経済界・産業界への影響力を有する団体ではないのか?

いまからでも遅くはない。

ホームページの上だけの“ごまかし”の修正ではなく、もういちど記者団の前で正々堂々と、しっかりとした肉声で修正の発言をしてほしい。

そして、現場の(中小企業も含めた)採用担当者の声や、(あなた方の採用ターゲットではない大学も含めた)大学職員や学生の就職指導に携わるキャリアアドバイザーたちの声に、きちんと耳を傾けてみてほしい。「大きな問題になる」ということに気づくはずだ。

あなた方が、本気で日本の大学教育や若者の将来のことを考えているのなら、就職活動時期をこねくり回したり、一律の規制をしたりするのではなく、他にもっとやらねばならぬことがあるはずだ。

 

ということで、イラッとしながらウォーキングで行ってきます!