パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

 こんにちは。パフの土田です。

 去る7月23日、キャリぷら東京にて、「採用担当者自らが事例発表」する
 セミナー『採用コロンブスの卵』が開催されました。

 弊社のクライアント3社様に、生々しい事例を発表していただきました。ど
 れも「少しの工夫で大きな採用成果」のふれこみに違わない、素晴らしい事
 例ばかりでした(私が言うと自画自賛みたいですが…)。

 どの会社様のプレゼンもとても素晴らしかったのですが、白眉であったのが、
 金融業界A社様の事例です。ここでも簡単にご紹介したいと思います。

 2014年卒採用では、内定辞退が相次いでいた同社ですが、2015年卒採用では、
 なんと、内定承諾率は28ptも上昇。また、同社は3回選考されていますが、
 1次~最終選考の合格率も軒並み上昇したという事例でした。

 どのようにして、このような大きな成果が得られたのでしょうか?

——

 同社はまず「学生が採用競合と比べて、自社をどのように見ているか」を把握
 するところから始められました。同社の競合とはすなわち、メガバンクや地方
 銀行です。

 次に「学生から(他社と比べて)自社をどう見て欲しいか」「どのようなこと
 をしたらそのように見てもらえるか」を研究します。

 そのうえで「採用競合と比べた、自社の特徴(自社を選ぶ理由になるもの)」
 を徹底的に整理し、そこから「自社にマッチする学生像」を明確に定義しま
 した。
 
 会社説明会等の学生接点では、総花的な訴求をやめ、「採用競合と比べた、自
 社の特徴(自社を選ぶ理由になるもの)」すなわち「採用競合に勝てるポイン
 ト」のみに絞った情報公開を行いました。

 そこに響く人は、自社にマッチする層であり、その層の志望度が上がればよい。
 逆にミスマッチ層には「自分の就職志向とは合わない」ことを明確に認識して
 もらい、セルフスクリーニングを促進するという考え方です。

——

 冒頭に少しの工夫、と申しましたが、実に言うは易し、行うは難しです。
 
 もちろんたくさんのご苦労があったと推察しますが、ざっくり簡単に申し上
 げるとその要諦はずばり、

 ・不問要件を明確に決める
 ・追わない学生像を明確に決める

 この2点にあったのではないでしょうか。
 
 すなわち、
 
 【不問要件】
 ・選考の初期段階から、銀行志望度、金融業界志望度を問う必要はない。
  (初期段階から銀行志望の人は結果的に競合に流れやすい)
 ・選考の初期段階から、業界理解度や銀行業務理解度を問う必要はない
  (上記と同様の理由から)

 【追わない学生像】
 ・「採用競合と比べた、自社の特徴(自社を選ぶ理由になるもの)」「採用
  競合に勝てるポイント」に共感できない学生は、いかに優秀・高学歴でも
  追わない。

 ということです。

 採用に関わる人事部門はもちろん、面接等に関わる全ての社員がこのような
 認識を共有しているだけで、劇的に採用成果は変わるという証左であると思
 います。

——
 
 よく「人材要件を定義しましょう」と言うと「ウチは金太郎飴的な採用はし
 たくない」というお言葉を頂戴することがあります。

 しかし「人材要件定義」=「金太郎飴的な採用」というのは、敢えて申しま
 すが、大きな誤解です。

 単一事業、単一職種、しかもビジネスモデルが盤石で当分新規事業立ち上げ
 の必要性が無いという企業でない限り、金太郎飴的な採用によるメリットは
 ありません。

 一般的には「全社員に共通に求められるコア要件(ボトム・ワン)」を決め、
 他には「持っていればプラス評価をするが、無くても落とさない優秀要件」
 を決めるのが良いとされています。

 しかし、それも簡単なことではありません。まずは「不問要件・追わない学
 生像を明確にする」ところから始められるのがよろしいかと思います。

 よく我々は学生に「とりあえず人気企業ばかり受けるのはダメ」「自分に合
 った企業像を研究し、地に足の着いた就活を」などと申します。

 これはこれで全くその通りなのですが、我々採用する立場も、学生と同じ間
 違いを起こしうるということを承知したうえで採用活動を行う必要があるの
 ではないかと強く思います。

 貴社の「不問要件(現在の選考では評価項目にしてしまっているが、入社後
 の活躍度とは相関が薄いもの)」「追わない学生(現在は選考で通してしまっ
 ているが、結果的に入社に至らない学生像)」はどんなものでしょうか。

——

 なお、本セミナー会場で配布したの資料うち一部分は、セミナーにご参加で
 きなかった方にもご提供可能でございます。もしご要望があれば、営業担当
 までご連絡いただくか、弊社代表電話までご連絡ください。

     ┌──────────────
  ○ < 弊社代表電話
 <□> │                             
  ||  │TEL:03-3662-8011                    
     └──────────────

こんにちは。パフの土田です。

先日、6月30日をもって、パフ18期が終了いたしました。19期を迎えることが
できるのも、お客様のおかげです。いつもありがとうございます。

さて、ドキッとするようなブログ記事を先日見かけました。

営業マンは数字にこだわる 人材ビジネス会社の営業はなぜイマイチなのか?

弊社のセミナーで学生・採用担当者様向けに講演してくださったこともある、
常見陽平さんのブログの記事です。

「人材ビジネス会社の営業マンについてダメだなと感じる12のポイント」をズ
バリ指摘されています。

そもそも私はまだ30にもなっていない若造(でも業界では中堅とベテランの間
くらいとされる)なので、自分に対する指摘だと思って、興味深く記事を拝読
しました。

偉そうなのを承知で敢えて言いますと、確かに自分自身もこの業界に属して
いて、お客様から「ひどい営業マン」の話を聞くことがよくあります。

その人物像と常見さんのご指摘は、かなり合致していると思います。我々パフ
は「ダメな12のポイント」の真逆に行動できるよう精進していかないといけな
いと強く思います。

「求人が回復すると(略)営業マンを増やす。強化ではなく、単なる増加だ」
「売りやすい時期なので、(略)営業が雑な営業をし、評判をひたすら下げる」
というご指摘もありました。

そう。我々の側から見れば、売り手市場になれば、お客様の採用予算は増える。

一つひとつの発注案件へのチェックもゆるくなり、決裁権もレイヤーが下がる。
イベントや広告など、カタチが決まった分かりやすい商品が売れやすくなる。

売れるので、それだけで「よかった」と満足してしまう。

もちろん、売れるのは非常に大事なのだけれども。

ともすれば「確かに結果は出なかったけど、良い学生はたくさん集まった」と
いう風に、手段を目的化して満足しがちになってしまう。

「無形商材・新卒採用支援事業。ぶっちゃけどんな価値を提供しているのか?
 あるいは、すべきなのか?」

売り手市場になるからこそ、意識しておく必要があるだろうと感じます。

私も弊社の執行役員・保坂と上記のテーマについて先日話し合ってみました。
その内容を以下にまとめてみました。

読み返してみると、まだまだ抽象的です…本日のブログではとりあえずここまで!

「○○メソッド」とか、一言でわかるネーミングが欲しいところです。

もちろん、我々が考えていることと、お客様のお考えがもしかしたらズレてい
ることもあると思いますので、読者の皆様から忌憚のないご意見をぜひ頂戴し
たいと思っております。

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▼新卒採用活動の目的は、入社してほしい人材が必要な人数入社すること

 →上記の目的達成に貢献することが新卒採用支援事業の価値である

▼採用競争力とは
 =企業力×採用担当者の力×採用戦略&施策÷採用ターゲットの採用難易度

 ・(単年で)すぐに改善が可能な要素
  ―採用戦略&施策
  ―採用ターゲット

 ・(単年で)すぐに改善が困難な要素
  ―企業力
  ―採用担当者の力

 →「(単年で)すぐに改善が可能な要素」の改善に資することが価値である
 →また、長期的には「(単年で)すぐに改善が困難な要素」の向上に資する
  ことができればより価値が高い。

▼では、新卒採用はなぜ失敗するのか?

 ・結局、採用活動の失敗原因は以下に集約される。

  →自社の採用ターゲットの採用難易度(相場観1)と企業力・採用担当者の力(相場観2)を見誤って採用戦略&施策が決定されている

 つまり、以下のA~Cに整合性が無く、ズレている、もしくは
 ねじれていると採用は失敗する。
 
  ―A.相場観1   =ターゲット学生はどんな企業を選ぶのか
  ―B.相場観2   =自社・自社社員は学生にどう見られているか
  ―C.採用戦略&施策 =ターゲットがどうしたら納得して入社を決めるか

▼というわけで、新卒採用の普遍的なキモは以下になる。

①ターゲティング = 自社に入ってほしい人(人材要件)を決める
②ポジショニング = 相場観1・2を的確に把握する
③マーケティング = 学生が納得して自社に入るまでのプロセスデザイン

 →つまり、上記A~Cのズレを是正し、上記①~③の整合性を高めることが
  価値になる。
 →我々パフが呼ぶところの「自社らしい採用」というのは、上記①~③の整
  合性が高い状態のことをいう。

▼では、どのようにすれば①~③の整合性が高まり、採用競争力が高まるか。

 I.既存の人材要件を見直し、不問要件を作る
  (=採用ターゲットのパイを増やし、難易度を下げる)
 Ⅱ.非ターゲットのセルフスクリーニングを促進する(採用戦略&施策)
 Ⅲ.ターゲット学生に入社するメリットを提示する(採用戦略&施策)
   
 →上記Ⅰ~Ⅲに貢献することが価値になる。

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▼それで、結局パフの特徴は何なのか?

 ―深い顧客との関係=深い顧客理解
  →お客様企業の企業力・採用担当者の力の相場観を
   客観的・相対的に把握できる

 ―深い学生との関係=深い学生理解
  下記のA~Cを正確にとらえたうえで、お客様企業のターゲット学生像
  を提案し、学生の視座に立って採用戦略&施策を提案できる。
  →A.ターゲット学生はどんな企業を選ぶか
  →B.自社・自社社員は学生にどう見られているか
  →C.ターゲットがどうしたら納得して入社を決めるか

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こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日の社長ブログにて、弊社のメルマガについて「退化、劣化はしていないだ
ろうか」と公共の場で問題提起されてしまいましたが、めげずに書きたいと思
います。おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

さて、採用活動時期の後ろ倒しを受けて、巷には「就職ナビOPEN前に学生に接
触しよう!」という「イベント」がたくさんあふれるようになりました。

就職ナビOPENが2カ月後ろ倒しになった2013年から、この手の「就職ナビOPEN
前に学生に接触」できるイベントが増えてきたように思います。

採用支援会社が主催するモノもあれば、学生団体が主催するもの、大学が主催
するもの、はたまた企業の採用担当同士が有志で協力して主催するもの、様々
あります。

「いっぱいあるけど、結局、どのイベントに出ればいいの?」

というのが、採用担当社様の悩みのタネではないでしょうか。

今回は、思い切って私の考える「就職ナビOPEN前に出るべきイベントを選ぶ4
つの判断基準」を皆さんに共有させていただきたいと思います。

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1.埋もれない
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やみくもにイベントに出ても、間違いなく埋もれます。

残念ながら、自分が思っているほど学生は自社のことを知りません。特別視も
していません。ナビOPEN前の時期ならなおさらです。

私たちは「最初から自分の会社を志望している学生はいない」と思って採用活
動に従事するべきです。採用担当者の皆様には大変申し上げにくいことです
が、5年ほどこの仕事をしていて、心からそう思うようになりました。現在はお
客様にもお伝えするようにしています。

では、どういうイベントが埋もれないかというと以下の通りです。

 ・学生が特定の企業を目当てに来場していないもの
  (企業ではなくコンテンツそのもののメリットを目的に学生が参加するもの)
 ・来場した学生全てに確実に存在を認知されるもの
 ・担当者の腕一本で、企業ブランドの差を覆せるもの

具体的に言うと、以下の通りです。

 ・特定のテーマについて話すパネルディスカッション形式イベント
 ・業界研究レクチャーを行うイベント
 ・少人数形式での座談会形式イベント
 ・模擬面接&フィードバックを行うイベント

一方で、以下のようなイベントは「埋もれやすい」といえます。

 ・大会場でブースを訪問する形式のイベント

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2.学生と深いコミュニケーションができる
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イベントで学生に接触できたとしても、コミュニケーションの質が低い(浅い)
とすぐに忘れられてしまいます。

当たり前の話ですが、学生の気持ちになってみると「100人に向けて一方的に
話している」と思って話を聞くのと「少人数で、自分に個別に話をしている」
と思って「対話」するのでは残る印象の深さが違います。

イベントに出る際はどうしても「手に入る個人情報の数の多さ」を重視してし
まいがちです。

数がどうでもいいとは言いません。しかし、それよりも「コミュニケーション
の深さ」が大事です。「非アクティブエントリー」をたくさん稼いでも、
採用成功という意味において益はありません。
(「イベントに出た効果」を社内説明するためには良いかもしれませんが)

究極の理想は「採用者数=応募者数」

これもこの仕事をやってきて本当に実感する言葉です。「たくさん集まった」
「たくさん選抜した」は採用成功とは直接関係ない、むしろ「ミスマッチな
人に時間を取られている」と思うべきです。

「深いコミュニケーションができるイベント」を具体的に言うと、以下の通り
です。

 ・少人数形式(学生1~10:人事1)での座談会や質問会があるイベント
 ・模擬面接&フィードバックを行うイベント
 ・ブースを訪問する形式のイベントでも一方的な説明ではなくブース内で少
  人数対話会を実施する

一方で、以下のようなイベントは「コミュニケーションが薄くなりやすい」と
いえます。

 ・特定のテーマについて話すパネルディスカッション形式イベント
 ・一方的なレクチャーを行うだけのイベント

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3.事前に学生をトレーニングしている(そのプロセスに関わることができる)
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「少人数で深くコミュニケーション、というのはわかるが、採用対象になるか
どうかも分からない学生と、じっくり話してくださいというのは効率が悪い」

というのが採用をする側のホンネなのではないでしょうか。私もそう思います。

「ならば、学歴 or 学校名などでセグメントされたイベントだ!」

確かに、それが流行りです。何より効果が分かりやすく「見える」し、
結果が出なくても「まあ○○大学が受けてくれただけでも良しとするか」「さ
すがに○○大学は他の会社からも内定が出るからな」となりやすい。

しかし、何度も言いますが、採用に繋がらないと意味がないのです。
(もちろん、短期的 or 長期的という話はあります)

よく「○○大学の学生だけのイベントに出たい」という声をいただくのですが、
そこにはある、根本的な視点が欠落しているように思えてならないのです。

「○○大学の学生があなたの会社を選ぶメリットがあるのか?」

ということです。

表面的なスペックで学生をセグメントしても採用成功につながりにくいでしょ
う。とはいえ「自社の採用基準をクリアする可能性の高い学生」に会えるイベ
ントだという担保が欲しい。

そこでお伝えしたいのが「事前に学生をトレーニングしている」イベントを選
びましょう、ということです。

具体的に言うと以下の通りです。

 ・イベントの事前に以下のようなトレーニングを受けた学生が参加する
  ―社会人への質問力トレーニングロープレを実施
  ―イベント出展企業のビジネスモデルと特徴を事前レクチャー済み
  ―自分なりの「企業の比較軸」を事前にワークショップで考えて参加
  ―選り好みせずに幅広い企業に興味を持つマインドを事前に習得

更に言えば「そのトレーニングプロセスに自分も関われる」ものがベストです。

なぜなら「トレーニングを受け、企業の採用基準をクリアする可能性の高い学
生」からしてみれば、自社の選考を受けるメリットは「ない」からです。

「完成品」の出来上がりを待つのではなく、トレーニングのプロセスに関わっ
てあげる。だから学生も自社のことを「特別な存在として見てくれる」のだと
思います。

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4.事後も定期的に接点がある
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2016卒採用スケジュールの特性上「3年(修士1年)の夏や秋に学生に会って
も、4年(修士2年)の春や夏の選考までつなぎ留めないといけない」という、
いかんともしがたい課題があります。

ですから、イベントを選ぶ際も「定期的な接点がある」ものを選ぶことが重要
です。

換言すると「一回会って、はい、さよなら」というイベントは、一時的な効果
(接触人数)は高くとも、採用成果にはつながりにくいということです。

具体的に言うと以下の通りです。

 ・出会った学生とイベント後も「定期交流会」「近況報告会」などで会える
 ・複数回に分かれたプログラムになっている
 (例:第一回はレクチャー、第二回は業務体験ワーク、第三回は交流会など)
 ・出会った学生と随時交流できる「場」がある
 
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◆まとめ
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1.埋もれない
2.学生と深いコミュニケーションができる
3.事前に学生をトレーニングしている(そのプロセスに自分も関われる)
4.事後も定期的に接点がある

つまり、

“ONE OF THEM”ではなく”SPECIAL”な存在として認知される

そんな設計がなされているイベントに出るべきではないでしょうか。

最後になりますが、

「合理化は大事だが、成果のために手間を惜しんでは本末転倒」

ということも大前提として銘記しておくべきでしょう。

 

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

しつこいですが、2015年卒の新卒求人倍率(1.61)は、2007年問題といざなみ
景気が重なった2006年卒採用(1.60)とほぼ同じ数字になりました。

2007年卒以降を見ると、2007年卒(1.89)、2008年卒、2009年卒(ともに2.14)
と上昇が続きます。リーマンショックが起きた直後の2010年卒ですら、1.62と
2015年卒と同程度の水準でした。

過去の歴史を見ても、求人倍率が「低下・横ばい」の状態から「上昇」の傾向
を見せたときというのは、1年で急激に下がるということは起こりにくいと
言えそうです。※経年グラフを参照

完全に売り手市場にシフトしそうです。

つまり何が言いたいかというと、2016年は「選考実施時期の変化」への適応も
さることながら「買い手市場から売り手市場への変化」にも適応できないと、
かなり痛い目にあってしまいそうであるということです。

——-

しかし、新卒採用というのは2~3年で担当者が変わってしまうものです。現
在、採用の現場に「2007年~2009年卒の売り手市場時代を生き抜いてきた経験」
のある採用担当者様がいらっしゃる会社は非常に少ないのではないかというの
が私の印象です。(かく言う私も2009年3月まで学生でした…)

そこで、今日は「売り手市場を生き抜く採用見直し5つのポイント」をまとめ
てみようと思います。

——-

1.学生にとってのハードルを減らす

 単純に言うと、まずは学生に会ってみるということです。

 買い手市場時代というのは、企業にも余裕があるため、会うまでに様々な物
 理的ハードルを課す企業が増えます。

 ・ナビにエントリーした後、マイページへの本エントリーを促す
 ・履歴書を持参しないと説明会に参加できない
 ・エントリーシートに合格しないと説明会に参加できない
 
 などが具体的な例です。

 これらは、効率的に応募者を絞り込むためには良い施策ですが、そもそも母
 集団が集まらない時代において、学生に過剰な物理的ハードルを課すのはナ
 ンセンスです。

 自社の採用フローを俯瞰的に見て「学生にとってそこまでして自社を受ける
 メリットがあるのか?」を一度冷静に考えてみる必要があると思います。

 「そんなこと言ったって、応募者全員に会えるわけではない」という話もあ
 ります。私は「物理的ハードルではなく、心理的ハードルを課しましょう」
 とよく申し上げるようにしています。
  
 例えば「採用実績校と採用人数を明示する」「採用基準とその背景を明示す
 る」「入社後の仕事内容を脚色なくリアルに伝える」「活躍社員と非活躍社
 員の特性を開示する」などです。

 物理的ハードルを課すのではなく、ミスマッチ学生に心理的ハードルを課し、
 セルフスクリーニングを促すのが良いと考えます。

——-

2.採用基準を減らす(不問要件を決める)

 「入社後鍛えれば済むようなことは大目に見ましょう」ということです。

 社会人と話し慣れていない、敬語がちぐはぐ、面接慣れしていない、社会人
 のマナーを知らない…

 こんなことで学生を落としていないでしょうか?

 最初は全く社会人とうまく話せない学生も、半年も仕事をすれば慣れます。
 社会のマナーやルールは、教えて叩き込めば済む話です。入社後すぐ現場に
 行くというのであれば、内定者期間にも教育は可能です。

 現在の面接評定表の項目を見て「これ、本当に新卒の採用選考時点で満たし
 ていないとダメだっけ?」と自問自答してみてください。

 採用基準を下げる必要はないですが「必須ではない事項(不問でよい事項)」
 を決めるだけで、格段に落とす学生は減るはずです。

 「就職したいんだけど、なかなか求める条件を満たす会社が無いんだよね」
 と言っていつまでも就職できない学生と同じミスを犯してしまうかもしれませ
 ん。

——-

3.初期選考で自己分析の深さ/志望度や自社理解度を問わない

 就職活動が厳しくなくなると、学生は「自分が将来何になりたいか?」「自
 分に合う会社とは?」「自分にとって働く上で大事にしたい価値観は?」等
 々を考えなくなります。

 そんなことしなくても就職できるという安心感があるからです。
 (私も学生時代本当に適当に過ごしてました。3年生になるまで「就活」
 という単語すら聞いたことのない、世間知らずもいいところな学生でした)

 また、企業研究も浅くなります。そのため、自然と面接では「薄っぺらいこ
 とをいう学生」が増えるでしょう。

 しかし、これは学生が悪いのではなく、外部環境の為に危機感が無いといっ
 ていいと思います。

 バブル時代の方に聞くと「将来やりたい事なんてなんにも考えてなかった」
 という声をよく聞きます。そういう人は入社後活躍しないかというと、そうでも
 ありません。

 採用選考時点の自己分析の深さ/志望度や自社理解度の高さと、入社後の活
 躍度合いには強い関連性は無いように感じます。

 特に、2016卒採用では就職ナビオープンの時期が遅くなりますから、余計に
 自己分析や志望度・企業研究も浅い学生と会うことが多くなるでしょう。

 そんな学生をどんどん落としていたら、採用できません。

 内定を出したとしても、それはどこの会社から見ても文句のない学生。
 辞退をされてしまうでしょう。

 こういった事情を鑑みると、特に選考初期の段階で、学生の自己分析や志望度・
 企業研究の深さを問うことは採用成功の妨げとなることを承知しておくべきです。

——-

4.「落とす」より「入れる」選考を意識する

 むしろ「選考の場こそ自己分析促進や、会社理解・志望度向上の機会だ」
 ととらえるべきでしょう。

 選考で学生の志望度を上げるには「学生の役に立つコンテンツ設計」「学生
 に納得感を与えるストーリー設計」に尽きると思います。

 「学生の役に立つコンテンツ設計」 
 ・自社の売り込みだけでなく、業界全体のことがわかる説明会
 ・業務ロープレや模擬面接付きの説明会
 ・ビジネススキルが身につくグループワーク選考
 ・フィードバックが得られる面接
 ・内定後の進路相談カウンセリング

 「この会社の説明会/選考は役に立つから、次も行こう」と思わせることで
 す。しかし、ただ学生応援を謳えばよいかというと、そうでもありません。
 独りよがりのコンテンツは学生にもわかってしまいます。「自社の持つリソ
 ースを活用して、学生のどんなニーズを満たすのか」を考えることが重要に
 なります。

 「学生に納得感を与えるストーリー設計」
 ・複数の先輩社員と個別で話ができる説明会
 ・面接の後に実施するオフィス見学
 ・入社後の業務を疑似体験するグループワーク選考
 ・経営者/役員からの「内定の理由/入社後の期待」フィードバック面談
 ・最終面接前に、1日出社体験
 ・社員との飲み会や、社内行事などに呼ぶ
 ・給与制度を開示する
 ・社員のキャリアパス例を複数提示する

 よく学生が入社理由に「入社後がイメージできた」と言います。これは言い
 換えると「入社後の人生(業務内容・職場環境・キャリア・人間関係)に関
 して、透明性の高い情報が得られた」ということだと思います。

 学生がどうしたら「入社後がイメージできるか」を考えることが重要になり
 ます。
 
——-

 ・放っておいても応募が来る
 ・放っておいても企業研究熱心で志望度の高い学生が来る

 ということはまずないと思って臨んだ方が良さそうです。

 「どうすれば自社に必要な人材を、必要数確保できるか?」
 
 という根本的な問いへと立ち返り、答えを考えてみるいい機会でしょう。

 

2015年採用も終了時期が見え、2016年卒採用のインターンシップに向け準備を
進められる企業様も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

2015採用が長引く企業様では、2015採用を継続して行う部隊と、2016年採用の
企画を行う部隊とに分かれているケースも聞きます。

しかし、敢えて言いますが、「インターンは採用(入社)に繋がらない場合、
コストが増えるだけ」です。

「採用広報時期が後ろ倒しになる」「学生との接触機会が減る」「ナビオープ
ン前から学生と接触をしなければ」「ならば、インターンだ!」

というのはあまりにも短絡的な思考といえます。インターン実施企業が増えて
も、学生の総数は増えませんので、とりあえず実施したというだけでは間違い
なく埋もれてしまいます。

しつこいですが、インターンと言う手段が目的化してしまうことはとても危険
です。

とりあえず流れに乗ってインターンをしてみたはいいが、収穫はなく手間だけ
増えた…こんなことなら夏休みでもとってしまえばよかった…

そんなことにならないために、下記6つの論点から

「学生がどのように自社の存在を認知するのか」
「学生がなぜ自社に興味を持つのか」
「学生が自社の選考を受けるメリットは」
「内定が複数出ても自社を選ぶメリットは」

を徹底的に研究するの必要があるでしょう。

———————————————————————

1.ゴール

まずそもそも、採用につなげたいのか、別に採用成果を求めない(CSRの一
環等)のかは事前にはっきりさせておくべきです。ここがあいまいだと全て中
途半端になります。

ちなみに、採用活動を担当する部署が関わるインターンは「採用成果を求める」
ものであるべき(短期的か長期的かという時期には幅があってもよい)で
す。そうでないなら、インターンに関わるべきではありません。

以下、ここでは「インターン参加者を採用したい」という目的を設定した前提
で話を進めます。

—–

2.全体の流れとスケジュール

インターンの募集受付時期や実施時期は、その後に行われる選考活動や内定ク
ロージングのフローとリンクしておかなくてはなりません。

実際は、意外とインターン活動と採用活動が企画時からリンクしていないケー
スが散見されます。

例えば、インターンを実施してから本選考実施まで何カ月も時間が開く、しか
もその間になにも学生のフォローアップを行わない、というのであればインタ
ーンを実施する意味が薄れます。

いつインターンを実施し、インターン参加者をどのタイミングでフォローして、
どういう方法で本選考に呼び込むのか、学生にどんなメリットを提供してあげ
れば本選考に参加してもらえるのか。

このような一連の流れと、スケジュールを事前に綿密に設計しておく必要があ
ります。

—–

3.集客チャネル

「就職ナビがインターンナビに、合同説明会がインターン合説にすげ変わった
だけ」で「広告を大量に出稿して学生を集める」というメカニズムに頼ってい
ては何も変わらないでしょう。

埋もれてしまいそもそも学生が応募してこない、または数は来るがターゲット
層がいないといった結果は容易に想像できます。

「どんな学生にインターンに来てほしいのか」
「ターゲットの学生に、どうしたら自社のインターンを認知してもらえるのか」
「ターゲットの学生にとって、自社のインターンを受けるメリットは何か
 (他の会社のインターンと比べて何がいいのか)」

上記のようなことを一気通貫で考えておくことがとても重要です。

集客チャネルに関しては、

「イベントに出るならターゲット層に限定されたもの、学生が有名企業目当て
 で来ていないもの(事前に参加企業が学生に知らされない等)に出る」
「内定者や若手社員を活用し、サークルやゼミ等に直接告知してもらう」

というのが望ましいと思われます。

—–

4.事前選考をどうするか

インターンの参加希望者に対して事前選考を実施する必要があるのか?
実施する場合、どのような流れでどんな選考を行うか?

これがとても大事になります。

調査によると、インターンの前に選考を実施したほうが学生の満足感が高い
そうです。

「自分は選ばれた特別な存在だ」という「特別感」「承認された・選ばれた感」
を感じられるからでしょう。

ただし、インターン選考では落としすぎないことも重要です。

学生にとってインターンの選考で落とされた会社は、本選考を受ける対象とし
て見られなくなってしまいます。採用成果を出したいと思ってインターンを実
施したのに参加者以外の「インターン選考落ち」学生をアンチに変えてしまっ
ては元も子もありません。

アンチを作るといえば、ひどい例を紹介しましょう。

最近ビジネスメディアで話題になった某企業が、以前行っていたことです。学
生の個人情報収集だけを目的として「架空インターン」(募集だけするが、全
員落とす。実際インターンはやっていない)をやっていました。

個人情報は手に入りますが、アンチの「死に母集団」が増えるだけです。百害
あって一利なしの愚策と言えるでしょう。

—–

5.選考へのつなぎとめ施策をどうするか

ただ、出会い、社名を認知させ、個人情報を回収するだけでなく「この会社の
本選考を受けてもいいかな」と本選考応募までつなげるデザインを行う必要が
あります。

学生がもともと就職先として志望していない企業に対し、「就職活動でこの会
社を受けてもいいかな」と思うようになる理由は、ただ一つ。

「この人たちと会うと、いつも自分の役に立つ何かが得られる」。

つまり、学生に対して真摯に関心を寄せ、学生目線に立ち「当社が持つリソー
スの中で、何を学生に提供したら喜んでもらえるか」を真剣に考え、実行に移
すことだと考えます。

—–

6.ターゲットに対応したコンテンツの見直し

身もふたもない話ですが、コンテンツが良ければ、告知の負担、実施後の選考
へのつなぎとめの負担をある程度軽減することが可能です。

もちろん逆も然りです。

コンテンツが学生の不満を買うようなものであればいくら大金を積んで告知し
ようと、手間をかけてフォローしようと採用成果につながることはありません。

コンテンツを企画する際の論点は
「ターゲットとなる学生の役に立つには?」という点を徹底的に
研究するべきだと思います。

学生のアンケート等を見ていると、必ずしも「リアル」な業務体験ができるか
どうかは問題ではなく「今後の人生や就職活動に役立つ経験ができたか」がす
べてであるように感じます。

コンテンツのリアル度を無理やり追求し、いわゆるアルバイトでもできるよう
な下流工程の仕事、単純作業などをやらせても「インターンから採用につなげ
る」という意味では効果が薄いでしょう。(内定者に覚悟をつけさせるなどは
できるかもしれません)

インターンでは、30歳後半や40歳前半の方がやる上流工程の仕事をデフォルメ・ゲ
ーム化した業務体験グループワークを実施するのは結構おすすめです。

将来の仕事をぼんやりとイメージすることができるし「この仕事が楽し
いと思ったらウチに向いている」という具合に、自社の本選考を受ける説得材
料を提示できるからです。

インターンを実施してみたいが、現場で何日も受け入れるのが難しい。学生に
やらせるのにちょうどいい仕事が無いという企業には一番良いと感じています。

—–

2016年はせっかくの変化のチャンスなので、学生にとっても自社の採用成功に
とっても最適なインターンの流れを見つめなおしてみたいものです。

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

今年もリクルートワークス研究所から大卒求人倍率が発表されました。

結果は1.61。

ちょうど、リーマンショック後の2010年卒採用(1.62)、2007年問題といざな
み景気が重なった2006年卒採用(1.60)の間の数字になりました。

弊社も売り手化するだろうとは思っていたものの、ここまで一気にとは…と驚
きを隠せない状態です。結果だけ見ると、過去の推移を見ていれば予測できた
のかもしれないと思ってしまうのですが、お恥ずかしい限りです…

——

マーケットを俯瞰すると、超人気企業の採用活動は「店じまい」。準大手・冠
系企業様の採用は最終局面に突入しそうな状況です。

一方の学生は、4月上旬に超人気企業に内定した学生は、あまり深く考えずに
就職活動終了。4月下旬には(学生から見た)規模やレベル観の近い会社から
複数の内定をもらった学生が会社を比較して、GW明けに結論を出し始める。
「無い内定」の学生は4月下旬から5月以降に向けて再度企業を探し始め
るという局面です。

もちろん毎年その傾向は強いですが、学生が今年はきれいに「規模・ブランド」
が上の企業から順番に受けているという印象をいつも以上に強く受けます。

そんな中で、企業側から見れば「どんなに丁寧に志望度をフォローアップして
も、ブランド企業に内定が出るとあっさり辞退される」という無力感に苛まれ
たという声も少なからずお聞きしています。

しかし、そんな環境下で、有名企業でもなく、大手企業でもない会社様が早々
に内定承諾をがっしり確保しているケースもお聞きします。

その秘訣は「選考をする「順序」を変えるだけで内定承諾率アップ」です。

これは今後市場が売り手化するに従い声を大にして提案していきたいキーワー
ドです。

——

元ネタは、私が尊敬してやまない海老原嗣生さんの著書『2社で迷ったらぜひ、
5社落ちたら絶対読むべき就活本 ― 受ける「順序」を変えるだけで、内定率
アップ!』です。

本書の概要は、以下のとおりと認識しています。

・学生はBtoCの超大手企業から受け、多くが全部落とされる

・GWに前後持ち駒が無くなり、あわててBtoB大手、準大手、冠系企業と
 順番に受けていく

・しかし、5月下旬にはBtoB大手、準大手、冠系企業は採用目標数の半数
 以上が決まっていることが多く、少ない枠に多くの学生がどっと押し寄せる
 ことになる

・そんなBtoB大手、準大手、冠系企業も、4月中はBtoCの超大手企業
 に内定者を取られ、採用に苦戦する

・4月のアタマからBtoB大手、準大手、冠系企業を受けておけば、Bto
 Cの超大手企業ほど落ちることはないし、BtoB大手、準大手、冠系企業
 も採用に苦戦している時期なので重宝してくれる

・つまり、受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

これと全く同じことが採用する側にも言えるのではないでしょうか。

——

つまり、こういうことです。
※主に「BtoCの超大手企業」以外の企業様を想定しています

・企業は第1クールでは上位校学生から内定を出し、多くに辞退される

・中堅校学生は第1クールでは相対的に見劣りするので、本来は内定を出せる
 レベルの人も多く落ちる

・GW前後に持ち駒が無くなり、あわてて第2クールでは中堅校の学生を順番
 に選考に呼ぶ

・しかし、5月下旬には中堅校の学生も内定先が決まっていることが多く、少
 ない「採用される可能性の高い」学生に多くの企業がどっと押し寄せること
 になる(母集団の質は落ちるので「第1クールで落とした学生を採っておけ
 ば」という思いが頭をよぎる)

・そんな中堅校の学生も、4月中はBtoCの超大手企業ばかりを受けており、
 就活に苦戦する

・4月のアタマから中堅校の学生に内定を出しておけば、BtoCの超大手企
 業とバッティングすることも相対的に減るし、中堅校の学生も内定を持って
 いないのでありがたがって内定を承諾してくれる。

・つまり、選考する「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

——

実際に弊社のお客様からも、選考する「順序」を変えて成功したケースをお聞
きしています。

上記では「上位校」「中堅校」と学校の偏差値の話になっていますが、何もそ
れに限る必要はないと思います。

以下のケースを見てみましょう。

<①中堅建設企業様>
 土木建築学科の学生は激戦区。内定を出してもスーパーゼネコンなどに決定
 して辞退。
 そこで、敢えて土木建築学科の学生は優先的に呼ばず、就職に比較的苦労し
 やすい理系学生(生物・物理・数学専攻など)に内定出し。

 土木建築学科の学生の方が、入社後業務に必要な資格を早く取得できるが、
 それも数年の話。その数年にこだわって、土木建築学科というだけで、能力
 や人物に目をつぶって採用するくらいなら、という決断でした。

<②大手BtoB企業様(学生にはあまり知られていない)> 
 機械・電気系の採用がマスト。これまでのデータ分析結果から、今年は「第
 1クールには大学院生を呼ばない(説明会枠を調整)」ことに。学部生や高
 専生をメインで早期の選考に呼び込みました。

 すると、内定承諾率が向上。早期に就活する院卒学生は、本命はBtoCの
 人気企業だったりします。内定を出しても、他の会社に推薦で入社するので
 辞退、というこもしょっちゅう。そこで「院生は早期の選考には呼ばない」
 という発想が生まれたそうです。

<③冠系Sier企業様>
 現存社員にサーベイを実施した結果、学歴と仕事のパフォーマンスにはそれ
 ほど強い相関性が無く、むしろ性格や価値観的な側面が入社後のパフォーマ
 ンスを分ける要因であると判明。

 第1クールでは上位校ではなく、中堅校の性格や価値観的がマッチする学生
 を選考に上げていき、大手人気企業とのバッティングを避けることに成功し
 内定承諾率がアップしたとのこと。

——

いかがでしょう?

「選考する『順序』を変えるだけで、内定率アップ!」ということが分かる例
だと思います。

誤解を避けるために追記しておくと、何も「誰でもいいから採用しましょう」
「妥協しましょう」と言っているわけではありません。承諾率上昇が優先し、
入社後活躍しない人をたくさん入社させては本末転倒というものです。

ここで注目すべきは上記①~③のすべてのケースで「自社の勝てるポジショニ
ング」を明確に決めていたということです。

すなわち「絶対に譲れない人材要件」と「別になくてもいいもの」を明確にし
て「やるべきではないこと」を決めていたということです。

①では、能力や人物要件を優先し「入社後資格が早く取れる学科であるか」は
求めなくても良い。入社後資格取得に少々時間がかかろうが、能力や人物面で
は妥協したくない、という背景があっての意思決定です。

②でも、院卒であることと入社後のパフォーマンスは関係ないという分析があ
り、院卒学生は、どうしても他社に辞退する人が多く、そこをひっくり返すの
に労力を割くべきではない、という合理的な判断です。

③も、自社の活躍人材像を分析したうえで、学歴ではなく、性格・価値観的側
面を見るべきだという明確な根拠があった上での採用戦略です。

——

今後も数年は売り手化が進むのであれば、前回のブログにも書いたように「自
社の勝てるポジショニング」を明確に決めることがより重要になってきます。

特に「やるべきではないことを決める」ということがキモになる気がします。

そのための、分かりやすい取組が「選考する『順序』を変える」ということで
はないでしょうか。

ぜひ共感する企業様には試していただけたらと思います。

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日のブログで下記のようなことを書きました。

■大卒採用数が16%増。就職市場が売り手化
 ⇒就活生の危機感が薄く、企業選びの基準が曖昧なまま有名度やイメージだ
  けで意思決定してしまう学生が目立つ
 ⇒自己承認欲求、自己有効感志向が強く、知名度などにあまり差が無い場合、
  「あなたが好きだよ」と言う企業が第一志望になる傾向がより強い。
  「愛するよりも愛されたい」傾向。

<ブログの詳細はこちら

——

先週、今週と複数の企業様の内定クロージングイベント・面談に参加する機会
がありましたが、やはり上記のような傾向が見られました。

また、昨年との違いは「内定クロージングイベント・面談すらもドタキャンす
る」学生が散見されることです。

深く悩みもしないで決めてしまう、ということと、大手人気企業が「今入社意
思を表明すれば、内定をやる」という強気のクロージングを進めていることが
背景にあるようです。

BtoB大手・中堅中小・ベンチャーの企業様にとっては、悩ましい状況です。

このような状況下では、当社も少し内定者クロージングに対する考えを改めな
いといけないという印象を強く受けています。

<従来>
・面談などで、学生の意思決定の軸を引き出し、合意する。
・本人の意思が固まるまで寄り添い、待つ。

<今年>
・内定に至った要因や評価しているポイントを丁寧にフィードバックし、採用
 したい、入社後活躍を期待しているという熱意を伝える。
・最終的に決めるのは本人であるというスタンスは維持しながら、企業選びの
 軸をこちらから提示したり、他社との違いをこちらから積極的にアピールし
 たり、期限を設けたりして、積極的に意思決定を促す。

——

「待ちの営業」⇒「攻めの営業」にシフトするというイメージでしょうか。

本人の意思決定の軸を引き出そうとしても、うまく引き出せない(深く考えて
いない)場合や、意思が固まるまで待っていると、より強くラブコールを送っ
た会社になびいてしまうという印象を持っています。

また、某大手自動車メーカーでは、4月の上旬から内定者研修を行うなど、他
社の選考を受けられないように事実上「拘束」するというケースも見られまし
た。採用数増を受け、なりふり構わずクロージングするという姿勢が見受けら
れます。

 

大手人気企業に対抗するには、以下のような戦略が必要になると考えています。

・会社説明会時点から大手人気企業と自社の違い(自社の特徴)を明確にし、
 セルフスクリーニングを促す(何が何でもブランドで企業を選ぶという人
 は向かないということを明示する)。
・大手人気企業よりも自社を選ぶメリットを明示する。
・「ブランド」ではない「企業選びの軸」を学生に明示する。(また「ブラン
 ド」だけで企業を選んでしまうデメリットと、自社の提示する「軸」で企業
 選びをするメリットを明示する)
 ⇒「ブランド」ではない自社が勝てる「軸」で企業選びを行ってもらうよう
  に学生に発信する。
・自己承認欲求を満たす。選考で評価した点や、入社してほしいと思っている
 背景、入社後期待していることを(誤解を与えない範囲で)丁寧にフィード
 バックする。
・どうしてもブランドだけで企業を選ぶ学生は、選考で落とす。内定を出して
 しまった場合は、早々にマイナスクロージングをする(NOの返事をもらう。
 引っ張らない)

営業を経験されている方ならピンとくるかもしれませんが、お客様の比較軸に
乗っかった提案をするのではなく、自社の勝てる比較軸でお客様が検討してく
ださるようにお客様に働きかけるというイメージです。

——

ベースとして必要になるのは「自社の勝てるポジショニング」を明確に決める
事だと考えます。

コトラー曰く、ポジショニングというのは「お客様の脳裏・心の中において、
独自性のある、且つ価値のある場所を占有するように、企業からの発信をデザ
インする活動」だそうです。

また、ポーター曰く「やるべきでないことを選択すること」だそうです。

・顧客価値(企業ブランド以外の、学生が自社に入社するメリット)は何か?
・ライバル(採用競合、ビジネスの競合ではなく応募学生が併願する会社)
 と自社の違いは何か?
・勝負すべきでない土俵(やるべきではないこと)は何か?

を明確にしたうえで、従来の慣習を疑い、採用活動のフローを構築していくこ
とが求められます。

内定クロージング最前線

2014年4月10日 (木曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

いよいよ内定クロージングが本格化しました。

先日某お客様企業にて、最終選考合格者に対する「意思決定イベント」を実施
してまいりました。

<イベントの概要はこちら

このお客様とは、昨年も「意思決定イベント」を実施していまして、以下学生
と接した所感をまとめてみました。

===============================================

【最終選考合格者と接した所感】

・昨年と比べ、そもそも就職活動に対する危機感がなく、企業選びの軸が曖昧。

 →企業選びの基準は?と聞くと、給与、福利厚生といった「外部要因」ばか
  りが目立つ。

—–

・就活に苦戦していないからか、いわゆる「人気有名企業」から内定が出ると
 あっさり就活を止めてしまう傾向。意思決定イベントも24名の参加枠に対し、
 最終的な参加者は12名だった。

 ※ここ数年は、たくさん内定を保持して、複数社内定者イベントにも参加
  して綿密に企業を比較してから決めるという傾向が見られた。

 →大手人気企業が、最終合格通知と同時に「今入社意思を表明すれば内定を
  出す」という、強気なクロージングをかけているとのこと。

 →「今決めろ」と言う企業に対し「待ってくれ」と言うと、内定を取り消さ
  れると思っているとのこと。クロージングの際には要注意。「内定が取り
  消されることはない」「正当な理由があれば待つ」「今すぐ安易に決める
  必要はない」と伝える。

—–

・自己承認欲求、自己有効感志向が強く「面接で評価してくれた企業、人事が
 熱意をもって口説いてくれる企業がいい企業」と感じている。極端に言うと、
 そこそこの有名度の企業に「あなたが好きだよ」と言われると一瞬で落ちる。

 →「愛されるよりも愛したい」というKinKi Kidsの歌がありましたが、その
  逆で「愛するよりも愛されたい」という欲望が垣間見えます。

—–

・なぜ、外部要因だけをみてきめる傾向が強く、自己承認欲求が強いのか

 →そもそも、就職活動に対する危機感が薄い。
 →社会人と接触する量が減っている。社会人サンプル収集経験が少ない。
 →「企業で働く」ことの実態理解が薄い。

—–

・ただ、大学生の性質はそんなに急に変わるはずもない。本質は一緒なはずだ
 が、いかんせん採用する企業側の視点が薄い。ただ、それは単純に社会人と
 の接点が少ない「世間知らず」なだけ。質が低下したとかいう類の問題では
 ない。

 ―自己承認欲求強い → よく言えば自己実現志向が強いということ。
 ―外部要因の比較  → よく言えばしたたか。

—–

・世間を知らないゆえに、会社選びの軸を考える際、表現の仕方が「自分本位」
 に聞こえてしまう。

 ○ 若いうちから裁量の大きな仕事ができそうな会社が良い
 × 若いうちから裁量を与えてくれる会社が良い

 ○ 自分を鍛えたい、成長したい
 × 自分を鍛えてくれる会社、成長させてくれる会社が良い
 
 ○ 「自分にしかできない」仕事を作りたい
 × 「自分だからできる」という特別感を感じられる仕事をさせてほしい

 ○ 上司や先輩社員との距離が近く、意見を言いやすい会社が良い
 × 上司や先輩社員が面倒を見てくれ、意見を聞いてくれる会社が良い

—–

【では、どうすればよいのか】

・内部要因(内的動機)的な「企業選びの基準」は、明確でない学生がほとん
 ど。基準を一緒に考えていくカウンセリングの様なスタンスで信頼関係を築
 くとよい。

・対話を通して「どの会社に入ったら幸せにしてもらえるか」と言う発想から
 「どの会社であれば自分が納得するか」という発想にシフトさせていく。

・信頼関係を築き、「企業選びの基準」が合意できたら、「企業選びの基準」
 に即して「説得材料」となる情報をぶつけて口説く。

・信頼関係ができていれば、強い口説きが通用する。社会の現実を知らない故
 に軸が無い。また利害関係なく就職活動の相談ができる社会人が周りにいな
 い。それゆえ信頼した社会人の言うことに影響を受けやすい。

・口説いて承諾した後は、内定承諾後~入社までの期間に覚悟醸成を行えばよ
 い。入念に入社前フォローを行わないと、入社後ギャップを感じる恐れ大。

———-

本当に採用は水物だと毎年感じます。

もちろん科学的に自社の採用活動の勝ちパターンを確立する必要はありますが、
一方で、個々の学生の志向に合わせて説得材料を臨機応変に提供できる「土俵
際のクロージング力」は、採用力向上を考えるうえで、まことに大きなファク
ターだと痛感します。

説得材料を提供するには、前回と重なりますが「(他社と比べた)自社の特徴
を熟知している」ということに尽きます。

弊社もお客様の特徴を捉え、採用力向上に貢献してまいりたいと思います。

 

採用力向上に必要なことを考える

2014年3月25日 (火曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日のニュースで、服部泰宏・横浜国立大学准教授が「採用学」なるものを確
立するべく研究を進めていらっしゃる、と言う記事を目にしました。

記事を拝見して、採用学とは「どうしたら採用活動がうまくいくか、体系的な
理論を確立しよう」「採用活動の効果検証方法を確立しよう」という学問であ
ると解釈しました。

我々はともすれば「採用って効果が分かりにくいですよね」というのを隠れ蓑
にして「採用がうまくいくというのはどういうことなのか」「今年の採用活動
は果たしてうまくいったのか」という難しい問いから逃げてしまいがちである
と思います。そこから逃げずに研究をされている服部准教授に深い尊敬の念を
抱かずにはおれません。

採用は確かに、数字で効果が図りにくい。また、景気などの影響を受けやすい。
入社後も研修、配属部署の業務との相性、上司や同僚との相性といった様々な
変数の影響を受ける。なので「採用って効果検証できないよね」「採用って正
解が無いよね」と言うことにしておいた方が楽なのだと思います。

弊社もお客様にアドバイス申し上げる際に「学生に向き合う」「採用活動に真
剣に取り組む」といった「空気語(=何か言っているようで実は何も言ってい
ない言葉」を使っていると深く反省しました。

そこで「ここはひとつ、採用がうまくいくために必要なことを、当社なりに体
系的に言語化してみようではないか」という動きが始まりました。

まだまだ手探りではありますが、下記に述べてみたいと思います。

———————————————————————-

●そもそも採用活動のゴールとは?
 必要な質の人材に必要な数入社してもらうこと

●そもそも「採用競争力」とは?
 
 採用競争力=企業力×採用担当の能力

●企業力とは?
 ―企業知名度(学生に就職先候補として認知されている度合いの高さ)
 ―待遇(給与や福利厚生・研修等の充実度)

→ただし、企業力は一朝一夕に変えることが難しい。
 採用競争力を上げるには、必然的に採用担当の能力を向上することが
 必要となる。

●採用担当の能力とは?
 採用担当の能力は以下の要素に大別される。
 (下から第1層~第5層と言う風にピラミッド構造になっているイメージ)

≪第1層:知識≫
 ・(他社と比べた上での)自社の特徴理解
 ・(自社の応募者に限らず幅広い層を対象とした)学生の心理・行動理解

≪第2層:マーケティング力≫
 ・ターゲット学生像を設定する力
 ・自社の採用市場におけるポジショニングを決定する力
 ・ターゲット学生が自社に入社するまでのストーリーを作成する力
  ―ターゲット学生はなぜ自社を就職先として認知するか?
  ―ターゲット学生はなぜ自社に応募するか?
  ―ターゲット学生はなぜ自社に入社するか?

≪第3層:プロジェクトマネジメント力≫
 ・上記ストーリーを現実にするための具体的な、アクションプラン(施策と
  スケジュール)を作成する力
 ・決められた納期どおりにアクションプランを推進する力
 ・臨機応変にアクションプランを修正・再度作成する力

≪第4層:営業力≫
 ・採用活動で接する学生の特性、ニーズを正確に把握する力
 ・その上で自社に合うかを見極める力
 ・自社に合う学生に対し「自社が他社と比べてなぜ合っているか」
  「相手のニーズにどれだけマッチするか」をわかりやすく伝える力

≪第5層:スペシャリティが必要なスキル群≫
 ・イベント(説明会・グループワーク選考等)企画スキル
 ・イベント(説明会・グループワーク選考等)運営スキル
 ・クリエイティブ(デザイン・コピーライティング等)スキル
 ・事務処理力
 
———-

●採用担当の能力向上のために

・第5層は、外部のプロフェッショナルにアウトソースすることが主流
・第4層(会社説明会のプレゼン、面接会場でのアテンド、電話での合否連絡
 等)、第3層(業務スケジュール管理と業務品質管理)、第2層(採用活動
 の戦略設計)についても、今後アウトソースが進む傾向。

 <背景>
 景気の変動や、採用活動の時期変更により、かつてないほど頻繁に採用活動
 のトレンドが変化する状況が続いている。

 また、新卒採用活動は人事のエントリー業務という位置づけの会社が多く、
 新卒採用担当は2~3年で担当変更となる。

 その状況下で「新卒採用のプロ(第4~2層の能力を持つ人材)を自社で育
 てる」事が困難、あるいは合理性が薄いと判断されるケースが多いと考えら
 れる。

・第1層:知識がすべてのベースであり、採用活動に関わる外部アウトソーサ
     ーに対し、前提情報を的確に伝えるためのキモとなる。ここだけは
     アウトソースすることが難しい。

———-

●採用活動を営業に例えると

・第1層:知識は、(競合商品と比べた)自社商品知識、顧客理解に相当する。
 ここが抜けていると、商品力が髙くとも売れない。

・第2~第4層を改善するところにとらわれてしまい、第1層の強化がおろそ
 かになるのは「顧客ニーズヒアリングや、他社営業との情報交換は全く行わ
 ず、ひたすら営業戦略を立て、スケジュールを作成し、営業ロープレだけを
 行っている」ようなものであり、本来目指すべき成果に結びつきにくい。

・第5層を内製化することは、サービス企画書やカタログを自社で手作りする
 といった行為に等しい。

———-

●つまり

・「採用競争力」を構成する要素は、企業力と採用担当の能力であるが、
 企業力を個人の意思で一朝一夕に向上させることは比較的難しい。

・したがって「採用競争力」を向上するには、採用担当の能力向上が必要となる

・採用担当の能力向上のためのキモ
 -(他社と比べた上での)自社の特徴理解
 -(自社の応募者に限らず幅広い層を対象とした)学生の心理・行動理解

以上

———————————————————————-

なかなか体系的に言葉で表すというのは難しいですね…

これからもどんどんブラッシュアップしていこうと思います。読者の皆様から
もぜひご意見を賜りたいと思います。

 

360度会社説明会レビュー

2014年3月10日 (月曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

弊社の話で恐縮なのですが、先日パフ/マジックドラゴン(以下パフグループ)
の会社説明会を開催しました。

その名も「360度会社説明会」。

当社が「情報を徹底的に開示し、学生と信頼関係を構築したうえでの採用を」
と謳うからには、当社自身が徹底的にそれを体現するような採用活動を行おう、
と言うコンセプトのものと企画されたこの会社説明会。

その内容は「社員はもちろん、すべてのステークホルダーの話が聞ける、360度
全ての角度から会社を理解できる」と言うものになりました。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

そんな会社説明会に参加したのは以下のような顔ぶれ。

・弊社代表(釘崎) 1名
・社員(全部署から) 10名

ここまでは割と普通なのですが・・・

・株主様 2名
・お客様(企業の採用責任者) 3名
・大学キャリアセンター責任者様 1名
・当社のパートナー(協力会社)様 2名
・元社員 4名

司会進行も、パートナーの方にお願いしました。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

コンテンツとしては、以下のような流れでした。

・社員紹介(バラエティ番組のように椅子を並べて行いました)
・社員以外のステークホルダー紹介(同上)
・学生と参加者の質問会
・立食形式の懇親会

===================================

「全てのステークホルダーと話すことで、透明性が高くなる。何より、どこも
こういうことやってないから、面白そうなんでとりあえずやってみましょう」

と言うことで実現したこの企画。

運営上の反省点は多々ありますが、ここで「ぶっちゃけ、すべてのステークホ
ルダーとコミュニケーションをとることで、なにがよいのか?」をしっかり振
り返ってみようと思います。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<良い点>
一言でいうとRJP(Realistic Job Preview)に尽きると思います。

業務体験こそないものの、第3者から「顧客からどんなことを期待・評価され
ているのか」「どんな人が向いているのか」を客観的に聞けるので、自分がこ
の会社に合うか合わないかは判断しやすいでしょう。

細かく分けると以下になります。

●良い点①:ミスマッチ者のセルフスクリーニング精度が高い
→学生の声「自分は合わないということがはっきりわかりました」

●良い点②:(入社するにしても)入社後のギャップを低減できる
→学生の声 「入社後どんな人と仕事するかが明確にイメージできました」

●良い点③:(参加前からある程度志望度の高い学生に対しては)情報開示をす
       ることで、納得感を醸成できる
→学生の声 「志望する理由がはっきりしました」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<課題>

●課題①:事前にターゲット学生の志望度は上げておく必要あり

ただ単に現状を開示すれば、勝手に志望度が上がるということはありません。
事前にある程度興味を持ってもらう仕掛け、また「これを今日ははっきりさせ
る!」と学生に目的意識を持った状態で参加してもらう仕掛けが必要と感じま
した。

●課題②:事前にミスマッチ者をセルフスクリーニングする仕組みが欲しい

もちろん、学生が「自分には合わないということわかった」と言うことはとて
も貴重なのですが、一方で社内外を巻き込み多大なマンパワーをかけて実施す
るので、できれば「興味はあるが、本当に自分に合うのか確かめたい」という
方が多く参加するということが理想だと感じました。(①と②は似ていますね)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<結論>
最初の接点ではなく、ある程度選考が進んだ段階で実施するのが望ましい

※あくまで土田の主観です

ただ、そもそもの趣旨である「全てのステークホルダーと話すことで、透明性
が高くなる」と言うのは間違っていなかったと思います。

個人的には、学生の立場で考えたときに「社員(ともすれば採用担当のみ)の
話だけを聞いて、会社を選べ」というのは流石に無理があるのではないかとい
う思いがずっとありました。今回の企画は通説へのアンチテーゼのような性格
が強かったと思います。

一方で、本当に会社を理解したければ
・人事以外の社員に会いに行く(いわゆるOB訪問)
・オフィスを見に行く、社員が利用する飲食店で社員の様子を見てみる
・株を買ってみる
・店舗や商品を利用してみる
・別の会社の人に「●●社は業界内ではどういう立ち位置ですか?」と聞く
・就職課職員や教授に「●●社に就職した先輩はどうなってますか」と聞く

などなど、いくらでも方法があるとは思います。学生が自分で努力すればいい
話なのに、採用活動でわざわざそんな場を作るべきかなのか、と言う議論の余
地はありそうです。

ただ、どうせ一定のお金とマンパワーをかけて採用広報をやるのであれば、人
事や現場社員のみによる「一人称」の話ではなく「三人称」の情報も届けた方
がいいのではないか、と言うのが私の考えです。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

余談ですが、この学生を採用するか否か?に関しても、学生の「一人称」の話
だけを聞いていていいのか、と言う問題意識があります。もちろん現在の採用
活動でも成績証明書や適性検査などを使って「一人称」以外の判断材料を収集
していますが、充分とは言えないでしょう。

OPEN ESの「紹介文」が物議を醸していますが、もっと多角的な判断方
法があってもいい気がします。

「応募者の部活動の様子を見に行く」
「応募者のゼミ発表会を見学する」
「応募者のアルバイト姿を見に行く」
「応募者の親友に面談する」

と言うような感じでしょうか。
(「応募者の部活動の様子を見に行く」は実際やっている企業様がいらっしゃ
 り非常に感銘を受けました)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

何にせよ「企業も学生もお互い選びあう」と言うことが当たり前に言われてい
る中で、お互いの判断材料の収集方法(会社説明会然り、選考然り)に何十年
も全く根本的なイノベーションが無いというのがおかしいのだと思います。

私たちも、今後も画期的な採用施策を生み出していくことで、採用活動の常識
に見えるウソを打破していきたいものです。