パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

心に残る言葉

2012年4月13日 (金曜日)

 

こんにちは、パフ入社1年目の島田です。

昨年7月にパフグループのスタッフとなりました!

といっても新卒入社は1992年。もう20年も前になるのですね・・・(汗)

 

そんな私が新人時代に苦手だったことといえば・・・基本的にすべて苦手だったような気がします。

最初の赴任地はバリバリのノルマ営業現場で、アポ取り電話、飛び込み営業の毎日でしたが、最初はお客様とのコミュニケーションに散々悩んだものです。

 

今回は、そんな時代に出会ったお客様からいただいた言葉にまつわるお話を綴ってみます。

 

 

私は新卒で地方支店の営業課に配属されました。

飛び込み営業でお客様を開拓するのですが、ターゲットは中堅・中小企業の経営者の方が中心でした。

 

折りしもバブル崩壊後の景気低迷期。お客様の本業である会社経営自体も厳しくなっていた時代でした。

顧客開拓は楽ではない時代でしたが、逆にこのような時にお取引をさせていただけたお客様とは結構深いつながりが築け、いろいろなお話も聞けたものでした。

 

 

☆☆☆

 

私が新人営業マン時代に飛び込み営業で開拓したお客様の一人に、とても私をかわいがってくださった中堅企業の社長さんがいました。

その方は地元では業界1、2位を争う優良企業の創業家の二代目でした(ここではAさんと呼びます)。

 

優良企業の二代目というとボンボンのイメージがあるかもしれませんが、Aさんは若い頃に大変ご苦労をされた方でした(ちなみに私が出会ったとき、Aさんは50歳くらいでした)。

 

 

Aさんが大学卒業後間もない頃に、創業者である父親が突然お亡くなりになったそうです。

Aさんはまだ若かったため、急遽、父親の右腕だった方が後任社長に就任し、急場をしのぐことになったのですが、いかんせん父親ほどの経営手腕はなく、会社は徐々に傾いていきます。

 

Aさんは父親が築いた会社を何とか守ろうと、早朝から深夜まで、それこそ寝食を忘れるほどに働いたそうです。

しかし、そんなときに、今度は母親が重い病気で入院してしまうのです。

 

入院先は設備の整った大病院を選んだため遠いところにあり、会社から車で2時間もかかりました。

母親は自力で起き上がることもできないほどの重病だったためAさんは身の回りの世話のためにほぼ毎日病院に通わなければならない状態でした。

 

そうはいっても会社再建のために早朝から深夜まで働いていたので、病院に行けるのは真夜中。

仕事が特に遅くなったときは、会社から病院に直行して母親の身の回りの世話をした後、仮眠も取らずそのまま会社に戻ると既に朝で、そのまま仕事に取り掛かることもあったそうです。

 

そんな状態が数ヶ月間続きました。

 

しかし・・・看病の甲斐なく、母親もこの世を去ってしまったのです。

 

一人取り残されたAさんは、しかし悲しみに暮れる余裕もなく、会社の立て直しに奔走しました。

その結果、会社は何とか窮地を脱し、業界でも有名な優良企業へと発展していきました。

 

☆☆☆

 

 

Aさんが私と大きなお取引をしていただけるようになったある日、そんな私的な昔話をポツリポツリとしてくださいました。

 

この話を聞いた私は、

「それは、大変なご苦労をなさってこられたのですね。身内の不幸と会社の危機が重なって、精神的にも肉体的にもさぞかし辛かったこととお察しします。」

と申し上げました。

 

しかしAさんはこともなげにこうおっしゃるのです。

「周りの人は当時の僕を見て、みんな大変だ、大変だ、と言ってくれたけれど、当の本人にしてみれば、やらなければいけないことをただ当たり前にやっていただけで、全然大変とは思わなかったものだよ。まあ、確かにいろいろなことは起こったけど、働かなければ会社は潰れたし、母親は動けないんだから看病しなければいけないし。忙しかろうが悲しかろうが、やらなければいけないことをやらなければ、何も進まないからね。」

 

『やらなければいけないことをただ当たり前にやっただけ』

 

Aさんがまだ若かりし時に、当時の新入社員の私とあまり年が違わない時代に、こんな逆境に置かれながらすでにそのような考えを持って行動していたことに、当時の私は深い感銘を受けました。

 

大変な目に遭ったり、逆境に置かれたりしたときに、「自分はひどい目に遭っている」「自分は恵まれていない」などと考えてしまっては、思考がマイナスに陥り、心がくじけてしまいがちなものです。

Aさんほどの強い精神力を持った方でも、そのような考えを持ってしまってはあの厳しい逆境を乗り越えることはできなかったかもしれません。

 

どんな大変な目に遭おうが、どんな理不尽な環境に置かれようが、それを当然のものとして受け入れ、「当たり前のことをやっているだけ」と考えることができる思考回路。

大きな仕事を成し遂げられる人にはそういう思考回路が備わっているものだと思います。

 

新人時代の私にそんなことに気づかせていただいた、今でも心に残る言葉です。

 

次は、素敵な言葉をたくさん持っていそうな杉平です。