パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

2015年採用も終了時期が見え、2016年卒採用のインターンシップに向け準備を
進められる企業様も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

2015採用が長引く企業様では、2015採用を継続して行う部隊と、2016年採用の
企画を行う部隊とに分かれているケースも聞きます。

しかし、敢えて言いますが、「インターンは採用(入社)に繋がらない場合、
コストが増えるだけ」です。

「採用広報時期が後ろ倒しになる」「学生との接触機会が減る」「ナビオープ
ン前から学生と接触をしなければ」「ならば、インターンだ!」

というのはあまりにも短絡的な思考といえます。インターン実施企業が増えて
も、学生の総数は増えませんので、とりあえず実施したというだけでは間違い
なく埋もれてしまいます。

しつこいですが、インターンと言う手段が目的化してしまうことはとても危険
です。

とりあえず流れに乗ってインターンをしてみたはいいが、収穫はなく手間だけ
増えた…こんなことなら夏休みでもとってしまえばよかった…

そんなことにならないために、下記6つの論点から

「学生がどのように自社の存在を認知するのか」
「学生がなぜ自社に興味を持つのか」
「学生が自社の選考を受けるメリットは」
「内定が複数出ても自社を選ぶメリットは」

を徹底的に研究するの必要があるでしょう。

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1.ゴール

まずそもそも、採用につなげたいのか、別に採用成果を求めない(CSRの一
環等)のかは事前にはっきりさせておくべきです。ここがあいまいだと全て中
途半端になります。

ちなみに、採用活動を担当する部署が関わるインターンは「採用成果を求める」
ものであるべき(短期的か長期的かという時期には幅があってもよい)で
す。そうでないなら、インターンに関わるべきではありません。

以下、ここでは「インターン参加者を採用したい」という目的を設定した前提
で話を進めます。

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2.全体の流れとスケジュール

インターンの募集受付時期や実施時期は、その後に行われる選考活動や内定ク
ロージングのフローとリンクしておかなくてはなりません。

実際は、意外とインターン活動と採用活動が企画時からリンクしていないケー
スが散見されます。

例えば、インターンを実施してから本選考実施まで何カ月も時間が開く、しか
もその間になにも学生のフォローアップを行わない、というのであればインタ
ーンを実施する意味が薄れます。

いつインターンを実施し、インターン参加者をどのタイミングでフォローして、
どういう方法で本選考に呼び込むのか、学生にどんなメリットを提供してあげ
れば本選考に参加してもらえるのか。

このような一連の流れと、スケジュールを事前に綿密に設計しておく必要があ
ります。

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3.集客チャネル

「就職ナビがインターンナビに、合同説明会がインターン合説にすげ変わった
だけ」で「広告を大量に出稿して学生を集める」というメカニズムに頼ってい
ては何も変わらないでしょう。

埋もれてしまいそもそも学生が応募してこない、または数は来るがターゲット
層がいないといった結果は容易に想像できます。

「どんな学生にインターンに来てほしいのか」
「ターゲットの学生に、どうしたら自社のインターンを認知してもらえるのか」
「ターゲットの学生にとって、自社のインターンを受けるメリットは何か
 (他の会社のインターンと比べて何がいいのか)」

上記のようなことを一気通貫で考えておくことがとても重要です。

集客チャネルに関しては、

「イベントに出るならターゲット層に限定されたもの、学生が有名企業目当て
 で来ていないもの(事前に参加企業が学生に知らされない等)に出る」
「内定者や若手社員を活用し、サークルやゼミ等に直接告知してもらう」

というのが望ましいと思われます。

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4.事前選考をどうするか

インターンの参加希望者に対して事前選考を実施する必要があるのか?
実施する場合、どのような流れでどんな選考を行うか?

これがとても大事になります。

調査によると、インターンの前に選考を実施したほうが学生の満足感が高い
そうです。

「自分は選ばれた特別な存在だ」という「特別感」「承認された・選ばれた感」
を感じられるからでしょう。

ただし、インターン選考では落としすぎないことも重要です。

学生にとってインターンの選考で落とされた会社は、本選考を受ける対象とし
て見られなくなってしまいます。採用成果を出したいと思ってインターンを実
施したのに参加者以外の「インターン選考落ち」学生をアンチに変えてしまっ
ては元も子もありません。

アンチを作るといえば、ひどい例を紹介しましょう。

最近ビジネスメディアで話題になった某企業が、以前行っていたことです。学
生の個人情報収集だけを目的として「架空インターン」(募集だけするが、全
員落とす。実際インターンはやっていない)をやっていました。

個人情報は手に入りますが、アンチの「死に母集団」が増えるだけです。百害
あって一利なしの愚策と言えるでしょう。

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5.選考へのつなぎとめ施策をどうするか

ただ、出会い、社名を認知させ、個人情報を回収するだけでなく「この会社の
本選考を受けてもいいかな」と本選考応募までつなげるデザインを行う必要が
あります。

学生がもともと就職先として志望していない企業に対し、「就職活動でこの会
社を受けてもいいかな」と思うようになる理由は、ただ一つ。

「この人たちと会うと、いつも自分の役に立つ何かが得られる」。

つまり、学生に対して真摯に関心を寄せ、学生目線に立ち「当社が持つリソー
スの中で、何を学生に提供したら喜んでもらえるか」を真剣に考え、実行に移
すことだと考えます。

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6.ターゲットに対応したコンテンツの見直し

身もふたもない話ですが、コンテンツが良ければ、告知の負担、実施後の選考
へのつなぎとめの負担をある程度軽減することが可能です。

もちろん逆も然りです。

コンテンツが学生の不満を買うようなものであればいくら大金を積んで告知し
ようと、手間をかけてフォローしようと採用成果につながることはありません。

コンテンツを企画する際の論点は
「ターゲットとなる学生の役に立つには?」という点を徹底的に
研究するべきだと思います。

学生のアンケート等を見ていると、必ずしも「リアル」な業務体験ができるか
どうかは問題ではなく「今後の人生や就職活動に役立つ経験ができたか」がす
べてであるように感じます。

コンテンツのリアル度を無理やり追求し、いわゆるアルバイトでもできるよう
な下流工程の仕事、単純作業などをやらせても「インターンから採用につなげ
る」という意味では効果が薄いでしょう。(内定者に覚悟をつけさせるなどは
できるかもしれません)

インターンでは、30歳後半や40歳前半の方がやる上流工程の仕事をデフォルメ・ゲ
ーム化した業務体験グループワークを実施するのは結構おすすめです。

将来の仕事をぼんやりとイメージすることができるし「この仕事が楽し
いと思ったらウチに向いている」という具合に、自社の本選考を受ける説得材
料を提示できるからです。

インターンを実施してみたいが、現場で何日も受け入れるのが難しい。学生に
やらせるのにちょうどいい仕事が無いという企業には一番良いと感じています。

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2016年はせっかくの変化のチャンスなので、学生にとっても自社の採用成功に
とっても最適なインターンの流れを見つめなおしてみたいものです。

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

今年もリクルートワークス研究所から大卒求人倍率が発表されました。

結果は1.61。

ちょうど、リーマンショック後の2010年卒採用(1.62)、2007年問題といざな
み景気が重なった2006年卒採用(1.60)の間の数字になりました。

弊社も売り手化するだろうとは思っていたものの、ここまで一気にとは…と驚
きを隠せない状態です。結果だけ見ると、過去の推移を見ていれば予測できた
のかもしれないと思ってしまうのですが、お恥ずかしい限りです…

——

マーケットを俯瞰すると、超人気企業の採用活動は「店じまい」。準大手・冠
系企業様の採用は最終局面に突入しそうな状況です。

一方の学生は、4月上旬に超人気企業に内定した学生は、あまり深く考えずに
就職活動終了。4月下旬には(学生から見た)規模やレベル観の近い会社から
複数の内定をもらった学生が会社を比較して、GW明けに結論を出し始める。
「無い内定」の学生は4月下旬から5月以降に向けて再度企業を探し始め
るという局面です。

もちろん毎年その傾向は強いですが、学生が今年はきれいに「規模・ブランド」
が上の企業から順番に受けているという印象をいつも以上に強く受けます。

そんな中で、企業側から見れば「どんなに丁寧に志望度をフォローアップして
も、ブランド企業に内定が出るとあっさり辞退される」という無力感に苛まれ
たという声も少なからずお聞きしています。

しかし、そんな環境下で、有名企業でもなく、大手企業でもない会社様が早々
に内定承諾をがっしり確保しているケースもお聞きします。

その秘訣は「選考をする「順序」を変えるだけで内定承諾率アップ」です。

これは今後市場が売り手化するに従い声を大にして提案していきたいキーワー
ドです。

——

元ネタは、私が尊敬してやまない海老原嗣生さんの著書『2社で迷ったらぜひ、
5社落ちたら絶対読むべき就活本 ― 受ける「順序」を変えるだけで、内定率
アップ!』です。

本書の概要は、以下のとおりと認識しています。

・学生はBtoCの超大手企業から受け、多くが全部落とされる

・GWに前後持ち駒が無くなり、あわててBtoB大手、準大手、冠系企業と
 順番に受けていく

・しかし、5月下旬にはBtoB大手、準大手、冠系企業は採用目標数の半数
 以上が決まっていることが多く、少ない枠に多くの学生がどっと押し寄せる
 ことになる

・そんなBtoB大手、準大手、冠系企業も、4月中はBtoCの超大手企業
 に内定者を取られ、採用に苦戦する

・4月のアタマからBtoB大手、準大手、冠系企業を受けておけば、Bto
 Cの超大手企業ほど落ちることはないし、BtoB大手、準大手、冠系企業
 も採用に苦戦している時期なので重宝してくれる

・つまり、受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

これと全く同じことが採用する側にも言えるのではないでしょうか。

——

つまり、こういうことです。
※主に「BtoCの超大手企業」以外の企業様を想定しています

・企業は第1クールでは上位校学生から内定を出し、多くに辞退される

・中堅校学生は第1クールでは相対的に見劣りするので、本来は内定を出せる
 レベルの人も多く落ちる

・GW前後に持ち駒が無くなり、あわてて第2クールでは中堅校の学生を順番
 に選考に呼ぶ

・しかし、5月下旬には中堅校の学生も内定先が決まっていることが多く、少
 ない「採用される可能性の高い」学生に多くの企業がどっと押し寄せること
 になる(母集団の質は落ちるので「第1クールで落とした学生を採っておけ
 ば」という思いが頭をよぎる)

・そんな中堅校の学生も、4月中はBtoCの超大手企業ばかりを受けており、
 就活に苦戦する

・4月のアタマから中堅校の学生に内定を出しておけば、BtoCの超大手企
 業とバッティングすることも相対的に減るし、中堅校の学生も内定を持って
 いないのでありがたがって内定を承諾してくれる。

・つまり、選考する「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

——

実際に弊社のお客様からも、選考する「順序」を変えて成功したケースをお聞
きしています。

上記では「上位校」「中堅校」と学校の偏差値の話になっていますが、何もそ
れに限る必要はないと思います。

以下のケースを見てみましょう。

<①中堅建設企業様>
 土木建築学科の学生は激戦区。内定を出してもスーパーゼネコンなどに決定
 して辞退。
 そこで、敢えて土木建築学科の学生は優先的に呼ばず、就職に比較的苦労し
 やすい理系学生(生物・物理・数学専攻など)に内定出し。

 土木建築学科の学生の方が、入社後業務に必要な資格を早く取得できるが、
 それも数年の話。その数年にこだわって、土木建築学科というだけで、能力
 や人物に目をつぶって採用するくらいなら、という決断でした。

<②大手BtoB企業様(学生にはあまり知られていない)> 
 機械・電気系の採用がマスト。これまでのデータ分析結果から、今年は「第
 1クールには大学院生を呼ばない(説明会枠を調整)」ことに。学部生や高
 専生をメインで早期の選考に呼び込みました。

 すると、内定承諾率が向上。早期に就活する院卒学生は、本命はBtoCの
 人気企業だったりします。内定を出しても、他の会社に推薦で入社するので
 辞退、というこもしょっちゅう。そこで「院生は早期の選考には呼ばない」
 という発想が生まれたそうです。

<③冠系Sier企業様>
 現存社員にサーベイを実施した結果、学歴と仕事のパフォーマンスにはそれ
 ほど強い相関性が無く、むしろ性格や価値観的な側面が入社後のパフォーマ
 ンスを分ける要因であると判明。

 第1クールでは上位校ではなく、中堅校の性格や価値観的がマッチする学生
 を選考に上げていき、大手人気企業とのバッティングを避けることに成功し
 内定承諾率がアップしたとのこと。

——

いかがでしょう?

「選考する『順序』を変えるだけで、内定率アップ!」ということが分かる例
だと思います。

誤解を避けるために追記しておくと、何も「誰でもいいから採用しましょう」
「妥協しましょう」と言っているわけではありません。承諾率上昇が優先し、
入社後活躍しない人をたくさん入社させては本末転倒というものです。

ここで注目すべきは上記①~③のすべてのケースで「自社の勝てるポジショニ
ング」を明確に決めていたということです。

すなわち「絶対に譲れない人材要件」と「別になくてもいいもの」を明確にし
て「やるべきではないこと」を決めていたということです。

①では、能力や人物要件を優先し「入社後資格が早く取れる学科であるか」は
求めなくても良い。入社後資格取得に少々時間がかかろうが、能力や人物面で
は妥協したくない、という背景があっての意思決定です。

②でも、院卒であることと入社後のパフォーマンスは関係ないという分析があ
り、院卒学生は、どうしても他社に辞退する人が多く、そこをひっくり返すの
に労力を割くべきではない、という合理的な判断です。

③も、自社の活躍人材像を分析したうえで、学歴ではなく、性格・価値観的側
面を見るべきだという明確な根拠があった上での採用戦略です。

——

今後も数年は売り手化が進むのであれば、前回のブログにも書いたように「自
社の勝てるポジショニング」を明確に決めることがより重要になってきます。

特に「やるべきではないことを決める」ということがキモになる気がします。

そのための、分かりやすい取組が「選考する『順序』を変える」ということで
はないでしょうか。

ぜひ共感する企業様には試していただけたらと思います。