2014年初に、2016年卒の採用を考える
2014年1月10日 (金曜日)
明けましておめでとうございます。マジックドラゴンの土田です。
2014年は、直近に迫った2015卒採用もさることながら、2016年卒採用の「採用
活動時期変更」にどう対応するか、と言うことが大きなテーマになる年ととら
えています。
かく言う当社も「2016年卒向けのサービスはどうしようか」と、文字通り暗中
模索しているところであります。
そこで、採用活動時期変更が起こるとどうなるのか、と言うことを冷静になっ
て整理してみました。
ここでは、話を分かりやすくするために新卒採用市場に参加している企業を、
「学生が就職活動前から社名を知っているか否か(消費者知名度の高さ)」
「『経団連の指針』に従って選考活動をするか否か(経団連加盟企業か否か)」
という2つの軸に分けてプロットしてみたいと思います。
①「消費者知名度高」×「経団連加盟」
②「消費者知名度高」×「経団連非加盟」
③「消費者知名度低」×「経団連加盟」
④「消費者知名度低」×「経団連非加盟」
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①「消費者知名度高」×「経団連加盟」
このグループは正直、時期が変わっても応募者集めに困ることはないと思いま
す。しかし「まだ自社や自業界を志向していないが、優秀な人材」の確保はよ
り難しくなるのではないでしょうか。特定の「ターゲット層学生」には、就職
ナビ解禁の前にあの手この手で接触しておく必要がありそうです。
また、接触するだけでなく「就職先として認知してもらう」ところにも、もう
一つハードルがありそうです。肌感覚でしかありませんが、本当に能力の高い
学生は「今人気の企業・すでに大きくなった企業に入っても、下積みが長いだ
けで、自分の成長につながらない」と冷静な見方をしています。
製造業などでも地域・職種限定職などを設け、入社時から「リーダー候補」と
「プレイヤー候補」を分ける動きもありますが、そのように「優秀な人材は
『本当に』年齢に関係なく抜擢しリーダーとして育成する」という証拠を見せ
られない企業は、応募者はたくさん集まるがコア人材獲得に苦戦、ということ
になるのではないでしょうか。
リーダー候補人材を採用したいという意思表明だけでなく、リーダー候補とな
るような学生が自社を選ぶ理由・メリットをつくり、提示することが重要にな
ってきます。
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②「消費者知名度高」×「経団連非加盟」
外資系企業やメガベンチャー等がこれに当たりますが、このグループもさほど
応募集めには苦労しないと思います。経団連企業より先に選考を始め、クロー
ジングする。内定承諾したらインターン勤務や内定者研修などで拘束し「就職
活動を続けるより、ここのインターンや研修を受けるほうがメリットがある」
「別に大手有名企業の選考が始まるまで就活を続ける必要はない」と学生に思
ってもらうことがカギになると思います。
また、ターゲット学生に「会いに行く」、ターゲット学生が「入る理由」をつくり
提示することが不可欠、という点は①と共通です。
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③「消費者知名度低」×「経団連加盟」
BtoB上場企業など、学生には知られていない大手企業がここに属します。
このグループは、まずは学生に存在認知してもらうための機会確保が至上命題
になると思います。学校や学生団体とのパイプを構築し、就職情報会社に頼ら
ない学生接点をいかに作るか、と言うことがカギになります。
もともと企業としては大きいので、存在を認知してもらった後は「BtoBな
らではの醍醐味」を伝えて行くことが課題といえそうです。
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④「消費者知名度低」×「経団連非加盟」
学生に知られおらず、かつ規模も中堅中小(一部創業一族が経営者の大企業非
上場会社もあるかもしれませんが)が中心となるこのグループが最も「応募者
集め」および「内定者クロージング」に苦戦しそうです。
おすすめなのは、2段構えの採用です。「1段目」は、就職情報会社に頼らず
学生接触できるパイプを作っておき、人気企業の選考が始まる前(7月末)に
内定を出すようなスケジュール。「2段目」は大企業選考がひと段落した9月、
10月あたりから選考を行うスケジュール。「1段目」は内定辞退も覚悟の上
で優秀層を「口説き、入れる」選考フロー。「2段目」は確実に必要な人材を
必要な数だけ調達するためのフローです。
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ざっくりと書いてみましたが、結局どのグループの企業でも
A.就職ナビオープン前に、ターゲット学生にいかに接触するか
B.8月以降に予想される他社との内定バッティングにどう対応し、確実に内
定者をクロージングするか
が争点になると思います。
また、A.に関しては「就職情報会社を頼らない独自チャネル」の構築が採用
の成否を大きく分けそうです。
ナビのオープンは3月になるとはいえ、就職情報会社がナビオープン前に学生
と接触できるイベント等のサービスを用意するであろうことは容易に想像がつ
きます。
そして、就職情報会社に煽られた多数の企業がそれらのサービスに大挙して参
加することになれば、結局一部の人気企業以外は埋もれることになるでしょう。
文系理系問わず「OB/OGの教授との関係構築」「出身社員がいる部活/サ
ークル/学生団体との関係構築」「文化祭等の学校行事への協賛をきっかけに、
ターゲット校の学生と関係構築」「産学共同活動を通した学生との関係構築」
などが「就職情報会社を頼らない独自チャネル」と言えそうです。
また、上記のような活動が個社で難しいような「採用担当数者が少ない企業」
は、複数社合同で上記のようなパイプ作りを行うことも求められます。採用担
当者同士の横のつながりが大きな意味を持ってくると思います。
例えば、複数の会社が合同でキャリアセンターに「模擬面接講座をやりたい」
と売り込みに行ったり、合同で学生団体にアプローチしたり、などです。
昨今、ソーシャルメディア等の発達もあり、個別の企業同士や、企業と学生団
体が就職情報会社を介さずとも接点を持ちやすくなってきました。「就職情報
会社を頼らない独自チャネル」を築くのは比較的容易になっていると言えます。
(採用facebookページを作ればよいという意味ではなく、異なる企業の採用担
当同士が繋がったり、企業の採用担当者が学生団体にコンタクトを取りやすく
なったという意味です)
特に、放っておいても学生が集まってくるという企業以外では、採用担当が
「営業」として、学生とのチャネルづくりに注力し、なるべく「実作業」はア
ウトソースする、という流れが今以上に加速するのではないかと感じています。
弊社でもアウトソーシング事業を10年以上にわたって行ってきましたが、比
較的規模の大きい会社様から「請け負う業務の範囲」が広がってきていると強
く感じます。具体的には説明会の運営や面接会場での学生案内など、以前なら
それなりの規模の会社様であればアウトソースなど考えにくかった業務です。
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B.に関しては、一人ひとりの内定者の「意思決定基準」を細やかに把握し、
丁寧にクロージングする、この一言に尽きると思います。例え数十人、数百人
の採用規模でも「1対1」のクロージング場面をどれだけ作れるか?がカギに
なると思います。
そのためには、採用担当者は「実作業」に追われることなく、いつでも学生に
「クロージング訪問」できる体制を作ることが必須になります。
「採用担当者のコア業務」はより実作業から、対学生の「ジャッジ」「口説き」、
対社内の「調整」にウェイトがシフトしていくのではないでしょうか。
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また、矛盾するようですが「時期が変わったからといって本質的なことはあまり
変わらない」という視点も非常に重要になると思います。こういった変革期に浮
足立ってしまい、就職会社の言うがままの施策を実行し、これまでの「自社らし
い採用」が損なわれ、失敗したというケースを多く見てきました。
ターゲットの学生に就職先として認知してもらうことはどんな時代でも難しいで
すし、ターゲット学生を魅力付けし内定クロージングすることは、就活が何月か
ら始まろうが難しいものです。
時期変更とともに変えるべきもの、変える必要のないものを我々採用担当が整理
し、心得ておくというということが極めて大切です。