パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

ゴリラ的読書日記之10

2016年3月17日 (木曜日)

こんにちは。いつまで続くやらと思ったら、もう10回目。記念すべき2桁達成。パチパチ……はい。

 

継続は力なりとは云いますが、確かに頭で把握したことを文字に変換する作業をルーティンで行うことで、幾ばくか表現する能力が向上した、気分になっております。気分は大切です。はい。

今回は完全に私の趣味の領域です。一貫性の欠片もございません。その前に小難しい書を読んだので、愉しく読書がしたいと思い、であるならば私には『歴史』しかありえません。

以前に子供の頃から『信長の野望』にハマり、高校生で『三國志』に浮気し、大学生で再び『信長の野望』に返り、社会人で二股状態にて落ち着く、という大人の階段を上ったという甘酸っぱい経緯を聞かれてもいないのに喋ったことがあるかと思いますが、お陰様で小学生の頃からジャンルを問わず、歴史に名を残したレジェンド達の伝記を読み漁っていました(もしかして独り?と不憫に思われた方もいらっしゃるかと思いますが、安心して下さい…はい)。

特に印象的であったのが、日本では野口英世、海外ではエジソン、でした。両名に共通していると自分が感ずるのが、共に幼少期に大きなハンデを背負ったにもかかわらず、不断の努力でその逆境を蹴散らし、レジェンドになったという点。遺伝も確かに個人の能力を確定させる上で重要な要因であることは確かですが、輻輳説で主張されているよう、環境も同じか、もしくはそれ以上に大事な要因であるのではないかと思わせるエピソードです。

「可愛い子には旅をさせよ」は一般化されるわけにはいかない考えではあることは間違いないですが、だからといってぬるま湯に浸り、悦に入ることもありえないと考えます。やはり適材適所。個々人が向き不向きを納得して決断する術を伝えることが私達大人の役割なのではないでしょうか。

…と歴史から適材適所へとかなりの飛躍をしてしまいましたが、改めて今回ご紹介したい著書は以下です。

□神野正史(2016)『最強の成功哲学書 世界史』ダイヤモンド社。

□動機:

冒頭で述べたよう、お口直しの一冊を捜していました。少し前から行きつけの本屋で平積みにされており、いつか読んだろと思っていたので、ちょうど良い機会。早速購入、となりました。

元々『歴史』が大好物であったことは事実ですが、前述のように、『歴史=イベントの時系列』ではなく、『歴史=レジェンドの歩み』が大大大好物で、特定の人物にフォーカスした歴史書が私のド・ストライクでございましたが故に、教訓を人物史から導出するこの本の形式はすんなりとその世界に入り込むことが出来ました。そして速攻で読破。ご馳走様でした。

□所感:

話し出したらお先が真っ暗。当分続き、引かれてしまいそうなので、特に印象に残るレジェンドとその教訓を以下に列挙します。

■東郷平八郎-諦めない者にのみ、女神がほほ笑む

云わずと知れた「東洋のネルソン」「陸の乃木、海の東郷」、日本を護った「軍神」として今も尚、多くの人々を魅了する日本が世界に誇る大提督。輝かしいキャリアを歩んできたのかと思いきや、実はリストラ寸前の老将軍であった。

ひょんなことから(『運の良い男』であるとの理由から)海軍のトップに抜擢され、結果見事に露のバルチック艦隊を撃破。しかしそこには2重にも3重にも尋常では無い程の幸運が重なった。そのことを十二分に理解していた東郷は連合艦隊の解散式にて「勝って兜の緒を締めよ」と主張したが、その真意が当時の日本人の心に届くことはなかった…

■フィリップ・ペタン-無能な働き者は処刑するしかない

仏では今も「役立たず」を表現する際に『マジノ線』という。対独戦で縦横無尽の活躍をしたペタンはその勝利を導いた彼の得意戦術「縦深陣地戦術(敢えて弱点を相手方に晒し、誘き寄せ、伏兵で叩く作戦)」を以後も完遂させるための要塞線、『マジノ線』を第一次大戦後に建設する。当時の国防費200億フランのうち、80%近くを使い、且つ維持費は140億フラン…ありえない。

時代が流れ、第二次大戦が勃発する。そして主戦場は陸から空へ。巨大な防衛線を易々と飛び越え、空爆を仕掛ける独軍に仏軍は成す術もなかった。ペタンは戦後無期禁固刑を受け、自らの非を認めながら、この世を去った。

■島津義弘-平時においては敵の弱点を突き、窮時においては敵の強点を攻む

天下分け目の大戦、関ヶ原。その中でも有名な『島津の前退』。その言葉が示すよう、「前に退く」ことを指している。

家康率いる東軍に囲まれた島津義弘率いる軍勢は義弘が発した言葉に耳を疑ったという。

「わが軍の周りで一番強固な部隊はどこだ??」「当然、家康本陣です!!」「よし。それではこれより我々は家康本陣に向けて撤退する!!」

孫子の兵法でも敵の弱点を突くことの利点を説き、この考えは現代の戦略論でも当たり前の一般論として定着している。しかしあくまで一般論。八方塞がりの状態で、一般論は通用しない。圧倒的な優位性を持った相手は間違いなく心の何処かに油断を抱く。それが最も自分の自慢する要所であれば尚更である。だからこそ敢えて常人ではありえない非合理性を突く。一か八かに賭け、リスクを背負い、勝負を仕掛ける。その道が「活路」であることを信じて。

□お薦め本

クレイトン・M・クリステンセン 他(2012)『イノベーション・オブ・ライフ』翔泳社。

楠木建(2013)『戦略読書日記』プレジデント社。

出口治明(2016)『「全世界史」講義Ⅰ・Ⅱ』新潮社。