ゴリラ的読書日記之3
2015年11月5日 (木曜日)
こんにちは。早速ですが、徒然なるままのゴリラ的読書感想を…
著書:
山岸俊男(2015)『「日本人」という、うそ -武士道精神は日本を復活させるか』筑摩書房。
動機:
戦略が組織に従うのか。それとも組織が戦略に従うのか。…鶏が先か、卵…
(ダサダサの持論はあるものの)未だに明瞭な解は分かりませんし、多分に一生かけて、引退際にようやくその尾っぽを掴める程度の真に不可解なテーマであると思います。そしてこの面倒臭いテーマをフト連想する機会が有り、今一度考察してみようと考え、同書を手にしました。
所感:
日本人は実は集団主義でない?日本人は調和を重んじるといった民族性は幻想?日本人は欧米人より個人主義?…といった非常に面白い仮説を提示している同書は、ビジネスを経験し、人間が織り成す「商い」の真の姿を体験したビジネスマンであれば、何処か納得するだろう内容です。その説の背景にある概念が「臨界質量」(物事は「正しい」から進むのではなく、「多い」から進む(注:自己解釈!!))と呼ばれる理論で、結局は数(量)の理屈がヒトの歴史を紡ぐのだというものです。
その観点に立つと、冒頭の問いに対しては、組織の賛同を獲ない戦略は絵に描いた餅であり、戦略が組織に従うのであると解釈できます。でも偉大な経営者が掲げたビジョンが物事を動かすこともあるし…との意見も出てきそうですが、重要なことは「魅力的なビジョンが発信される」☞「多くの賛同者が集まる」☞「物事が動き出す」、といった流れであり、あくまで動き出すための直接的なきっかけは数(量)であると考える方が現実的です。
…少し文脈は異なりますが、昔読んだヘンリー・ミンツバーグの書籍を思い出し、本質って至ってシンプルなものかもしれない、と思う今日この頃でした。
お薦め本:
- 山岸俊男(2011)『「しがらみ」を科学する:高校生からの社会心理学入門』筑摩書房。
- ダニエル・カーネマン(2014)『ファスト&フロー あなたの意思はどのように決まるか?(上下)』早川書房。
- 友野典男(2006)『行動経済学 経済は「感情」で動いている』光文社。
…ではまたの機会に。