パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

人生で3度、出会った本の話

2020年3月11日 (水曜日)

 

 

おはようございます。阿久根です。

暖かくなったり、寒くなったり気候が忙しい今日この頃ですが

皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

 

昨晩は雨が止んだ後、気温が上がっていたように感じます。

もうすぐ春、いや、もはやもう春なんだ!と感じてちょっぴりテンションが上がりました(笑)

 

街中は新型ウイルスの話題で持ちきりですが、ささやかな季節の変化も

逃さないでいれたら良いな、なんて思います。

 

 

パフでは毎朝、朝礼で「コミュニケーションタイム」という、社員同士が話す機会を設けています。

昨日は、石上さんが「最近読んだ本」というお題を出していて

それについて社員でわいわい話していました。

その時には私は異なる本について話したのですが、朝礼後改めて考えてみると

さまざまな本との出会いがあったことをふと思い出しました。

 

今日は出会った中でも特に印象的な本について少しだけ書いてみようと思います。

 

 

その本とは、オノ・ヨーコさんの「グレープフルーツ・ジュース」(講談社)です。

 

元々は1960年代に刊行された詩集だそうで、一貫して

「〜〜しなさい。」といった命令形で書かれた数々の詩がひとつにまとまっています。

 

私はこの本と3度の「出会いと別れ」を経験しました。

 

1度目は、2014年の春のこと。

国立新美術館のショップで、数々のアート作品が並べて販売されている中で

この本を見つけました。

「ジョンレノンのパートナーだったヨーコさんってどんな人だったんだろう?」といった純粋な興味から購入することに。

しかし、当時の私には、詩の字面を表面的にしか捉えることができず、

その言葉の奥底にある芯の部分を感じることは出来ませんでした。

よく分からないし、もう読まないと思う。と判断し、

約1年後、ブックオフに売ることで「お別れ」を決断しました。

 

2度目は、2019年の夏のこと。

改めてヨーコさんの詩を読んでみたい、と感じ購入を決めました。

1度目に読んだ時には気にも留めていなかった表現に

自分がきちんと反応するようになっていました。

いつしか、一日のはじめにパラパラとページをめくり、

たまたま開いたページの詩をテーマに今日は過ごす、という

毎日のルーティンが出来あがりました。

そんな日々を過ごす中で出会ったひとりの友人に、この本を貸しました。

その時なんとなく、「この本を贈ることになるかもしれない。」と

予感めいたものを感じたのですが、その予感は的中することに。

友人は新しい生活をはじめる準備で忙しくなり、会うタイミングを逃し、

友人はこの本と共にカナダに旅立ちました。これが2度目の別れでした。

 

3度目は、2020年の冬のこと。

カナダに旅立った友人から、「この本は何度でも読み返したくなるね」という

メッセージと共に、新しい「グレープフルーツ・ジュース」が

贈られました。これが3度目の出会い。

 

涙を誘う長編小説でも、難解なミステリーでもない、この本。

しかし、なぜかこの本とは不思議なめぐりあい方をするな、と思います。

もしかしたらこの本が私の鍵となり得るのかもしれません。

 

1度目の別れの後、ブックオフでこの本を手にとった人。

2度目の出会いの後、カナダで新しい生活を頑張っている友人。

どこかで会うのかもしれないし、もしかしたらもう会う機会はないかもしれないけれど。

同じタイミングでこの本を開くことは一回はあるんだろうなと考えると、

切ないような、わくわくするような気持ちが胸に広がりました。

 

次は石河さんです。