床屋のマスターを紹介する日
2009年2月7日 (土曜日)
きょうは朝から三田にある床屋に行った。
「床屋」(とこや)って、最近の若い人たちはあまり使わない言葉のようだ。というか、昔っからの純粋な床屋さんが少なくなってきたのかな。
いまの若い人たちは、ほとんど床屋ではなく、美容室と呼ばれる洒落たお店に行っているようだが、僕は美容室というと、「女性が行く店」という固定観念が根強くあり、どうも敬遠してしまう。
・・・と、そんなことはどうでもよくって、話は三田の床屋の話。
僕はもう10数年以上、この床屋に通い続けている。
マスターは現在68歳。マスターのお父さんが三田の地に床屋さんを開業して以来の床屋稼業で、戦前からずーっと続いている歴史あるお店なのだ。
一時は従業員を抱えてやっていたのだが、最近は競争の激化からか、マスターと息子さんのふたりだけでお店を回している。
で、このマスターが、ただものではない。
床屋としての腕前も凄い(コンクールでも数々の受賞歴がある)のだが、それ以上に、絵の腕前が凄い。プロ級なのである。
といっても、本格的な絵は、数年前に始めたばかり。毎朝、自宅からお店に自転車で出勤する途中に、荷台にスケッチブックを括りつけ、目にとまった景色をスケッチしている。いつも僕が店に行くと、まずは最近スケッチした絵を観るところから始まる。
きょうは見事な松の絵を見せてもらった。
上野の美術館にも何回も出品している。コンクールにも応募しており、今年は新人賞を狙ったらしいのだが、惜しくも受賞は逃した。
また絵だけではなく、「書」もやる。厚手の本に、毎日必ず1枚の書を書くことを習慣にしている。数百ページの本が、もう3冊になったそうだ。
それからお神輿を担ぐのも趣味にしている。東京都内の主だったお祭りには、必ず顔を出して担がせてもらっているらしい。
多趣味で多芸多才。人間的にも、ものすごく深みのある方で、おしゃべりしていると、勉強になるし、ホントに癒される。
自分の床屋という職業にも、凄い誇りを持っている。
「マスターは、なぜずっと床屋をやりつづけてこられたんですか?」とあらためて聞いてみた。
「そりゃあ、クギサキさん、喜んでくれるお客さんがいるからだよ。オレが働く理由なんて、それしかないよ」
そんな答えがすぐに返ってきた。まさに「傍楽(はたらく)」である。やっぱりホンモノは、どんな職業であっても、考え方は同じなんだよな。
きょうはマスターに許可をもらって、この日記に掲載するための写真を撮らせてもらった。
あ、そうだ! 次のSHOKUNIN魂(パフが年に2回発行しているフリーペーパー)の職人として登場してもらおうかな。職人とは、まさにこういう人のことを言うんだと思うな。
白くて長い髭がまた魅力的だ。カメラを向けられてちょっと照れてます^^。
マスターの最近の作品。幻想的な絵が得意なのだ。最近まで上野の東京美術館に展示されていました。
これまでに頂いたコメント
2件コメントがあります
- きよしさん
- くぎさんさん
きよしさん、ピンポーン。大正解です。とてもユニークなマスターなので、いちど足を運んでみてはいかがでしょう?
ご無沙汰しています。
おそらく、こちらにコメントするのは初めてですよね。
以前からこの日記にも登場する床屋さん、
田町駅前のビルの1Fのお店ですか?
入ったことはないのですが、写真のマスターを
お見掛けした気がするんですが…
もし、そちらだとすると、何となく昭和の香りのするお店、
本当に床屋というのがぴったりなお店ですよね。