「合説」はオワコン化したのか?
2014年1月27日 (月曜日)
こんにちは。マジックドラゴンの土田です。
先日、あるお客様が参加される合同企業説明会=合説を見学してきました。私
自身、なかなか合説の会場に足を運ぶことがないので、楽しみな気持ちで会場
に向かったのですが、何かがおかしい。
会場に学生がいないのです。
昨年比、3分の1程度の動員だったそうです。懸命に呼び込みをしても、ブー
スに座ったのはたった10名でした。
同様の情報を、他のお客様からも聞きます。
「大手ナビの合説に出たが、会場にそもそも学生がいない。終了時間の1時間
前には、学生がほとんど帰ってしまい、早めに店じまい」
「学内合説、79社企業がいるのに学生が80名程度しか来なかった」
BtoBの企業や、中堅中小企業、大手でも学生が敬遠しがちな業界の企業な
どでは「ブースに人が座らない」ということもままあるということは理解して
いたつもりです。
でも「そもそも会場に学生が来ない」というのは、リーマンショック後の採用
活動では考えにくかったことです。「採用活動は水物」と言うことを思い知ら
されます。
では、学生はどこにか消えてしまったのでしょうか?
2015卒採用戦線では、大手人気企業が12月中盤からひっきりなしにプレセミナ
ーを開催。「景気回復している」と聞き「見せかけの売り手市場」を信じて疑
わない学生たちは、例年以上に大手人気企業への集中傾向を見せています。
「そもそも会場に学生が来ない」合同説明会。来年以降、企業は費用投下に慎
重にならざるを得ないでしょう。
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一方で学生に話を聞くと、
「合説に言っても、知っている企業は人であふれかえっているし、知らない企
業はどこに行っていいかわからない」
「くたくたに疲れるだけで、何も得られない」
と言う答えが返ってきます。(勿論、上手に活用している学生はいます)
じゃあ、一体合説によって誰がハッピーになっているのだろうか…?
このままでは、完全に合説は「オワコン化」します。
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そうはいっても「企業と学生の出会いの場」という、元来合説が期待されてい
た本質的なニーズと言うのは、無くならないと思います。
では、就職情報会社は、どのような合説を生み出すべきなのでしょうか。また
採用担当の皆様におかれましては、どんな合説に費用を投下すべきなのでしょ
うか。
少し考えてみました。
①会場の学生全員に、存在を認知されることが確約されているもの
例)
→ブース形式だが、冒頭にすべての会社が1分程度で全学生の前で自社紹介
する時間がある
→小規模の会場で、来場したすべての学生と座談会を行える
②人気企業やプレゼントなどのエサ目的で学生を動員するのではなく、
イベントコンテンツそのものが学生に役に立つものになっているもの
例)
→模擬面接や模擬グループディスカッションを行い、学生が人事にフィード
バックを行う形式
→企業紹介だけが前面に出ておらず、学生が気軽に企業に質問・就活相談で
きる形式
③一回接点を作って終わりでなく、継続的な接点がもてるもの
例)
→数回のシリーズ制になっており、同じ学生と複数回会える
→イベントで会った学生と、定期的に交流する「場」が設けられている
④学生が出会った企業に「応募しやすくする仕組み」があるもの
→主催者側からイベント後に、学生に手厚く応募促進を行っている
→イベント前、または当日に、学生が主体的に企業を比較できるようなサポ
ートを主催者側が行っている
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一言でいうと
『学生のためになる内容か』『学生が主体的に知らない企業とも接点を持とう』
という設計になっているか、がカギではないでしょうか。
主催者が効率よく金儲けをするための設計はもちろん、とにかく効率よく自社
の売り込みをしたいという企業都合が全面に出た「学生の視座が欠如した合説」
は、結果的には採用に繋がりにくいと考えます。
2016卒採用では間違いなく「ナビオープン前に学生に接触しましょう」と就職
情報会社がしたり顔で合説を提案してくることでしょう。浮足立って、煽られ
ないようにしたいものです。
我々が「学生視座に立脚し設計された合説」を生みだし、チョイスすれば、学
生にとっても良い合説のみが生き残ります。学生に徒労感を感じさせ、採用に
もつながらない合説が淘汰され、結果的に我々の採用もうまくいく、というサ
イクルが生み出されることを切に願います。