評価方法と評価基準
2015年6月29日 (月曜日)
こんにちは。パフの田代です。
本日は「評価方法と評価基準」をテーマにコラムを執筆します。
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一般に面接官研修は採用シーズンの前に一括して行われることが多くあり
ますが、事後に行うことはあまりないようです。採用シーズン後にまで面
接官に研修を行う人的コストはかけられないということが理由に挙げられま
すが、面接後にこそ振り返りをしておくことをお勧めします。
特に次年度以降も面接官を担当する場合、自身の面接官としての評価を振
り返ることでノウハウや経験を正しく蓄積することができます。誤った面
接手法に気づかないまま次年度を迎えることは、採用活動全体へのリスク
に他なりません。こういったリスクを回避し、次年度の採用面接の質を向
上させるために面接後の振り返りを行いますが、その目的は次の3つにま
とめられます。
●自身の評価手法が正しかったかを知る
●自身の評価基準が適切だったかを知る
●自身の面接官としての態度が適切だったかを知る
では、面接後にはどのような振り返りをすればよいのでしょうか。まずは、
面接官ごとに自らの評価を振り返り、申し送り事項とともに他の面接官と
ディスカッションすることが重要です。
例えば、同一の応募者に対する自らの評価と他の面接官の評価にずれはな
いかを確認することで、自身の評価を客観的な基準と照らし合わせて振り
返ることができます。場合によっては、同一の応募者を複数の面接官がま
ったく逆の評価をしていることもあります。そのような場合に、自身の評
価を根拠とともに説明し、また別の面接官の意見を傾聴することで面接評
価をすり合わせることができます。
このような振り返りを行うことで、評価項目の確認(質問)方法のパター
ンはないか、評価表や申し送り事項をもっと役立つものにするにはどうす
ればいいかなど、次回以降の面接時にすぐに役立つ視座を得ることができ
ます。
また、人事採用担当者は面接を振り返ることで、評価項目と評価手法が正
しくマッチしていたかを確認しておかなければなりません。面接の評価表
の作り方についても常に改善が必要です。記入の方法がわかりづらい、評
価表のフォーマットでは書き漏れが生じるなど、運用を経ると改善すべき
ポイントが見えてきます。
次年度以降の採用活動のために早めに改善点を洗い出しておくことが重要
です。さらに、面接官ごとの評価の分析をすることで、個別の課題も見え
てきます。評価のポイントの分散傾向を見ることで中心化傾向を把握した
り、評価のコメントをみることで評価の適正を見たりすることができます。
他の面接官と著しく評価がずれる面接官には、場合によっては次回以降の
面接を依頼しないようにする必要があります。
今回のコラムは以上です。
良い面接官・悪い面接官
2015年6月15日 (月曜日)
こんにちは。パフの田代です。
本日は「良い面接官・悪い面接官」をテーマにコラムを執筆します。
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「良い面接官」には次のような特徴が挙げられます。
◎ 評価項目と評価基準を理解し、根拠のある評価を下すことができる。
◎ 評価項目に沿った質問をし、面接を進行することができる。
◎ 応募者の志望理由を見極め、志望度向上のために適切な対応をする。
◎ 関係法令やコンプライアンス上問題となるような言動を慎む。
「悪い面接官」はどうでしょう。具体的なケースをもとに考えて見ます。
× 評価項目を無視し、自分の価値観で評価をする。
× 質問の内容や意図にバラツキがあり、評価に根拠がない。
× 応募者の志望度を低下させたり、まちがった情報を与えたりする。
× 関係法令やコンプライアンス上問題となる言動をする。
面接官の良し悪しを判断するには、面接官が担う役割を整理しておかな
ければなりません。では面接官の役割とはなんでしょう。
<面接官が担う役割>
1.人物評価
応募者の本音・本質を見極め、合否の判断をする
2.情報提供
応募者の欲する情報を提供し、意思決定を支援する
3.動機形成
応募者に「是非、ここで働きたい」と思わせる動機づけをする
4.情報伝達
今後の選考やフォローのための効果的な情報を次の面接官に提供する
●人物評価とは?
応募者の能力、適性、意欲や入社に向けた状況などを見極め、合否のため
の評価をすることです。面接の主目的はここに集約されます。評価項目に
照らして応募者が秀でている能力や適性がどこなのか、反対に基準を満た
していない部分はないか。本人はどのくらい入社意志があり、入社に向け
て障害となることはなにかを見極めなければなりません。
●情報提供とは?
応募者が必要とする情報を提供することが面接官に求められますが、応募
者から質問されたことに答えるだけでは不十分です。応募者は自社に対す
る情報不足な状態であるだけでなく、自社に対して誤解をしている可能性
もあります。入社をためらう理由が誤解に基づくものであれば、すぐに修
正して動機付けをしなければなりません。
●動機形成とは?
まず動機形成には、正負両方の方向性があることを認識しておかなければ
なりません。基本的に応募者の入社意欲を喚起するための応対や情報提供
が必要ですが、全ての応募者の志望度を上げることが目的ではありません。
誤った情報に基づく志望動機を持っている応募者に対し、正しい情報提供
をすることによって応募者の志望度が下がったとしても、その動機づけは
間違った人材の入社を防ぐ手立てとなります。このように、応募者の状況
を見極めつつ動機形成をすることも面接官に求められます。
●情報伝達とは?
人物評価で見極めた情報を、人事採用担当者や次選考の面接官へ引き継ぐ
必要があります。応募者の内的状況として自身が評価できた項目はもちろ
んですが、次選考で確認すべきことや、入社に向けて心配な点は何なのか
も重要な点です。
また、応募者の外的な状況として、同時に受けている競合はどこなのか、
自社への入社の可能性は現時点でどの程度なのか。そして入社に向けて障
害となりそうな点はなにかも引き継ぎをするべき項目です。面接官の役割
は人物を評価することと同時に、良い応募者が自社に入社する可能性を少
しでも高めることです。そのための情報収集と伝達が求められるのです。
今回のコラムは以上です。
面接評価の振り返り方2
2015年6月1日 (月曜日)
こんにちは。パフの田代です。
本日は「面接評価の振り返り方2」をテーマにコラムを執筆します。
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前回のコラムでは「面接評価の振り返り方」について触れました。
まず、面接業務を担う面接官の「人選」が適切だったかどうかを振り
返る必要があります。面接官の人選が採用選考に与える影響は次のよ
うな点です。
●「応募者の評価と合否」を振り返る
面接官ごとの評価がどうだったのか分析することは大切です。面接官
として正しく評価ができていたのかどうかを判断し、正しく評価がで
きていない面接官には研修を受講していただいたり、代替の方がいる
場合は面接官業務を依頼する必要があります。
そのための評価指標としては、面接官個人レベルでの評価のバラツキ
を見ることで、中心化傾向や極端化傾向がないかを判断したり、面接
を担当した応募者がその後の選考に進んでいるかどうかで、評価基準
の正しさや応募者の志望度に与える影響を判断したりすることができ
ます。
もし、特定の面接官を通過した応募者の辞退率が高ければ、面接を通
して応募者の志望度を下げている可能性が考えられます。応募者への
マイナス印象は、BtoC企業ではカスタマーを失うことになるだけでな
く、コンプライアンス上の問題も疑う必要がでてきます。面接官の評
価と合否を分析することで、採用活動の品質チェックを行うこともで
きるのです。
●「面接官が対応できた応募者数」を振り返る
選考初期段階が最も応募者数が多く、それに伴い面接回数も多くなり
ます。そのため、選考初期段階の面接官は人数、時間ともに工数をか
ける必要があります。この工数計算が不足した場合、応募者を無用に
待たせてしまうことで選考辞退につながりかねません。また、面接官
も落ち着いて評価をするためには余裕のあるスケジューリングが必要
になります。
企業の採用活動が応募者に支持されるためには、スケジュールを守る
ということが挙げられます。このスケジュールを守るためにも、余裕
を持った応募者数の見込みと、その数に対応できるだけの面接官数、
また面接時間数を確保しなければなりません。振り返りの際には、面
接官の人数や時間が適切であったかどうか、採用側の都合で極端に選
考間の日数が空いてしまった応募者はいないかどうかを見ることが必
要になります。
今回のコラムは以上です。