昔、パフが掲げた協賛企業の基準を記す日
2009年7月14日 (火曜日)
パフには昔、新卒採用を行う企業と取引を始める際に、明文化していた基準があった。
「パフの職サークル協賛基準」と銘打って、次の3つの事柄を、商品カタログの冒頭に大きく記載した。
(注)当時は、「パフの協賛企業」と「パフの取引企業」は、同じ意味だった。パフのサービスを利用するためには、パフの協賛企業になる必要があったからだ。
1.世の中に新しい価値を提供すべく努力している会社であること。
2.熱き思いで、自社の理念、ミッション、ビジョンを語ることのできる会社であること。
3.道義を重んじ、ウソのない誠実な採用を行う会社であること。
「この3つの事柄を遵守していただくことが、パフのお客様になっていただくための条件なんです」ということを、企業への営業活動のとき(特に初回訪問のとき)に説明していた。
創業時の社員数名しかいない、吹けば飛ぶようなパフが、こんな青臭くて生意気なことを言いながら営業活動を行っていた。しかも時代は“超就職氷河期”。企業は、さほど苦労せずに新卒採用を行えていた時代の話である。
「それじゃなくても営業が苦しい時代に、そんな条件を取引企業に突き付けるなんて、ちょっとあなた、頭がおかしいんじゃないの?」と、よく言われたものだ。
そんななか、この協賛基準に感動し、お客様になってくださる会社がいた。当時の常識からすれば、相当におかしな会社だったのかもしれない。しかし、いずれも本質を大切にする、人を大切にする、人の道を大事にする、素晴らしい会社ばかりだった。
いや、“会社が素晴らしい”というより、パフとの取引を決断した人事担当者が凄かった。骨太だった。度量が大きかった。
中には上司を騙して、パフへの申込書に判子を押した人もいた。ヘタをすると「クビ」である。しかし、仕事は恐ろしくできる人たちだった。その証拠にかつてのパフ協賛企業の人事担当者の皆さんは、その後、みんな出世していった。社長になった人も一人や二人じゃない。
しかし、その後いろんな事情があって、パフはこの協賛基準を高らかに謳うことをしなくなった。そもそも、取引企業を排除するための基準ではなく、多くの会社に、「そうなってもらいたい」という期待を込めての基準だったのだが、 「そんな基準は排他的だからやめるべきだ」という、一部の意見を受け入れることにしたのだった。
いい面と悪い面があった。
いい面は、取引企業が格段に増えたこと。
悪い面は、「協賛」の価値の低下だ。もっと言うなら、「ちょっとふざけてませんか?」「それって、人の道を踏み外していませんか?」というお客様を、ちらほらと見かけるようになったことだ(そもそも、お客様に向かって「ふざけてませんか?」という僕のほうが、ふざけているのかもしれないですね、苦笑)。
・・・おっとっと。取りとめなく書いてしまった。これ以上書くと、エスカレートしそうなので、このへんで。
なんでまた、きょうの日記でこんなことを書いたのかというと、この道一筋30年以上のキャリアを持った人事マン(現職は某大手人事コンサル会社の社長)と、晩飯を食べながら次のような会話をしたからだ。
「最近は、すごいと思える学生が少なくなってきたけど、同時に、すごいと思える骨太な人事も少なくなってきたよね。そういえば最近さ、こんなふざけたことを言い出す人事担当者がいてねぇ……」と、ちょっと残念なお客様の振る舞いの話を僕がした。
するとその大御所は、
「え? それってパフの協賛基準を守っていないってことじゃないの?」
と、素朴に質問してきた。
僕は思わずドキッとしたのだった。
道義を重んじ、ウソのない誠実な採用を行う会社であること。
こんな時代だからこそ、もう一度、高らかに謳わなきゃならない取引基準なのかもしれない。