シンプルだけど、パーフェクト
2018年8月1日 (水曜日)
おはようございます!阿久根です。
今日からいよいよ8月ですね。
例年、7月まで梅雨でじとじとした日々が続いていたせいで、この月になってやっと夏を実感しているような状態だったのが、
今年はうだるような暑さの日々のため、「もう分かったよ、夏…」という気分になっています(笑)
ただ、暑すぎる日々にも私には一つ大きなメリットがあって。
それは、蚊に刺されにくくなっている事!どうやらこれは科学的にも証明されているみたいですね。
私は蚊に刺されやすい体質なのですが、夏になると腫れあがるほど刺されていた腕が、近頃全く腫れていない事に気付きました。
このまま刺されたくない!と思いながらももう少し気温は下がってほしいと矛盾した気持ちを抱いている、今日この頃です。
さて、突然ですが私は芸術が大好きです。
部活やサークルで歌を歌っていた事もありますが、鑑賞する方…ライブでピアノの生音を聴いたり、絵画やミュージカル、演劇を観たりと
観客として、演じる方々のパワーや感情からインスピレーションを受ける事が、とっても好きなのです。
入社して3ヶ月間、足を運ぶ余裕もなく行きたい美術展やイベントページを検索ブラウザで保存するだけの毎日が続いていたのですが
「そろそろ我慢できない!とびっきりのものが観たい!」と思い立ち、ついに先日友人と行ってきました。
「彼女と。」@国立新美術館 に!
この展覧会は「エルメスが送る究極のシネマ体験」と銘打たれているように、
老舗ブランドであるエルメスが、追い求める女性像を人格化した「彼女」にまつわるストーリーを
参加者と共に紡いでいく、という趣旨のものです。
※写真撮影・公開可の展覧会だったため、写真を掲載しております。ご了承ください。
まるで招待客のようなパスを身につけて、いざ会場へ!
参加者は「エキストラ」と「アクター」に分かれ、一連のお話を舞台のセット越しに鑑賞していきます。
アクターの参加者は「作家」役として実際にこの舞台に立ちます。この日のアクターは男性の方でした。
今まで隣にいた人が突然、「当事者」として物語を紡ぐ立場にいる。不信感に似た驚きの感情が芽生えます。
次から次へと舞台のセットを移動し、新たなストーリーを目の当たりにする。
次第に現実と物語の境目があやふやに。
「『彼女』は、実在するの?しないの?」
夢を見ているような不思議な感覚が胸に沁み渡ります。
セットの裏側、つまり私達参加者が移動するバックステージには、
その時々の場面で「彼女」が着ていたとされるお洋服が、小道具としてさりげなく展示してあります。
恋人と一緒にパーティーを抜け出すシーン。「彼女」は足元軽やかに、階段を下りたのかな?
きっといたずらっぽく笑っているはず。…と想像(創造?)が膨らむふくらむ
女友達と海でダイブするシーン。もう少ししたら戻ってくるかのような雰囲気。
私も白いブーツを履いて海に遊びに行きたい!
見えない「彼女」の姿を想像し、その無邪気さや聡明さ、そして華やかさの影の孤独を感じ。
その上で、私が追い求める人物像はどんなもの?私だったらどんな物語になる?こんなに美化されたい?…と
改めて考える良いきっかけとなりました。
この展覧会で一番印象に残っている台詞があります。
それは、「彼女」の知り合いの女性が、主催するパーティーに招かれた時の事を話す回想シーンでの一言。
「あの夜は、“シンプルだけどパーフェクト”、そんな夜でした。」
「彼女」という存在が教えてくれたのは、ただその場所に存在している事それだけで、
風景の一部となり、誰かの思い出の一部となって記憶され続けるということ。
誰よりも目立つ事も簡単。誰の目にも触れられないように隠れるのも簡単。
けれど、何かの一部となって存在感を放つという事が、一番貴く、難しいこと…。
エルメスが出している衣服や鞄も、華やかなものばかりでなく、細やかなディティールに
「らしさ」を醸し出しているものも多いと感じています。
例えばベージュのコートに施された鮮やかな橙色のライン。鞄が一番形よく見えるように設計されたマチ。
「流行っているから」「高級だから」…と上辺だけを見て「消費」するのではなく。
こうした小さな部分に込められている想いや情熱を、感じ取りきちんと受け取る事の大切さを学び、
そしてもっと「受け取れる」術を身につけたい!と強く思った時間でした。
これからも沢山のものを見て、感じて、心の宝箱の中身をどんどん充実させていきます。
お次は石河くんです。