パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

ゴリラ的読書日記之20

2016年9月9日 (金曜日)

こんにちは。いよいよ成人式。20歳を迎えました。
弊社社員の中には既に三十路を迎えた方も多数おられる中で、このようなことを云うとひんしゅくモノかもしれませんが、よくぞ成人式を迎えることが出来たと。少しだけ達成感です。

そんな20。何となく区切りのいい数字ですよね。
人間の手足の指の数を数えたら20本だし。国際番号の20はエジプトだし。原子記号20の元素はカルシウムだし。
意識せずとも積み上げ型の一つの目標値によくなる数字である気がします。
但し、個人的には20という数字には特に何の思い入れもありませんが..(では何故!)

さて、そんな節目の今回は以前から勝手に影響を受けたと述べている楠木建教授の最新作です。「好き嫌い」と才能。
titleが示すよう、「好き嫌い」=「才能」であり、「良し悪し」に偏重し、皆が独自に有する才能の枯渇を嘆き、『好きこそものの上手なれ』理論の復権を謳う、そんな一冊でした。

内容は先生の主観的な「好き嫌い」のオンパレード。
対談形式を採用した本なのですが、パートナー選定の基準も完全に「好き嫌い」。
登場する方々も皆、毛色は違えども、「好き嫌い」の基準をハッキリ有する人々ばかり。
とても学者の発言とは思えない(先生自身は自分を「学者」でなく、「論者」としていますが..)、でも筋だけは明確過ぎるほどに強烈な、そんな一冊でした。

ビジネス誌などでは頻繁に登場するキーワード、『意思決定』。
ディシジョンツリーを作成し、最もリスクが少なく、且つ効率的に効用を得られる選択肢を選ぶことを是とする世界。
私も一時期学び、そして実践しましたが、何故か説得力があるのに、満足感がない..なんじゃこりゃ、でした。

読んでいて気付いたことがあります。
「良し悪し」では「らしさ」を引き出すことが出来ない。「らしさ」とは「非合理性」の中で漸く際立つ、ということです。
プロポーザルの場面を想像すると何となく見えてくるのですが、大体が「良し悪し」基準止まりの評価の場合は至って平均的。一方で「良し悪し」を踏まえ、踏み込んで評価対象の「好き嫌い」の軸まで入り込むと評価は乱高下し出す。
つまり評価に対し、非常に影響力の強い変数であるということです。
そして得てして、「Yes or No」はそこで決まる..

■楠木建(2016)『「好き嫌い」と才能』東洋経済新報社。

■動機:
「好き嫌い」で「好き」だからですw
今までのゴリラ日記を読み返してみましたが(ウダウダ申しておりますが)、結局「好き」だから、でしたww
そして自分の「好き」度が高い投稿ほど、文章の流れが、らしい。主観的ですが、面白い。
(陰湿ゴリラが顔を覗きますが)翻って、偽って書かれたであろう投稿ほど、らしくない。主観的ですが、ツマラナイ。
これは私以外にも当てはまりました。
投稿を読む時、この人は「好き」でこの記事を執筆しているのかな、という視点で読むと新しい評価が出来そうです。陰湿..

■所感:
『考えるな、感じろ』をひたすらに地で行く一冊。
一見すると、社会不適合者の集いのような内容ですが、皆、各々が筋を通している。媚びていないし、ブレていない。
だから社会に必要とされているし、その影響度は空を翔る。

特に「好き」だったのが、先生と同じ職場で先輩でもある米倉誠一郎先生との対談。
楠木先生が「好き嫌いKING」と称するよう、米倉先生は自らの「好き嫌い」を貫徹しており、読んでいて本当に心地よい。
人の自慢話やなんちゃって立志伝を耳にすると、正直陰鬱になることの多い自分ではございますが、米倉先生の話は本当に面白い。D(大)好きでした。
私は米倉先生の講演や講義に参加した経験はなく、人から耳にしただけですが、米倉先生は「ザ・ワールド(※)」の持ち主であるとのことです。瞬時に魅了して、巻き込む。「良し悪し」のタガを外して、「好き嫌い」をむき出しにする。
だから議論も白熱するし、多くの気づきを獲ることが出来る。

一級の歴史家であると同時にリーダーシップの論者(Not 学者)でもあることは当然の帰結かもしれません。

※「ザ・ワールド」
http://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
➡意味を知ると、益々文脈が見えなくなりますが、そこは御愛嬌..感じてください!

■おススメ本
米倉誠一郎(2011)『創発的破壊 未来をつくるイノベーション』ミシマ社。
楠木建(2013)『経営センスの論理』新潮社。
楠木建(2014)『「好き嫌い」と経営』東洋経済新報社。