新・パフの創業物語<第51話>「パフが生まれた日」
2020年9月18日 (金曜日)
約20年前のメルマガに連載していた「パフの創業物語」。今年の5月以降、誤字などを修正しながら「新・パフの創業物語」として再掲しています。
昨日の第50話は、
「資本金の払込み締切りまであと3時間。なのにまだ全額が銀行口座に振り込まれていない。パフ設立ピンチ!」
というところで終わりました。さて、今回は?
※第1話はこちら⇒新・パフの創業物語<第1話> 「最初の出会いは産婆さん?」
※原則として昔の原文のままですが、事実とは異なっていた内容、誤字も含めての不適切な表現、「てにをは」のおかしな個所は、修正しています。
※文中にある「今」の内容は、すべて執筆したとき(西暦2000年当時)のものです。
ひきつづき1997年12月11日正午。
この日の午後3時までに株主(見込み)30人全員の出資金払込みが完了しなければ、パフの12月12日(イッチニイッチニ)の誕生は、絶望的に難しくなってしまう。
ボクはヤキモキしながら、資本金払込み事務担当の銀行員と電話で話をしていました。
銀行 「えーっと。あれー? クギサキさん、まだ3人の払込みが済んでいないようですよ。まずいですね……」
え、3人がまだ払込んでない……?
すぐに浮かんだ顔は、ルーズな性格で5年も大学に通っていた後輩2人と、パフ設立のキッカケとなったR社のM氏(と、今更ながらわざとらしく名を伏せますが)。
M氏の場合は、「人間の器の大きさ」という視点で見るとクギサキくんの尊敬の念は世界一なのですが、「事務手続きの確実さ」という視点では、友人の中でも、ワースト3に転落するのでした(ごめんね、ムライさん…)。
クギ「3人が未払いですか。まずいですね。とりあえず、その3人に至急、確認・催促してみますので名前を教えてもらえますか?」
銀行「払い込んでいない人の名前ですか?あ、すぐ分かりますよ。でも3時までに銀行の窓口に来てもらわなきゃいけないんですけど大丈夫ですかね?」
クギ 「やってみるしかないっしょ!」
銀行「万一ダメな場合は、釘崎さんが、その方々の名前で払い込みを行うということでもいいですよ。ほんとはルール違反ですけどね。 その人に成り済まして払い込んじゃってください」
クギ「あー、そういうこともできるんですね。最悪の場合はそうしますかね」
いくぶん気持ちは楽になったものの、3人分の出資金を立て替えるお金は・・・
ない!!
どっちにしろ、危機は未だ立ち去らず、という状況でした。
銀行「えーっと、じゃあ払い込み確認ができない3人の方々ですが……」
銀行の担当者から名前を教えてもらいました。2人は予想通りルーズな後輩。しかも2人とも中学校の教師。
でももう1人は、M氏ではなかったのです(ムライさん、疑っちゃってホントにごめんなさい!)。
実は、絶対大丈夫だと思っていた、昔からの仕事仲間Sさんなのでありました。
ともあれ、大至急3人に連絡を取らなければならない。まずは中学教師をしている2人に電話をしました。
「この時間だと給食中かな?」などと思いながら、それぞれの後輩が勤める中学校に電話しました。当時はまだ携帯電話が普及してなかったんですね。
後輩1「あれー?今日まででしたっけ?まっずいなー、午後は授業がびっしりで銀行に行けないんですよ」
クギ「あ、そ。まあ無理すんな。じゃあ俺が立て替えとくよ」
(おまえの授業を受ける子供たちの将来が心配だ)と、ボクの心の声。
後輩2 「あー、すみません!すぐ銀行にいきたいんすけどね。俺の中学校、ド田舎なもんで銀行がなくて来週じゃ駄目っすか?」
クギ 「あ、あー、わかった。じゃあとりあえず俺が立て替えとく」
(そんなんだから教員採用試験に何年も落っこちたんだよ)と、ボクの心の声。
まったくしょうがない後輩連中です(苦笑)。でも2人分なら、カードローンで立替え払いも何とかなりそうでした。
問題はSさん。どうしちゃったんだろう。Sさんの分まで立て替えるとなるとサラ金に駆け込まなきゃ行けないな。 んむー。ま、ともあれ電話してみよう。
クギ 「Sさんですか?あのう例の資本金の払込み期日、今日までなんですが……」
Sさん「ごーめんなさい釘崎さん。今朝までバタバタしてまして、ついさっき払込んでおきましたよ。もう確認とれるはずです」
クギ「あー、そうでしたか!いやあ、お忙しいところありがとうございました!!」
ほっとひと安心。その後すぐ、銀行からもSさんの入金が確認できたという電話がありました。
そして、僕はすぐに、カードローンで後輩2人の出資分を借りて銀行に駆け込み、3時のタイムリミット寸前にそれぞれの名義で払い込み完了。「間一髪、滑り込みセーフ!」という感じでした。
銀行「はい。これで、30人全員の払込み完了ですね。いやあ、こんな大勢からの払込みで会社を設立する人なんて、私の行員生活でも初めてですね。まあ、ともかくもおめでとうございます。では明日の朝、まちがいなく『保管証明書』を発行しますからね」
いやあ、ほんと、やれやれでした。
そして翌日、1997年12月12日。
『 株式会社パフ。資本金払込み保管証明書。金11,300,000- 』と書かれた書類を銀行から手渡された時には、感無量の思いがありました。
司法書士に作ってもらった書類一式と、その「保管証明書」を携えて法務局へ。
終わった……。いや「始まった」かな。
これで、「株式会社パフ」を誕生させる手続きが法的に完了したことになります。
10月上旬に、ムライさんと飲んで独立を決意してからちょうど2ヶ月。なんだか、あっけないほど短時間に「会社」ができちゃいました。
でも、この2ヶ月のあいだ、とてつもないパワーが生み出されてくるのが自分でも分かり、目に見えない力にグイグイと引っ張られるような不思議な感覚でした。
「株式会社パフ、か。なんだかまだ実感が湧かないな……」
そう思いながら、ささやかな「設立記念パーティー」の準備をカミさんがしてくれている新富町の新事務所に向かっているクギサキくんでした。
(生まれちゃいましたか。結構あっけなかったですね。次回、最終回へつづく)
クギサキくん、会社設立お疲れさまでした(笑)。
さて、本日はこの設立の日から22年9カ月を経た株式会社パフの事務所に出社します。
でも、仕事はパフの仕事ではなく、Fネットの事務局長としての仕事。ある意味、パフより厄介な仕事です(苦笑)。
そしてその厄介な仕事が終わると、株式会社パフはタイムスリップして10月1日になります。
来春入社予定の4名の入社式なんですよね。7Fのセミナールームでのリアル開催です。
では、朝食&再開したエール後、行ってきます!