パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日のブログで下記のようなことを書きました。

■大卒採用数が16%増。就職市場が売り手化
 ⇒就活生の危機感が薄く、企業選びの基準が曖昧なまま有名度やイメージだ
  けで意思決定してしまう学生が目立つ
 ⇒自己承認欲求、自己有効感志向が強く、知名度などにあまり差が無い場合、
  「あなたが好きだよ」と言う企業が第一志望になる傾向がより強い。
  「愛するよりも愛されたい」傾向。

<ブログの詳細はこちら

——

先週、今週と複数の企業様の内定クロージングイベント・面談に参加する機会
がありましたが、やはり上記のような傾向が見られました。

また、昨年との違いは「内定クロージングイベント・面談すらもドタキャンす
る」学生が散見されることです。

深く悩みもしないで決めてしまう、ということと、大手人気企業が「今入社意
思を表明すれば、内定をやる」という強気のクロージングを進めていることが
背景にあるようです。

BtoB大手・中堅中小・ベンチャーの企業様にとっては、悩ましい状況です。

このような状況下では、当社も少し内定者クロージングに対する考えを改めな
いといけないという印象を強く受けています。

<従来>
・面談などで、学生の意思決定の軸を引き出し、合意する。
・本人の意思が固まるまで寄り添い、待つ。

<今年>
・内定に至った要因や評価しているポイントを丁寧にフィードバックし、採用
 したい、入社後活躍を期待しているという熱意を伝える。
・最終的に決めるのは本人であるというスタンスは維持しながら、企業選びの
 軸をこちらから提示したり、他社との違いをこちらから積極的にアピールし
 たり、期限を設けたりして、積極的に意思決定を促す。

——

「待ちの営業」⇒「攻めの営業」にシフトするというイメージでしょうか。

本人の意思決定の軸を引き出そうとしても、うまく引き出せない(深く考えて
いない)場合や、意思が固まるまで待っていると、より強くラブコールを送っ
た会社になびいてしまうという印象を持っています。

また、某大手自動車メーカーでは、4月の上旬から内定者研修を行うなど、他
社の選考を受けられないように事実上「拘束」するというケースも見られまし
た。採用数増を受け、なりふり構わずクロージングするという姿勢が見受けら
れます。

 

大手人気企業に対抗するには、以下のような戦略が必要になると考えています。

・会社説明会時点から大手人気企業と自社の違い(自社の特徴)を明確にし、
 セルフスクリーニングを促す(何が何でもブランドで企業を選ぶという人
 は向かないということを明示する)。
・大手人気企業よりも自社を選ぶメリットを明示する。
・「ブランド」ではない「企業選びの軸」を学生に明示する。(また「ブラン
 ド」だけで企業を選んでしまうデメリットと、自社の提示する「軸」で企業
 選びをするメリットを明示する)
 ⇒「ブランド」ではない自社が勝てる「軸」で企業選びを行ってもらうよう
  に学生に発信する。
・自己承認欲求を満たす。選考で評価した点や、入社してほしいと思っている
 背景、入社後期待していることを(誤解を与えない範囲で)丁寧にフィード
 バックする。
・どうしてもブランドだけで企業を選ぶ学生は、選考で落とす。内定を出して
 しまった場合は、早々にマイナスクロージングをする(NOの返事をもらう。
 引っ張らない)

営業を経験されている方ならピンとくるかもしれませんが、お客様の比較軸に
乗っかった提案をするのではなく、自社の勝てる比較軸でお客様が検討してく
ださるようにお客様に働きかけるというイメージです。

——

ベースとして必要になるのは「自社の勝てるポジショニング」を明確に決める
事だと考えます。

コトラー曰く、ポジショニングというのは「お客様の脳裏・心の中において、
独自性のある、且つ価値のある場所を占有するように、企業からの発信をデザ
インする活動」だそうです。

また、ポーター曰く「やるべきでないことを選択すること」だそうです。

・顧客価値(企業ブランド以外の、学生が自社に入社するメリット)は何か?
・ライバル(採用競合、ビジネスの競合ではなく応募学生が併願する会社)
 と自社の違いは何か?
・勝負すべきでない土俵(やるべきではないこと)は何か?

を明確にしたうえで、従来の慣習を疑い、採用活動のフローを構築していくこ
とが求められます。

内定クロージング最前線

2014年4月10日 (木曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

いよいよ内定クロージングが本格化しました。

先日某お客様企業にて、最終選考合格者に対する「意思決定イベント」を実施
してまいりました。

<イベントの概要はこちら

このお客様とは、昨年も「意思決定イベント」を実施していまして、以下学生
と接した所感をまとめてみました。

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【最終選考合格者と接した所感】

・昨年と比べ、そもそも就職活動に対する危機感がなく、企業選びの軸が曖昧。

 →企業選びの基準は?と聞くと、給与、福利厚生といった「外部要因」ばか
  りが目立つ。

—–

・就活に苦戦していないからか、いわゆる「人気有名企業」から内定が出ると
 あっさり就活を止めてしまう傾向。意思決定イベントも24名の参加枠に対し、
 最終的な参加者は12名だった。

 ※ここ数年は、たくさん内定を保持して、複数社内定者イベントにも参加
  して綿密に企業を比較してから決めるという傾向が見られた。

 →大手人気企業が、最終合格通知と同時に「今入社意思を表明すれば内定を
  出す」という、強気なクロージングをかけているとのこと。

 →「今決めろ」と言う企業に対し「待ってくれ」と言うと、内定を取り消さ
  れると思っているとのこと。クロージングの際には要注意。「内定が取り
  消されることはない」「正当な理由があれば待つ」「今すぐ安易に決める
  必要はない」と伝える。

—–

・自己承認欲求、自己有効感志向が強く「面接で評価してくれた企業、人事が
 熱意をもって口説いてくれる企業がいい企業」と感じている。極端に言うと、
 そこそこの有名度の企業に「あなたが好きだよ」と言われると一瞬で落ちる。

 →「愛されるよりも愛したい」というKinKi Kidsの歌がありましたが、その
  逆で「愛するよりも愛されたい」という欲望が垣間見えます。

—–

・なぜ、外部要因だけをみてきめる傾向が強く、自己承認欲求が強いのか

 →そもそも、就職活動に対する危機感が薄い。
 →社会人と接触する量が減っている。社会人サンプル収集経験が少ない。
 →「企業で働く」ことの実態理解が薄い。

—–

・ただ、大学生の性質はそんなに急に変わるはずもない。本質は一緒なはずだ
 が、いかんせん採用する企業側の視点が薄い。ただ、それは単純に社会人と
 の接点が少ない「世間知らず」なだけ。質が低下したとかいう類の問題では
 ない。

 ―自己承認欲求強い → よく言えば自己実現志向が強いということ。
 ―外部要因の比較  → よく言えばしたたか。

—–

・世間を知らないゆえに、会社選びの軸を考える際、表現の仕方が「自分本位」
 に聞こえてしまう。

 ○ 若いうちから裁量の大きな仕事ができそうな会社が良い
 × 若いうちから裁量を与えてくれる会社が良い

 ○ 自分を鍛えたい、成長したい
 × 自分を鍛えてくれる会社、成長させてくれる会社が良い
 
 ○ 「自分にしかできない」仕事を作りたい
 × 「自分だからできる」という特別感を感じられる仕事をさせてほしい

 ○ 上司や先輩社員との距離が近く、意見を言いやすい会社が良い
 × 上司や先輩社員が面倒を見てくれ、意見を聞いてくれる会社が良い

—–

【では、どうすればよいのか】

・内部要因(内的動機)的な「企業選びの基準」は、明確でない学生がほとん
 ど。基準を一緒に考えていくカウンセリングの様なスタンスで信頼関係を築
 くとよい。

・対話を通して「どの会社に入ったら幸せにしてもらえるか」と言う発想から
 「どの会社であれば自分が納得するか」という発想にシフトさせていく。

・信頼関係を築き、「企業選びの基準」が合意できたら、「企業選びの基準」
 に即して「説得材料」となる情報をぶつけて口説く。

・信頼関係ができていれば、強い口説きが通用する。社会の現実を知らない故
 に軸が無い。また利害関係なく就職活動の相談ができる社会人が周りにいな
 い。それゆえ信頼した社会人の言うことに影響を受けやすい。

・口説いて承諾した後は、内定承諾後~入社までの期間に覚悟醸成を行えばよ
 い。入念に入社前フォローを行わないと、入社後ギャップを感じる恐れ大。

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本当に採用は水物だと毎年感じます。

もちろん科学的に自社の採用活動の勝ちパターンを確立する必要はありますが、
一方で、個々の学生の志向に合わせて説得材料を臨機応変に提供できる「土俵
際のクロージング力」は、採用力向上を考えるうえで、まことに大きなファク
ターだと痛感します。

説得材料を提供するには、前回と重なりますが「(他社と比べた)自社の特徴
を熟知している」ということに尽きます。

弊社もお客様の特徴を捉え、採用力向上に貢献してまいりたいと思います。