パフスタッフが綴る何気ない日常。日々感謝をこめて。「パフ・ザ・マジックドラゴン 執務室」

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

しつこいですが、2015年卒の新卒求人倍率(1.61)は、2007年問題といざなみ
景気が重なった2006年卒採用(1.60)とほぼ同じ数字になりました。

2007年卒以降を見ると、2007年卒(1.89)、2008年卒、2009年卒(ともに2.14)
と上昇が続きます。リーマンショックが起きた直後の2010年卒ですら、1.62と
2015年卒と同程度の水準でした。

過去の歴史を見ても、求人倍率が「低下・横ばい」の状態から「上昇」の傾向
を見せたときというのは、1年で急激に下がるということは起こりにくいと
言えそうです。※経年グラフを参照

完全に売り手市場にシフトしそうです。

つまり何が言いたいかというと、2016年は「選考実施時期の変化」への適応も
さることながら「買い手市場から売り手市場への変化」にも適応できないと、
かなり痛い目にあってしまいそうであるということです。

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しかし、新卒採用というのは2~3年で担当者が変わってしまうものです。現
在、採用の現場に「2007年~2009年卒の売り手市場時代を生き抜いてきた経験」
のある採用担当者様がいらっしゃる会社は非常に少ないのではないかというの
が私の印象です。(かく言う私も2009年3月まで学生でした…)

そこで、今日は「売り手市場を生き抜く採用見直し5つのポイント」をまとめ
てみようと思います。

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1.学生にとってのハードルを減らす

 単純に言うと、まずは学生に会ってみるということです。

 買い手市場時代というのは、企業にも余裕があるため、会うまでに様々な物
 理的ハードルを課す企業が増えます。

 ・ナビにエントリーした後、マイページへの本エントリーを促す
 ・履歴書を持参しないと説明会に参加できない
 ・エントリーシートに合格しないと説明会に参加できない
 
 などが具体的な例です。

 これらは、効率的に応募者を絞り込むためには良い施策ですが、そもそも母
 集団が集まらない時代において、学生に過剰な物理的ハードルを課すのはナ
 ンセンスです。

 自社の採用フローを俯瞰的に見て「学生にとってそこまでして自社を受ける
 メリットがあるのか?」を一度冷静に考えてみる必要があると思います。

 「そんなこと言ったって、応募者全員に会えるわけではない」という話もあ
 ります。私は「物理的ハードルではなく、心理的ハードルを課しましょう」
 とよく申し上げるようにしています。
  
 例えば「採用実績校と採用人数を明示する」「採用基準とその背景を明示す
 る」「入社後の仕事内容を脚色なくリアルに伝える」「活躍社員と非活躍社
 員の特性を開示する」などです。

 物理的ハードルを課すのではなく、ミスマッチ学生に心理的ハードルを課し、
 セルフスクリーニングを促すのが良いと考えます。

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2.採用基準を減らす(不問要件を決める)

 「入社後鍛えれば済むようなことは大目に見ましょう」ということです。

 社会人と話し慣れていない、敬語がちぐはぐ、面接慣れしていない、社会人
 のマナーを知らない…

 こんなことで学生を落としていないでしょうか?

 最初は全く社会人とうまく話せない学生も、半年も仕事をすれば慣れます。
 社会のマナーやルールは、教えて叩き込めば済む話です。入社後すぐ現場に
 行くというのであれば、内定者期間にも教育は可能です。

 現在の面接評定表の項目を見て「これ、本当に新卒の採用選考時点で満たし
 ていないとダメだっけ?」と自問自答してみてください。

 採用基準を下げる必要はないですが「必須ではない事項(不問でよい事項)」
 を決めるだけで、格段に落とす学生は減るはずです。

 「就職したいんだけど、なかなか求める条件を満たす会社が無いんだよね」
 と言っていつまでも就職できない学生と同じミスを犯してしまうかもしれませ
 ん。

——-

3.初期選考で自己分析の深さ/志望度や自社理解度を問わない

 就職活動が厳しくなくなると、学生は「自分が将来何になりたいか?」「自
 分に合う会社とは?」「自分にとって働く上で大事にしたい価値観は?」等
 々を考えなくなります。

 そんなことしなくても就職できるという安心感があるからです。
 (私も学生時代本当に適当に過ごしてました。3年生になるまで「就活」
 という単語すら聞いたことのない、世間知らずもいいところな学生でした)

 また、企業研究も浅くなります。そのため、自然と面接では「薄っぺらいこ
 とをいう学生」が増えるでしょう。

 しかし、これは学生が悪いのではなく、外部環境の為に危機感が無いといっ
 ていいと思います。

 バブル時代の方に聞くと「将来やりたい事なんてなんにも考えてなかった」
 という声をよく聞きます。そういう人は入社後活躍しないかというと、そうでも
 ありません。

 採用選考時点の自己分析の深さ/志望度や自社理解度の高さと、入社後の活
 躍度合いには強い関連性は無いように感じます。

 特に、2016卒採用では就職ナビオープンの時期が遅くなりますから、余計に
 自己分析や志望度・企業研究も浅い学生と会うことが多くなるでしょう。

 そんな学生をどんどん落としていたら、採用できません。

 内定を出したとしても、それはどこの会社から見ても文句のない学生。
 辞退をされてしまうでしょう。

 こういった事情を鑑みると、特に選考初期の段階で、学生の自己分析や志望度・
 企業研究の深さを問うことは採用成功の妨げとなることを承知しておくべきです。

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4.「落とす」より「入れる」選考を意識する

 むしろ「選考の場こそ自己分析促進や、会社理解・志望度向上の機会だ」
 ととらえるべきでしょう。

 選考で学生の志望度を上げるには「学生の役に立つコンテンツ設計」「学生
 に納得感を与えるストーリー設計」に尽きると思います。

 「学生の役に立つコンテンツ設計」 
 ・自社の売り込みだけでなく、業界全体のことがわかる説明会
 ・業務ロープレや模擬面接付きの説明会
 ・ビジネススキルが身につくグループワーク選考
 ・フィードバックが得られる面接
 ・内定後の進路相談カウンセリング

 「この会社の説明会/選考は役に立つから、次も行こう」と思わせることで
 す。しかし、ただ学生応援を謳えばよいかというと、そうでもありません。
 独りよがりのコンテンツは学生にもわかってしまいます。「自社の持つリソ
 ースを活用して、学生のどんなニーズを満たすのか」を考えることが重要に
 なります。

 「学生に納得感を与えるストーリー設計」
 ・複数の先輩社員と個別で話ができる説明会
 ・面接の後に実施するオフィス見学
 ・入社後の業務を疑似体験するグループワーク選考
 ・経営者/役員からの「内定の理由/入社後の期待」フィードバック面談
 ・最終面接前に、1日出社体験
 ・社員との飲み会や、社内行事などに呼ぶ
 ・給与制度を開示する
 ・社員のキャリアパス例を複数提示する

 よく学生が入社理由に「入社後がイメージできた」と言います。これは言い
 換えると「入社後の人生(業務内容・職場環境・キャリア・人間関係)に関
 して、透明性の高い情報が得られた」ということだと思います。

 学生がどうしたら「入社後がイメージできるか」を考えることが重要になり
 ます。
 
——-

 ・放っておいても応募が来る
 ・放っておいても企業研究熱心で志望度の高い学生が来る

 ということはまずないと思って臨んだ方が良さそうです。

 「どうすれば自社に必要な人材を、必要数確保できるか?」
 
 という根本的な問いへと立ち返り、答えを考えてみるいい機会でしょう。

 

2015年採用も終了時期が見え、2016年卒採用のインターンシップに向け準備を
進められる企業様も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

2015採用が長引く企業様では、2015採用を継続して行う部隊と、2016年採用の
企画を行う部隊とに分かれているケースも聞きます。

しかし、敢えて言いますが、「インターンは採用(入社)に繋がらない場合、
コストが増えるだけ」です。

「採用広報時期が後ろ倒しになる」「学生との接触機会が減る」「ナビオープ
ン前から学生と接触をしなければ」「ならば、インターンだ!」

というのはあまりにも短絡的な思考といえます。インターン実施企業が増えて
も、学生の総数は増えませんので、とりあえず実施したというだけでは間違い
なく埋もれてしまいます。

しつこいですが、インターンと言う手段が目的化してしまうことはとても危険
です。

とりあえず流れに乗ってインターンをしてみたはいいが、収穫はなく手間だけ
増えた…こんなことなら夏休みでもとってしまえばよかった…

そんなことにならないために、下記6つの論点から

「学生がどのように自社の存在を認知するのか」
「学生がなぜ自社に興味を持つのか」
「学生が自社の選考を受けるメリットは」
「内定が複数出ても自社を選ぶメリットは」

を徹底的に研究するの必要があるでしょう。

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1.ゴール

まずそもそも、採用につなげたいのか、別に採用成果を求めない(CSRの一
環等)のかは事前にはっきりさせておくべきです。ここがあいまいだと全て中
途半端になります。

ちなみに、採用活動を担当する部署が関わるインターンは「採用成果を求める」
ものであるべき(短期的か長期的かという時期には幅があってもよい)で
す。そうでないなら、インターンに関わるべきではありません。

以下、ここでは「インターン参加者を採用したい」という目的を設定した前提
で話を進めます。

—–

2.全体の流れとスケジュール

インターンの募集受付時期や実施時期は、その後に行われる選考活動や内定ク
ロージングのフローとリンクしておかなくてはなりません。

実際は、意外とインターン活動と採用活動が企画時からリンクしていないケー
スが散見されます。

例えば、インターンを実施してから本選考実施まで何カ月も時間が開く、しか
もその間になにも学生のフォローアップを行わない、というのであればインタ
ーンを実施する意味が薄れます。

いつインターンを実施し、インターン参加者をどのタイミングでフォローして、
どういう方法で本選考に呼び込むのか、学生にどんなメリットを提供してあげ
れば本選考に参加してもらえるのか。

このような一連の流れと、スケジュールを事前に綿密に設計しておく必要があ
ります。

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3.集客チャネル

「就職ナビがインターンナビに、合同説明会がインターン合説にすげ変わった
だけ」で「広告を大量に出稿して学生を集める」というメカニズムに頼ってい
ては何も変わらないでしょう。

埋もれてしまいそもそも学生が応募してこない、または数は来るがターゲット
層がいないといった結果は容易に想像できます。

「どんな学生にインターンに来てほしいのか」
「ターゲットの学生に、どうしたら自社のインターンを認知してもらえるのか」
「ターゲットの学生にとって、自社のインターンを受けるメリットは何か
 (他の会社のインターンと比べて何がいいのか)」

上記のようなことを一気通貫で考えておくことがとても重要です。

集客チャネルに関しては、

「イベントに出るならターゲット層に限定されたもの、学生が有名企業目当て
 で来ていないもの(事前に参加企業が学生に知らされない等)に出る」
「内定者や若手社員を活用し、サークルやゼミ等に直接告知してもらう」

というのが望ましいと思われます。

—–

4.事前選考をどうするか

インターンの参加希望者に対して事前選考を実施する必要があるのか?
実施する場合、どのような流れでどんな選考を行うか?

これがとても大事になります。

調査によると、インターンの前に選考を実施したほうが学生の満足感が高い
そうです。

「自分は選ばれた特別な存在だ」という「特別感」「承認された・選ばれた感」
を感じられるからでしょう。

ただし、インターン選考では落としすぎないことも重要です。

学生にとってインターンの選考で落とされた会社は、本選考を受ける対象とし
て見られなくなってしまいます。採用成果を出したいと思ってインターンを実
施したのに参加者以外の「インターン選考落ち」学生をアンチに変えてしまっ
ては元も子もありません。

アンチを作るといえば、ひどい例を紹介しましょう。

最近ビジネスメディアで話題になった某企業が、以前行っていたことです。学
生の個人情報収集だけを目的として「架空インターン」(募集だけするが、全
員落とす。実際インターンはやっていない)をやっていました。

個人情報は手に入りますが、アンチの「死に母集団」が増えるだけです。百害
あって一利なしの愚策と言えるでしょう。

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5.選考へのつなぎとめ施策をどうするか

ただ、出会い、社名を認知させ、個人情報を回収するだけでなく「この会社の
本選考を受けてもいいかな」と本選考応募までつなげるデザインを行う必要が
あります。

学生がもともと就職先として志望していない企業に対し、「就職活動でこの会
社を受けてもいいかな」と思うようになる理由は、ただ一つ。

「この人たちと会うと、いつも自分の役に立つ何かが得られる」。

つまり、学生に対して真摯に関心を寄せ、学生目線に立ち「当社が持つリソー
スの中で、何を学生に提供したら喜んでもらえるか」を真剣に考え、実行に移
すことだと考えます。

—–

6.ターゲットに対応したコンテンツの見直し

身もふたもない話ですが、コンテンツが良ければ、告知の負担、実施後の選考
へのつなぎとめの負担をある程度軽減することが可能です。

もちろん逆も然りです。

コンテンツが学生の不満を買うようなものであればいくら大金を積んで告知し
ようと、手間をかけてフォローしようと採用成果につながることはありません。

コンテンツを企画する際の論点は
「ターゲットとなる学生の役に立つには?」という点を徹底的に
研究するべきだと思います。

学生のアンケート等を見ていると、必ずしも「リアル」な業務体験ができるか
どうかは問題ではなく「今後の人生や就職活動に役立つ経験ができたか」がす
べてであるように感じます。

コンテンツのリアル度を無理やり追求し、いわゆるアルバイトでもできるよう
な下流工程の仕事、単純作業などをやらせても「インターンから採用につなげ
る」という意味では効果が薄いでしょう。(内定者に覚悟をつけさせるなどは
できるかもしれません)

インターンでは、30歳後半や40歳前半の方がやる上流工程の仕事をデフォルメ・ゲ
ーム化した業務体験グループワークを実施するのは結構おすすめです。

将来の仕事をぼんやりとイメージすることができるし「この仕事が楽し
いと思ったらウチに向いている」という具合に、自社の本選考を受ける説得材
料を提示できるからです。

インターンを実施してみたいが、現場で何日も受け入れるのが難しい。学生に
やらせるのにちょうどいい仕事が無いという企業には一番良いと感じています。

—–

2016年はせっかくの変化のチャンスなので、学生にとっても自社の採用成功に
とっても最適なインターンの流れを見つめなおしてみたいものです。

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

今年もリクルートワークス研究所から大卒求人倍率が発表されました。

結果は1.61。

ちょうど、リーマンショック後の2010年卒採用(1.62)、2007年問題といざな
み景気が重なった2006年卒採用(1.60)の間の数字になりました。

弊社も売り手化するだろうとは思っていたものの、ここまで一気にとは…と驚
きを隠せない状態です。結果だけ見ると、過去の推移を見ていれば予測できた
のかもしれないと思ってしまうのですが、お恥ずかしい限りです…

——

マーケットを俯瞰すると、超人気企業の採用活動は「店じまい」。準大手・冠
系企業様の採用は最終局面に突入しそうな状況です。

一方の学生は、4月上旬に超人気企業に内定した学生は、あまり深く考えずに
就職活動終了。4月下旬には(学生から見た)規模やレベル観の近い会社から
複数の内定をもらった学生が会社を比較して、GW明けに結論を出し始める。
「無い内定」の学生は4月下旬から5月以降に向けて再度企業を探し始め
るという局面です。

もちろん毎年その傾向は強いですが、学生が今年はきれいに「規模・ブランド」
が上の企業から順番に受けているという印象をいつも以上に強く受けます。

そんな中で、企業側から見れば「どんなに丁寧に志望度をフォローアップして
も、ブランド企業に内定が出るとあっさり辞退される」という無力感に苛まれ
たという声も少なからずお聞きしています。

しかし、そんな環境下で、有名企業でもなく、大手企業でもない会社様が早々
に内定承諾をがっしり確保しているケースもお聞きします。

その秘訣は「選考をする「順序」を変えるだけで内定承諾率アップ」です。

これは今後市場が売り手化するに従い声を大にして提案していきたいキーワー
ドです。

——

元ネタは、私が尊敬してやまない海老原嗣生さんの著書『2社で迷ったらぜひ、
5社落ちたら絶対読むべき就活本 ― 受ける「順序」を変えるだけで、内定率
アップ!』です。

本書の概要は、以下のとおりと認識しています。

・学生はBtoCの超大手企業から受け、多くが全部落とされる

・GWに前後持ち駒が無くなり、あわててBtoB大手、準大手、冠系企業と
 順番に受けていく

・しかし、5月下旬にはBtoB大手、準大手、冠系企業は採用目標数の半数
 以上が決まっていることが多く、少ない枠に多くの学生がどっと押し寄せる
 ことになる

・そんなBtoB大手、準大手、冠系企業も、4月中はBtoCの超大手企業
 に内定者を取られ、採用に苦戦する

・4月のアタマからBtoB大手、準大手、冠系企業を受けておけば、Bto
 Cの超大手企業ほど落ちることはないし、BtoB大手、準大手、冠系企業
 も採用に苦戦している時期なので重宝してくれる

・つまり、受ける「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

これと全く同じことが採用する側にも言えるのではないでしょうか。

——

つまり、こういうことです。
※主に「BtoCの超大手企業」以外の企業様を想定しています

・企業は第1クールでは上位校学生から内定を出し、多くに辞退される

・中堅校学生は第1クールでは相対的に見劣りするので、本来は内定を出せる
 レベルの人も多く落ちる

・GW前後に持ち駒が無くなり、あわてて第2クールでは中堅校の学生を順番
 に選考に呼ぶ

・しかし、5月下旬には中堅校の学生も内定先が決まっていることが多く、少
 ない「採用される可能性の高い」学生に多くの企業がどっと押し寄せること
 になる(母集団の質は落ちるので「第1クールで落とした学生を採っておけ
 ば」という思いが頭をよぎる)

・そんな中堅校の学生も、4月中はBtoCの超大手企業ばかりを受けており、
 就活に苦戦する

・4月のアタマから中堅校の学生に内定を出しておけば、BtoCの超大手企
 業とバッティングすることも相対的に減るし、中堅校の学生も内定を持って
 いないのでありがたがって内定を承諾してくれる。

・つまり、選考する「順序」を変えるだけで、内定率アップ!

——

実際に弊社のお客様からも、選考する「順序」を変えて成功したケースをお聞
きしています。

上記では「上位校」「中堅校」と学校の偏差値の話になっていますが、何もそ
れに限る必要はないと思います。

以下のケースを見てみましょう。

<①中堅建設企業様>
 土木建築学科の学生は激戦区。内定を出してもスーパーゼネコンなどに決定
 して辞退。
 そこで、敢えて土木建築学科の学生は優先的に呼ばず、就職に比較的苦労し
 やすい理系学生(生物・物理・数学専攻など)に内定出し。

 土木建築学科の学生の方が、入社後業務に必要な資格を早く取得できるが、
 それも数年の話。その数年にこだわって、土木建築学科というだけで、能力
 や人物に目をつぶって採用するくらいなら、という決断でした。

<②大手BtoB企業様(学生にはあまり知られていない)> 
 機械・電気系の採用がマスト。これまでのデータ分析結果から、今年は「第
 1クールには大学院生を呼ばない(説明会枠を調整)」ことに。学部生や高
 専生をメインで早期の選考に呼び込みました。

 すると、内定承諾率が向上。早期に就活する院卒学生は、本命はBtoCの
 人気企業だったりします。内定を出しても、他の会社に推薦で入社するので
 辞退、というこもしょっちゅう。そこで「院生は早期の選考には呼ばない」
 という発想が生まれたそうです。

<③冠系Sier企業様>
 現存社員にサーベイを実施した結果、学歴と仕事のパフォーマンスにはそれ
 ほど強い相関性が無く、むしろ性格や価値観的な側面が入社後のパフォーマ
 ンスを分ける要因であると判明。

 第1クールでは上位校ではなく、中堅校の性格や価値観的がマッチする学生
 を選考に上げていき、大手人気企業とのバッティングを避けることに成功し
 内定承諾率がアップしたとのこと。

——

いかがでしょう?

「選考する『順序』を変えるだけで、内定率アップ!」ということが分かる例
だと思います。

誤解を避けるために追記しておくと、何も「誰でもいいから採用しましょう」
「妥協しましょう」と言っているわけではありません。承諾率上昇が優先し、
入社後活躍しない人をたくさん入社させては本末転倒というものです。

ここで注目すべきは上記①~③のすべてのケースで「自社の勝てるポジショニ
ング」を明確に決めていたということです。

すなわち「絶対に譲れない人材要件」と「別になくてもいいもの」を明確にし
て「やるべきではないこと」を決めていたということです。

①では、能力や人物要件を優先し「入社後資格が早く取れる学科であるか」は
求めなくても良い。入社後資格取得に少々時間がかかろうが、能力や人物面で
は妥協したくない、という背景があっての意思決定です。

②でも、院卒であることと入社後のパフォーマンスは関係ないという分析があ
り、院卒学生は、どうしても他社に辞退する人が多く、そこをひっくり返すの
に労力を割くべきではない、という合理的な判断です。

③も、自社の活躍人材像を分析したうえで、学歴ではなく、性格・価値観的側
面を見るべきだという明確な根拠があった上での採用戦略です。

——

今後も数年は売り手化が進むのであれば、前回のブログにも書いたように「自
社の勝てるポジショニング」を明確に決めることがより重要になってきます。

特に「やるべきではないことを決める」ということがキモになる気がします。

そのための、分かりやすい取組が「選考する『順序』を変える」ということで
はないでしょうか。

ぜひ共感する企業様には試していただけたらと思います。

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日のブログで下記のようなことを書きました。

■大卒採用数が16%増。就職市場が売り手化
 ⇒就活生の危機感が薄く、企業選びの基準が曖昧なまま有名度やイメージだ
  けで意思決定してしまう学生が目立つ
 ⇒自己承認欲求、自己有効感志向が強く、知名度などにあまり差が無い場合、
  「あなたが好きだよ」と言う企業が第一志望になる傾向がより強い。
  「愛するよりも愛されたい」傾向。

<ブログの詳細はこちら

——

先週、今週と複数の企業様の内定クロージングイベント・面談に参加する機会
がありましたが、やはり上記のような傾向が見られました。

また、昨年との違いは「内定クロージングイベント・面談すらもドタキャンす
る」学生が散見されることです。

深く悩みもしないで決めてしまう、ということと、大手人気企業が「今入社意
思を表明すれば、内定をやる」という強気のクロージングを進めていることが
背景にあるようです。

BtoB大手・中堅中小・ベンチャーの企業様にとっては、悩ましい状況です。

このような状況下では、当社も少し内定者クロージングに対する考えを改めな
いといけないという印象を強く受けています。

<従来>
・面談などで、学生の意思決定の軸を引き出し、合意する。
・本人の意思が固まるまで寄り添い、待つ。

<今年>
・内定に至った要因や評価しているポイントを丁寧にフィードバックし、採用
 したい、入社後活躍を期待しているという熱意を伝える。
・最終的に決めるのは本人であるというスタンスは維持しながら、企業選びの
 軸をこちらから提示したり、他社との違いをこちらから積極的にアピールし
 たり、期限を設けたりして、積極的に意思決定を促す。

——

「待ちの営業」⇒「攻めの営業」にシフトするというイメージでしょうか。

本人の意思決定の軸を引き出そうとしても、うまく引き出せない(深く考えて
いない)場合や、意思が固まるまで待っていると、より強くラブコールを送っ
た会社になびいてしまうという印象を持っています。

また、某大手自動車メーカーでは、4月の上旬から内定者研修を行うなど、他
社の選考を受けられないように事実上「拘束」するというケースも見られまし
た。採用数増を受け、なりふり構わずクロージングするという姿勢が見受けら
れます。

 

大手人気企業に対抗するには、以下のような戦略が必要になると考えています。

・会社説明会時点から大手人気企業と自社の違い(自社の特徴)を明確にし、
 セルフスクリーニングを促す(何が何でもブランドで企業を選ぶという人
 は向かないということを明示する)。
・大手人気企業よりも自社を選ぶメリットを明示する。
・「ブランド」ではない「企業選びの軸」を学生に明示する。(また「ブラン
 ド」だけで企業を選んでしまうデメリットと、自社の提示する「軸」で企業
 選びをするメリットを明示する)
 ⇒「ブランド」ではない自社が勝てる「軸」で企業選びを行ってもらうよう
  に学生に発信する。
・自己承認欲求を満たす。選考で評価した点や、入社してほしいと思っている
 背景、入社後期待していることを(誤解を与えない範囲で)丁寧にフィード
 バックする。
・どうしてもブランドだけで企業を選ぶ学生は、選考で落とす。内定を出して
 しまった場合は、早々にマイナスクロージングをする(NOの返事をもらう。
 引っ張らない)

営業を経験されている方ならピンとくるかもしれませんが、お客様の比較軸に
乗っかった提案をするのではなく、自社の勝てる比較軸でお客様が検討してく
ださるようにお客様に働きかけるというイメージです。

——

ベースとして必要になるのは「自社の勝てるポジショニング」を明確に決める
事だと考えます。

コトラー曰く、ポジショニングというのは「お客様の脳裏・心の中において、
独自性のある、且つ価値のある場所を占有するように、企業からの発信をデザ
インする活動」だそうです。

また、ポーター曰く「やるべきでないことを選択すること」だそうです。

・顧客価値(企業ブランド以外の、学生が自社に入社するメリット)は何か?
・ライバル(採用競合、ビジネスの競合ではなく応募学生が併願する会社)
 と自社の違いは何か?
・勝負すべきでない土俵(やるべきではないこと)は何か?

を明確にしたうえで、従来の慣習を疑い、採用活動のフローを構築していくこ
とが求められます。

内定クロージング最前線

2014年4月10日 (木曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

いよいよ内定クロージングが本格化しました。

先日某お客様企業にて、最終選考合格者に対する「意思決定イベント」を実施
してまいりました。

<イベントの概要はこちら

このお客様とは、昨年も「意思決定イベント」を実施していまして、以下学生
と接した所感をまとめてみました。

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【最終選考合格者と接した所感】

・昨年と比べ、そもそも就職活動に対する危機感がなく、企業選びの軸が曖昧。

 →企業選びの基準は?と聞くと、給与、福利厚生といった「外部要因」ばか
  りが目立つ。

—–

・就活に苦戦していないからか、いわゆる「人気有名企業」から内定が出ると
 あっさり就活を止めてしまう傾向。意思決定イベントも24名の参加枠に対し、
 最終的な参加者は12名だった。

 ※ここ数年は、たくさん内定を保持して、複数社内定者イベントにも参加
  して綿密に企業を比較してから決めるという傾向が見られた。

 →大手人気企業が、最終合格通知と同時に「今入社意思を表明すれば内定を
  出す」という、強気なクロージングをかけているとのこと。

 →「今決めろ」と言う企業に対し「待ってくれ」と言うと、内定を取り消さ
  れると思っているとのこと。クロージングの際には要注意。「内定が取り
  消されることはない」「正当な理由があれば待つ」「今すぐ安易に決める
  必要はない」と伝える。

—–

・自己承認欲求、自己有効感志向が強く「面接で評価してくれた企業、人事が
 熱意をもって口説いてくれる企業がいい企業」と感じている。極端に言うと、
 そこそこの有名度の企業に「あなたが好きだよ」と言われると一瞬で落ちる。

 →「愛されるよりも愛したい」というKinKi Kidsの歌がありましたが、その
  逆で「愛するよりも愛されたい」という欲望が垣間見えます。

—–

・なぜ、外部要因だけをみてきめる傾向が強く、自己承認欲求が強いのか

 →そもそも、就職活動に対する危機感が薄い。
 →社会人と接触する量が減っている。社会人サンプル収集経験が少ない。
 →「企業で働く」ことの実態理解が薄い。

—–

・ただ、大学生の性質はそんなに急に変わるはずもない。本質は一緒なはずだ
 が、いかんせん採用する企業側の視点が薄い。ただ、それは単純に社会人と
 の接点が少ない「世間知らず」なだけ。質が低下したとかいう類の問題では
 ない。

 ―自己承認欲求強い → よく言えば自己実現志向が強いということ。
 ―外部要因の比較  → よく言えばしたたか。

—–

・世間を知らないゆえに、会社選びの軸を考える際、表現の仕方が「自分本位」
 に聞こえてしまう。

 ○ 若いうちから裁量の大きな仕事ができそうな会社が良い
 × 若いうちから裁量を与えてくれる会社が良い

 ○ 自分を鍛えたい、成長したい
 × 自分を鍛えてくれる会社、成長させてくれる会社が良い
 
 ○ 「自分にしかできない」仕事を作りたい
 × 「自分だからできる」という特別感を感じられる仕事をさせてほしい

 ○ 上司や先輩社員との距離が近く、意見を言いやすい会社が良い
 × 上司や先輩社員が面倒を見てくれ、意見を聞いてくれる会社が良い

—–

【では、どうすればよいのか】

・内部要因(内的動機)的な「企業選びの基準」は、明確でない学生がほとん
 ど。基準を一緒に考えていくカウンセリングの様なスタンスで信頼関係を築
 くとよい。

・対話を通して「どの会社に入ったら幸せにしてもらえるか」と言う発想から
 「どの会社であれば自分が納得するか」という発想にシフトさせていく。

・信頼関係を築き、「企業選びの基準」が合意できたら、「企業選びの基準」
 に即して「説得材料」となる情報をぶつけて口説く。

・信頼関係ができていれば、強い口説きが通用する。社会の現実を知らない故
 に軸が無い。また利害関係なく就職活動の相談ができる社会人が周りにいな
 い。それゆえ信頼した社会人の言うことに影響を受けやすい。

・口説いて承諾した後は、内定承諾後~入社までの期間に覚悟醸成を行えばよ
 い。入念に入社前フォローを行わないと、入社後ギャップを感じる恐れ大。

———-

本当に採用は水物だと毎年感じます。

もちろん科学的に自社の採用活動の勝ちパターンを確立する必要はありますが、
一方で、個々の学生の志向に合わせて説得材料を臨機応変に提供できる「土俵
際のクロージング力」は、採用力向上を考えるうえで、まことに大きなファク
ターだと痛感します。

説得材料を提供するには、前回と重なりますが「(他社と比べた)自社の特徴
を熟知している」ということに尽きます。

弊社もお客様の特徴を捉え、採用力向上に貢献してまいりたいと思います。

 

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

先日のニュースで、服部泰宏・横浜国立大学准教授が「採用学」なるものを確
立するべく研究を進めていらっしゃる、と言う記事を目にしました。

記事を拝見して、採用学とは「どうしたら採用活動がうまくいくか、体系的な
理論を確立しよう」「採用活動の効果検証方法を確立しよう」という学問であ
ると解釈しました。

我々はともすれば「採用って効果が分かりにくいですよね」というのを隠れ蓑
にして「採用がうまくいくというのはどういうことなのか」「今年の採用活動
は果たしてうまくいったのか」という難しい問いから逃げてしまいがちである
と思います。そこから逃げずに研究をされている服部准教授に深い尊敬の念を
抱かずにはおれません。

採用は確かに、数字で効果が図りにくい。また、景気などの影響を受けやすい。
入社後も研修、配属部署の業務との相性、上司や同僚との相性といった様々な
変数の影響を受ける。なので「採用って効果検証できないよね」「採用って正
解が無いよね」と言うことにしておいた方が楽なのだと思います。

弊社もお客様にアドバイス申し上げる際に「学生に向き合う」「採用活動に真
剣に取り組む」といった「空気語(=何か言っているようで実は何も言ってい
ない言葉」を使っていると深く反省しました。

そこで「ここはひとつ、採用がうまくいくために必要なことを、当社なりに体
系的に言語化してみようではないか」という動きが始まりました。

まだまだ手探りではありますが、下記に述べてみたいと思います。

———————————————————————-

●そもそも採用活動のゴールとは?
 必要な質の人材に必要な数入社してもらうこと

●そもそも「採用競争力」とは?
 
 採用競争力=企業力×採用担当の能力

●企業力とは?
 ―企業知名度(学生に就職先候補として認知されている度合いの高さ)
 ―待遇(給与や福利厚生・研修等の充実度)

→ただし、企業力は一朝一夕に変えることが難しい。
 採用競争力を上げるには、必然的に採用担当の能力を向上することが
 必要となる。

●採用担当の能力とは?
 採用担当の能力は以下の要素に大別される。
 (下から第1層~第5層と言う風にピラミッド構造になっているイメージ)

≪第1層:知識≫
 ・(他社と比べた上での)自社の特徴理解
 ・(自社の応募者に限らず幅広い層を対象とした)学生の心理・行動理解

≪第2層:マーケティング力≫
 ・ターゲット学生像を設定する力
 ・自社の採用市場におけるポジショニングを決定する力
 ・ターゲット学生が自社に入社するまでのストーリーを作成する力
  ―ターゲット学生はなぜ自社を就職先として認知するか?
  ―ターゲット学生はなぜ自社に応募するか?
  ―ターゲット学生はなぜ自社に入社するか?

≪第3層:プロジェクトマネジメント力≫
 ・上記ストーリーを現実にするための具体的な、アクションプラン(施策と
  スケジュール)を作成する力
 ・決められた納期どおりにアクションプランを推進する力
 ・臨機応変にアクションプランを修正・再度作成する力

≪第4層:営業力≫
 ・採用活動で接する学生の特性、ニーズを正確に把握する力
 ・その上で自社に合うかを見極める力
 ・自社に合う学生に対し「自社が他社と比べてなぜ合っているか」
  「相手のニーズにどれだけマッチするか」をわかりやすく伝える力

≪第5層:スペシャリティが必要なスキル群≫
 ・イベント(説明会・グループワーク選考等)企画スキル
 ・イベント(説明会・グループワーク選考等)運営スキル
 ・クリエイティブ(デザイン・コピーライティング等)スキル
 ・事務処理力
 
———-

●採用担当の能力向上のために

・第5層は、外部のプロフェッショナルにアウトソースすることが主流
・第4層(会社説明会のプレゼン、面接会場でのアテンド、電話での合否連絡
 等)、第3層(業務スケジュール管理と業務品質管理)、第2層(採用活動
 の戦略設計)についても、今後アウトソースが進む傾向。

 <背景>
 景気の変動や、採用活動の時期変更により、かつてないほど頻繁に採用活動
 のトレンドが変化する状況が続いている。

 また、新卒採用活動は人事のエントリー業務という位置づけの会社が多く、
 新卒採用担当は2~3年で担当変更となる。

 その状況下で「新卒採用のプロ(第4~2層の能力を持つ人材)を自社で育
 てる」事が困難、あるいは合理性が薄いと判断されるケースが多いと考えら
 れる。

・第1層:知識がすべてのベースであり、採用活動に関わる外部アウトソーサ
     ーに対し、前提情報を的確に伝えるためのキモとなる。ここだけは
     アウトソースすることが難しい。

———-

●採用活動を営業に例えると

・第1層:知識は、(競合商品と比べた)自社商品知識、顧客理解に相当する。
 ここが抜けていると、商品力が髙くとも売れない。

・第2~第4層を改善するところにとらわれてしまい、第1層の強化がおろそ
 かになるのは「顧客ニーズヒアリングや、他社営業との情報交換は全く行わ
 ず、ひたすら営業戦略を立て、スケジュールを作成し、営業ロープレだけを
 行っている」ようなものであり、本来目指すべき成果に結びつきにくい。

・第5層を内製化することは、サービス企画書やカタログを自社で手作りする
 といった行為に等しい。

———-

●つまり

・「採用競争力」を構成する要素は、企業力と採用担当の能力であるが、
 企業力を個人の意思で一朝一夕に向上させることは比較的難しい。

・したがって「採用競争力」を向上するには、採用担当の能力向上が必要となる

・採用担当の能力向上のためのキモ
 -(他社と比べた上での)自社の特徴理解
 -(自社の応募者に限らず幅広い層を対象とした)学生の心理・行動理解

以上

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なかなか体系的に言葉で表すというのは難しいですね…

これからもどんどんブラッシュアップしていこうと思います。読者の皆様から
もぜひご意見を賜りたいと思います。

 

360度会社説明会レビュー

2014年3月10日 (月曜日)

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

弊社の話で恐縮なのですが、先日パフ/マジックドラゴン(以下パフグループ)
の会社説明会を開催しました。

その名も「360度会社説明会」。

当社が「情報を徹底的に開示し、学生と信頼関係を構築したうえでの採用を」
と謳うからには、当社自身が徹底的にそれを体現するような採用活動を行おう、
と言うコンセプトのものと企画されたこの会社説明会。

その内容は「社員はもちろん、すべてのステークホルダーの話が聞ける、360度
全ての角度から会社を理解できる」と言うものになりました。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

そんな会社説明会に参加したのは以下のような顔ぶれ。

・弊社代表(釘崎) 1名
・社員(全部署から) 10名

ここまでは割と普通なのですが・・・

・株主様 2名
・お客様(企業の採用責任者) 3名
・大学キャリアセンター責任者様 1名
・当社のパートナー(協力会社)様 2名
・元社員 4名

司会進行も、パートナーの方にお願いしました。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

コンテンツとしては、以下のような流れでした。

・社員紹介(バラエティ番組のように椅子を並べて行いました)
・社員以外のステークホルダー紹介(同上)
・学生と参加者の質問会
・立食形式の懇親会

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「全てのステークホルダーと話すことで、透明性が高くなる。何より、どこも
こういうことやってないから、面白そうなんでとりあえずやってみましょう」

と言うことで実現したこの企画。

運営上の反省点は多々ありますが、ここで「ぶっちゃけ、すべてのステークホ
ルダーとコミュニケーションをとることで、なにがよいのか?」をしっかり振
り返ってみようと思います。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<良い点>
一言でいうとRJP(Realistic Job Preview)に尽きると思います。

業務体験こそないものの、第3者から「顧客からどんなことを期待・評価され
ているのか」「どんな人が向いているのか」を客観的に聞けるので、自分がこ
の会社に合うか合わないかは判断しやすいでしょう。

細かく分けると以下になります。

●良い点①:ミスマッチ者のセルフスクリーニング精度が高い
→学生の声「自分は合わないということがはっきりわかりました」

●良い点②:(入社するにしても)入社後のギャップを低減できる
→学生の声 「入社後どんな人と仕事するかが明確にイメージできました」

●良い点③:(参加前からある程度志望度の高い学生に対しては)情報開示をす
       ることで、納得感を醸成できる
→学生の声 「志望する理由がはっきりしました」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<課題>

●課題①:事前にターゲット学生の志望度は上げておく必要あり

ただ単に現状を開示すれば、勝手に志望度が上がるということはありません。
事前にある程度興味を持ってもらう仕掛け、また「これを今日ははっきりさせ
る!」と学生に目的意識を持った状態で参加してもらう仕掛けが必要と感じま
した。

●課題②:事前にミスマッチ者をセルフスクリーニングする仕組みが欲しい

もちろん、学生が「自分には合わないということわかった」と言うことはとて
も貴重なのですが、一方で社内外を巻き込み多大なマンパワーをかけて実施す
るので、できれば「興味はあるが、本当に自分に合うのか確かめたい」という
方が多く参加するということが理想だと感じました。(①と②は似ていますね)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

<結論>
最初の接点ではなく、ある程度選考が進んだ段階で実施するのが望ましい

※あくまで土田の主観です

ただ、そもそもの趣旨である「全てのステークホルダーと話すことで、透明性
が高くなる」と言うのは間違っていなかったと思います。

個人的には、学生の立場で考えたときに「社員(ともすれば採用担当のみ)の
話だけを聞いて、会社を選べ」というのは流石に無理があるのではないかとい
う思いがずっとありました。今回の企画は通説へのアンチテーゼのような性格
が強かったと思います。

一方で、本当に会社を理解したければ
・人事以外の社員に会いに行く(いわゆるOB訪問)
・オフィスを見に行く、社員が利用する飲食店で社員の様子を見てみる
・株を買ってみる
・店舗や商品を利用してみる
・別の会社の人に「●●社は業界内ではどういう立ち位置ですか?」と聞く
・就職課職員や教授に「●●社に就職した先輩はどうなってますか」と聞く

などなど、いくらでも方法があるとは思います。学生が自分で努力すればいい
話なのに、採用活動でわざわざそんな場を作るべきかなのか、と言う議論の余
地はありそうです。

ただ、どうせ一定のお金とマンパワーをかけて採用広報をやるのであれば、人
事や現場社員のみによる「一人称」の話ではなく「三人称」の情報も届けた方
がいいのではないか、と言うのが私の考えです。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

余談ですが、この学生を採用するか否か?に関しても、学生の「一人称」の話
だけを聞いていていいのか、と言う問題意識があります。もちろん現在の採用
活動でも成績証明書や適性検査などを使って「一人称」以外の判断材料を収集
していますが、充分とは言えないでしょう。

OPEN ESの「紹介文」が物議を醸していますが、もっと多角的な判断方
法があってもいい気がします。

「応募者の部活動の様子を見に行く」
「応募者のゼミ発表会を見学する」
「応募者のアルバイト姿を見に行く」
「応募者の親友に面談する」

と言うような感じでしょうか。
(「応募者の部活動の様子を見に行く」は実際やっている企業様がいらっしゃ
 り非常に感銘を受けました)

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

何にせよ「企業も学生もお互い選びあう」と言うことが当たり前に言われてい
る中で、お互いの判断材料の収集方法(会社説明会然り、選考然り)に何十年
も全く根本的なイノベーションが無いというのがおかしいのだと思います。

私たちも、今後も画期的な採用施策を生み出していくことで、採用活動の常識
に見えるウソを打破していきたいものです。

<前回までのあらすじ>
1.景気動向指数がリーマンショック前の水準に回復した
2.2015年卒は売り手市場化かと言う報道がなされる
3.学生が例年よりも大手人気企業に集中している
4.企業は採用意欲旺盛も、採用基準を下げることはしない傾向
5.この流れは、2011年卒採用の時に似ている
6.当時は採用人数未達のまま、採用活動を終える企業が続出した
 ※当時のHRプロ社統計によると、34%が採用人数未達。
  うち、未達成でも採用活動を終了した企業は43%
7.同じ轍を踏まぬため、どのような準備が今から必要だろうか

要約するとこれだけなのに、ずいぶん長々と書いてしまいました。反省です…
⇒ http://blog.shokucircle.jp/staff/2014/02/10/3736

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さて、今回はいよいよ
「2015年卒採用、採用成功をするにはどのようにすべきか」
を考えていこうと思います。

 ○その1 初期スクリーニングで落としすぎない
  A.不必要な事前ハードルはなるべく取り除く
  B.内定期間や入社後、努力すれば大丈夫なことは不問にする 
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 ○その2 機械的に内定を出さない「楽勝な会社だ」と思わせない
  C.安易に最終面接の面接に進ませない
  D.安易に内定を出さない 
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 ○その3 「地に足が着いた」学生に見逃さずアプローチ
  F.3月末~GW明けに「学生の役に立つ説明会」を
  G.時期によって選考フローを柔軟に変える
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
 
=============================================

 ○その1 初期スクリーニングで落としすぎない
―――――――――――――――――――――――――――――――――

 一般的に、第1クールは一番母集団の質が高いものです。厳しく落としすぎ
 てしまうと、第2クール以降で同じレベルの学生さんを集めるのはどんどん
 困難になってきます。今年は特に、要領のよいどこでも受かる学生に内定が
 集中してしまいそうな気配です。そういう学生はバッティング必至です。
 
 「就活慣れしておらずアピール下手だけど、ウチの仕事や社員には合いそう」
 という学生をどれだけきめ細かくフォローし、且つ選考を通して成長させて
 いくかが、例年より大事になってくると思います。

 【ポイント】
 ——————————————————————
  A.不必要な物理的なハードルはなるべく取り除く
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
  
  説明会にエントリーシート・履歴書持参という企業様がたくさんあります。
  買い手市場であれば、本気の応募者だけに絞り込むよい手法だと思います。
  
  しかし、放っておいてもたくさん優秀な学生が応募してくる企業でない限
  り今年はこうした物理的ハードルは避けるべきです。自社の志望度が上が
  っていない状態で、ただ物理的なハードルを課すだけでは「なぜあなたの
  会社にそこまで労力を割かないといけないのか」と学生は思ってしまいま
  す。実は会って話をすれば、魅力を感じてくれるかもしれない学生を自ら
  門前払いしているようなものです。

  とはいえ、合わない学生は事前にスクリーニングしておきたいというのも
  事実です。私のお勧めは、物理的ハードルよりも心理的ハードルです。

  Web(採用HP・Web説明会)や会社説明会のような場で「当社はど
  のような人が向いている」ということを学生にもわかりやすく伝えること
  です。具体的には「採用情報の徹底的開示」「説明会のような場では、社
  員との交流や業務体験ワークなどを実施する」ことです。

  きちんと学生に「この会社は自分に合うか」セルフスクリーニングしても
  らえるだけの判断材料を提供すれば、筆記試験やエントリーシート等の双
  方の手間が増える物理的ハードルを増やさずとも、母集団の適性なスクリ
  ーニングが可能です。

 ——————————————————————
  B.内定期間や入社後、努力すれば大丈夫なことは不問にする
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

  マナー、礼儀、面接(オトナと話すことへの)慣れ、自社理解度…
  これらはすべて、内定期間や新入社員研修で鍛えれば済む話です。
  
  現在の採用基準で「選考時にできていること」が本当にどれだけ大事なの
  かを見直してみると良いのではないでしょうか。これだけでも、本当は合
  うかもしれない学生を落としてしまうリスクは減ると思います。

  また「一般的には面接基準と考えられているが、ウチの場合入社後のパフ
  ォーマンスには関係ない」ことは不問にするのも手です。これから面接が
  本格化する前に評価基準を見直してみてはいかがでしょうか。

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 ○その2 機械的に内定を出さない「楽勝な会社だ」と思わせない
―――――――――――――――――――――――――――――――――

 某大手人材企業では、学生によって面接の回数が違うそうです。学生を口説
 く一方で入社する覚悟がついていない限り、何度でも面接を行うそうです。
 機械的なフローで選考を行い、こちらが一方的に内定を通知するから学生も
 内定を重く受け止めないのではないでしょうか?内定は本来「採用内定」と
 いう事であり、最終選考合格と入社意思の表明が両方成立して初めて内定と
 言えます。この原則に立ち返って学生に対応すべきだと考えます。

 【ポイント】
 ——————————————————————
  C.安易に最終面接の面接に進ませない
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

  企業と学生はお互い選びあうものだ、とよく言われます。もちろん、企業
  は選考に来た学生に、次の選考にも来てほしいか否か選んでいます。
  
  しかし、学生からすると「合格と言うのはわかったが、次の面接に進むか
  否を自分で選ぶのだ」意識的に考えている学生さんばかりではありません。

  「当社は、入社の覚悟がある人しか最終に合格しない」
  「最終面接を受けるかどうかは自分で決めてほしい」
  「もちろん、まだ決められないなら待つ。最終面接の権利も保持する」
  「でも、採用予定数が埋まってしまったら、ごめんなさい」
  
  という風に、覚悟のない学生に最終面接にホイホイ進ませないというのが
  良いと思います。「何人最終に合格させれば、辞退率が○%なので…」と
  いう予想も大事ですが、入社する学生しか内定にしないという本来の言葉
  の意義に立ち返るべきだと考えます。

  ポイントは「あくまで学生にとってもフェア」であることです。

 ——————————————————————
  D.安易に内定を出さない
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

  先ほどと重なりますが、内定は本来「採用内定」で、企業が一方的に「あ
  なたは内定」と言うことが本来おかしいのだと思います。なぜそのような
  習慣になっているのかと言うと「最終面接に合格したらその会社に入るも
  のだ」という古い時代の習慣がそのまま残っているのではと思います。
 
  繰り返しますが、本来最終選考合格と入社意思の表明が両方成立して初め
  て内定です。これを学生にも伝えたほうが良いと思います。

  そのうえで、こう続けます。

  「当社からは内定は出さない」
  「入社するかどうかは自分で決めてほしい」
  「もちろん、決められないなら待つ。内定を自分に出す権利も保持する」
  「でも、採用予定数が埋まってしまったら、ごめんなさい」

  あくまで最終選考合格は最終選考合格であり、内定かどうか=入社するか
  どうかは自分で決めるというスタンスが大事です。

  その後は個別クロージング対応です。

  「そんなこと、自分の会社がよほど人気企業でないとできないのでは」と思わ
  れるかもしれませんが、実はこれ、当社の選考で実施しています。当社は
  BtoCでも人気企業でもありませんが、内定辞退は毎年ありません。

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 ○その3 「地に足が着いた」学生に見逃さずアプローチ
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
 大手企業ばかり追いかけていた学生は、3月末~4月中旬にかけて「持ち駒」
 が無くなります。そこでやっと夢が覚め、地に足が着いた就職活動を始める
 方も相当数いると思います。

 では、4月に第一志望の企業群に落ちた学生が全然ダメなのか?というと、
 そんなことは全くないと思います。
 
 ポテンシャルは高いが憧れだけで、全く向いていない企業を受け続けた学生
 もいるでしょう。素質はいいのだが、ただ社会人慣れしていないだけで面接
 でうまく自分をアピールできなかった学生もいるでしょう。

 そこを逃す手はありません。

 【ポイント】
 ——————————————————————
  F.3月末~GW明けに「学生の役に立つ説明会」を
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

  では、持ち駒が無いからと言って、どこでもいいと思っているかと言うと
  そんなことはないでしょう。であれば「この会社に応募する」メリットを
  提示しなければなりません。ただ説明会を開けば勝手に来るかと言うと、
  そうはならないと思います。

  あくまで持ち駒が無い学生にとって「役に立つ」コンテンツを提供するべ
  きです。

  例えば:
  「自分の面接の問題が分かる、模擬面接つき説明会」
  「これから新たな業界を探す人のための、会社の探し方講座」
  「4月で志望業界に落ち、5月からリスタートして就職を決めた経験を持
   つ先輩社員による体験談」

  などではないでしょうか。

 ——————————————————————
  G.時期によって選考フローを柔軟に変える
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
 
  4月までは、企業の選考はおおむね足並みがそろっていますが、それ以降
  は乱立します。自分の会社が一次面接をやっているときに、他の会社では
  最終面接ということが頻繁に起こります。

  5月以降の選考では「スピード」が重要になります。まさに「拙速を聞く
  も未だに巧みの久しきを見ざるなり」の世界です。

  そこでは、4月までの選考フローを踏襲する必要は全くありません。

  例えば:
  「5月の選考からは、選考フローを一つ減らす」
  「会社説明会とグループディスカッション(or筆記試験)を同時に行う」
  「4月の選考で最終面接に進んだ経験を証明できるものを持参すれば、
   1次面接はパス」
  「1次面接と2次面接を同日に連続して実施する」

  などです。

  ちなみに毎年「他社の内定を持っている方は、いきなり最終面接」という
  類の施策に走る企業様がいらっしゃいます。気持ちはわかりますが、これ
  は道義に悖る行為です。
  
  また「当社の選考を落ちた人で再チャレンジOK!」というのもまま聞か
  れることです。これは、新たな母集団形成が絶望的な状況下では無しでは
  ないですが慎重に行わないと学生の反感を買います。これをやるくらいだ
  ったら、前述AとBを実践し「そもそも落としすぎない」のがお勧めです。

 

こんにちは。マジックドラゴンの土田です。

いきなり余談ですが、先日弊社の吉川がブログの記事を久々にアップしたとこ
ろ、私のブログとは比べ物にならないほど「いいね!」が集まるという事件が
ありました。(泣)

やはり、大事なのは日ごろの行いや良好な人間関係を築くための人間力なのだ
なと痛感した次第ですが、腐らずに書こうと思っております。

———-

さて、ついに、選考シーズンも本格化してきました。そして「何やら今年の採
用は波乱がありそうだ」と言う思いを日に日に強くしております。

経団連企業ではエントリーシートや適性検査等いわゆる「プレスクリーニング」
が、非経団連企業ではすでにグループディスカッションや面接等が始まってい
ます。

※ここでいう経団連、非経団連というのは経団連の倫理憲章に則
り選考をしている企業とそれにとらわれずに選考をしている企業と言う程度の
意味で、他意はありません。

———-

企業の採用担当者様に所感をお聞きすると

・毎年「他にどこの会社を受けているの?」と聞くのだが、今年は明らかに、
 例年バッティングしないような超大手企業の名前ばかりが並んでいる。
 (中堅物流)

・プレスクリーニングに参加している学生のうち、ターゲット校比率が下がっ
 ている。
 (中堅運輸)

・全体的に、選考を受けに来る学生の学歴だけでなく、レベルが下がっている。
 感覚的にだが「この人はいいな」と言う人の割合が下がっている。
 (中堅Sier)

と言うお話を聞きます。

———-

一方、学生はというと、

・今は志望企業のエントリーシート対策や企業研究に余念がない。
・すでに業界を絞っているので、知らない企業の説明会よりも、志望業界の選
 考やその準備を優先している
・景気が回復し、企業も採用数を増やすということをよく耳にする。チャンス
 が少しでもあるなら有名人気企業を受ける
・ブラック企業には絶対行きたくないので、有名人気企業から受ける

といった具合です。

まだ推測の域を出ないし、感覚的な印象でしかありませんが、明らかにこう言
えそうです。

「学生は去年より早く志望企業を絞っている」
そして「絞っている対象は、去年よりも有名人気企業に偏っている」
※もちろん毎年大なり小なりそうなのですが、より顕著と言う意味です。

そして、いかに景気動向指数がリーマン前の水準に景気が戻ったとはいえ、企
業アンケートを見ても、採用基準は下げないという回答がほとんど。求人倍率
も一気にリーマン前の2.14になるとは考えにくい。

「見せかけの売り手市場」に踊らされ「大手に絞った」学生が、「採用数は少
し増える」とはいえ「質はそこまで妥協しない」大手人気企業に殺到すること
になると言えそうです。

———-

むむむ。今年は、久々に危険なにおいがしております。
(煽るつもりも無いのですが、私自身弊社の採用担当として危惧しております…)

こんな時は、過去の事実から教訓を抽出し、同じ轍を踏まないようにしたいも
のです。

採用を長く担当されている方なら、記憶に新しい、2011年卒採用。
ちなみに私は当時、新卒入社したばかりの営業でした…

その2011年卒採用では、何が起こったか思い出してみましょう。

あとでわかることですが、2011年卒採用では、前々年2.14、前年1.62だった求
人倍率が一気に1.28に冷え込んだ年でした。

しかし、学生はそんなことは知りません。不景気を煽る報道は多分にありまし
たが、今のように就活が社会問題として大きく騒がれる直前のタイミングでし
た。学生は先輩の「何とかなるよ」という話を信じて売り手時代の就職活動を
していたように思います。リーマン直後の「内定切り」も問題になっていまし
たので「内定切りをしなさそうな信頼できる企業=有名人気企業に行こう」と
言う風潮があったように記憶しています。

一方企業はと言うと、リーマンショックのあおりを受け、採用数減、採用予算
削減の嵐が吹き荒れた年でした。「厳選採用」と言う言葉が躍り始めたのもこ
のころからだったと思います。

つまり、企業側は限られた費用やマンパワーを、厳選された一部の学生に集中
して投下しなくてはいけない状況に陥りました。

————

その結果、どうなったか?

「見せかけの売り手市場」に踊らされ「大手に絞った」学生が「夢破れて」、
「4月前後に大量に就活二次戦線に放出される」ことになります。

そして、

「世間的にいい学生」に「内定が集中」したため、企業は内定辞退に苦しむこ
とになりました。

「どこにでも受かる要領のいい学生」は内定をたくさん取得する。一方「見込
みはあるがイマイチ目立たない学生やアピール下手な学生」は、一次戦線では
厳選採用の名の下に落とすことになる。

追加募集をかけても、内定を出せる質の担保ができない。こんなことなら、一
次戦線で落とした「見込みはあるがアピール下手」な学生を上に上げておけば
よかった…

「敗者復活選考」を実施する企業もいました。しかし「見込みはあるがアピー
ル下手」だった学生は、面接に慣れていくうちに企業から内定をもらってすで
に市場から姿を消している…

人数目標未達だが採用活動を終了する企業が相次ぎました。

これに似たことが、2015年卒採用でも起こるのではないか?
というのが私の直感です。

では「必要な人材を必要な数入社してもらい、活躍してもらう」という採用の
ミッションを達成するために、我々にはどのような準備が必要なのでしょうか。

次回、この点について考えてみたいと思います。

最近すっかりブログ執筆を怠っていたヨシカワです。

昨日、社内の営業チームのメンバーで
「もっと会社の一体感を高めるためにチームの行動指針を作ろう!」
という議論を行いました。

「気持ちよく働けて、お互いを高めあえる理想の職場」にするために
各自ができていないことや周りを見ていて気になっていることを
正直に伝えあうところから始めました。

さまざまな意見がでましたが、最終的に「何をしていくか」を決めていく
段階になって出てきた意見は、以下のようなことです。

■あいさつは大きな声で。語尾をはっきりと言おう!
■来客があった際は、全員、立って挨拶をしよう!
■話かけられたら、相手に顔と体を向けて対応しよう!
■電話はすぐとる。2コール以上相手を待たせるのは社会人失格!
■各自の日報は、必ず閲覧!
■オフィス内での不平不満愚痴は厳禁!

結局、新入社員、いや小学生でも守ろうといわれる基本行動を実践することが大切だという結論に至りました。

自分を成長させてくれる職場
自分が活躍できる職場
楽しく働ける職場

そんな場は、どこかに用意されているわけではない。
そのような職場にしようと常に意識して努力している社員がそこにいるだけなんだ。
そんな当たり前のことに気付けた瞬間でした。

今週職サークルで実施したイベントで、私の尊敬する人事担当者さんがこんなメッセージを学生さんたちに発信していました。

「二流は、やりがいを外に求める。
 一流は、やりがいを内に求める。
 超一流は、やりがいを周りに与えることができる」

理想の職場で働きたいのなら、それを相手に求めるのではなく、
自分が理想の職場をつくる覚悟をもつ。
そのために当たり前のことを当たり前のように実践する。

いつでもどんな方がいらしても変わらない、気持ちいい職場を目指して。
基本行動から実践しようと思いました。

あ。もし今後、パフ/マジックドラゴンの職場に立ち寄られる方がいらっしゃったら、
上のようなことが実践できているか、ぜひ確認してください!
抜き打ち調査、大歓迎です。