パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

ゴリラ的読書日記之19

2016年8月23日 (火曜日)

こんにちは。ゴリラも19歳になりました。

成人式まであと少し。紋付き袴をレンタルせねば。

因みに『真田丸』の19回は「恋路」。茶々への淡い、叶わぬ恋心を抱く信繁が描かれ、その二人の縁深さ、そしてその顛末を知る者としては(恐らく史実から最も乖離した回であることは自覚しつつも)中々にく~~い演出で、それはそれはニンマリでした。

ゴリラも19。成人式を控え、そろそろ流石にあま~~い恋愛しても良い年頃ですね。

意味が不明な前説はここまでで、本題に早速移ろうと思います。ちゃんちゃん。

□森岡毅・今西聖貴(2016)『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』角川書店。

□動機:

私はD(大)の遊園地好きです。全日本FUJIYA○A選手権大会があれば、間違いなくメダルは圏内でしょう。

その選手権大会のルールは、ひたすらに「フジヤマッチョ。」(以下URL)をやり続ける。審査員がチェックし、一心不乱度を評価し、下位の連中から脱落させていく。おそらく全国から猛者(マッチョ)が集結するために、エントリー者は1,000名は堅いでしょう。ですので、多分に20回はFUJI○AMAに乗らなければならない..それはそれは過酷なレースになるはずです。まさに自らの筋肉(マッチョ)と精神(マッチョ)との対話。折れそうになる心(マッチョ)。悲鳴を上げる上腕二頭筋(マッチョ)..しかしオリンピック同様に、参加者(マッチョ)には周囲からのリスペクトの嵐。誰も地元を代表して参戦したエントリー者(マッチョ)を咎めることはないでしょう。それだけ日本に留まらず、全世界から注目を集める選手権大会である..ことを期待します。

実際に私は初めてこのFU○IYAMAに乗り込んだその時、むしろ「フジヤマッチョ。」をやるために乗り込んだといっても過言ではなく、皆と一心不乱度を競い合ったものです。無論、私が最も一心不乱なマッチョでしたが。(ご迷惑をお掛けした係員の方々。この場をお借りして、心よりお詫び申し上げます。若気の至り、でした)

↓フジヤマッチョ。そのイメージ

http://mixi.jp/view_community.pl?id=1172777

 

さて、この筆者らの戦場はタイトルにもあるよう、そして私の大好きなテーマパークの一つである、USJです(Spider-Man..本当にあれは飽きない。シャッターチャンスも係員の方に褒められる位に完璧です)。
報道でもUSJのV字回復は頻繁に報道されていたためにご存知の方も多いかと思いますが、どん底であった2009年(ピークであった2001年には約1,100万人いた来場者も、何と700万人を切るかという減少..)から立て直しを図り、見事2015年にはほぼ倍増。来場者数は1,400万人に迫る勢いでした。
そりゃ、ハリポタのお陰やん‼と云いたくもなる気持ちも分からなくもないですが、筆者が主張し、そして最も高い山場であったと想像しますが、ハリポタを建てるか建てないかを判断していた時期は、軍資金が枯渇し始めた時期と被り、年間利益の数年分が一気に吹き飛ぶこのPJはまさに会社の存亡を掛けた、一世一代の賭けであったとのことです(勿論、統計的に実証された成功のためのロードマップが存在したため、「賭け」ではないことは本書で述べられています)。
そして巻末には何と日本一のテーマパークであるTDLの月間(15年10月)来場者数をUSJが超えたと筆者らは結論付けています(96%の確率で。TDLは月間来場者数は公表していないため)。まさにジャイアントキリング..これは読まねば、です。
□所感:
本書には中々文系人間には難しい数学的なモデルが散りばめられていますが、むしろ文系人間にこそ読解しなければならない、まさにマーケターの教養として理解しなければならない、そんな内容でした。
筆者によると戦略(経営資源の配分先)は、①好感度、②認知、③配荷の向上しか選択肢がないとのこと。最も分かり易く確実、且つ効率的なdistributionは常に改善に改良を加えることで、向上を目指すことは勿論のことですが、それだけでは限界がある。認知に関しても、費用対認知伸長効果は恐ろしいほどに逓減していくため、いつかは壁にぶち当たる。そうなると残された伸びしろは好感度しかなく、好感度は即ち、消費者の「エボークド・セット(買っても良いと思っている幾つかのブランド群)」に最も強く影響を与える要因であり、このエボークド・セットは一度入れば中々動くことは無く、且つ購買プロセスの後工程で待ち構えているため、最終的な費用対効果(ワリに合うかどうか)に非常に大きな影響を与えるとのことでした。
俯瞰して、売り上げを構成する要素(①認知率、②配荷率、③過去購入率、④エボークド・セット率、⑤1年間に購入する率、⑥年間購入回数、⑦平均購入金額)のうち、コントロールが可能な①、②、③、④、⑦、そしてそれらにおいて好感度は、①を除き、ほぼ全てに強い影響力を有しており、好感度を上げることで、候補に入り、更にその中でより多く選ばれることで、売り上げが劇的に向上する可能性を秘めているとのことでした。(ご興味を持たれた方は是非、私の拙い話では上手く伝わないので、序章から3章までを一読ください)
好感度。非常に頼もしい指標ですね。
一方で、好感度。非常に恐ろしい指標でもあります。仮に逆に作用したら..
無意識にも私達は仕事をしていて、この好感度が与える威力を実感しています。むしろ仕事外でも、多くそれを感じる機会に遭遇します。
..おカネを出せば解決する代物でもなく、創るのに難しく、壊すのに容易い。そのくせに影響力が半端ない。且つ、結果を大きく左右する、もしくは成熟した市場においては最早ここでしか差異化できない。
このように現実を数式で示されてしまうと、良くも悪くも、出来る出来ないが一層明瞭になっていくことを実感する、(台風のせいで)嵐吹き荒れる今日この頃でした。
□お薦め本
小島(2005)『使える!!確率的思考』ちくま新書。
森岡(2014)『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか』角川書店。
小島(2015)『確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで』ブルーバックス。