新富町の良さを再発見した日
2010年8月5日 (木曜日)
昨夜は、某業界団体の専務理事と、その奥様と、僕の3名で、新富町ツアー(?)を行った。
その某業界団体は新富町に事務所が置かれているのだが、この春に赴任したばかりの専務理事は新富町という土地に不案内であり、以前から、「クギちゃん、こんど新富町のお店を紹介してよ」とお願いされていたのだ。
何を隠そう(隠しているわけでもないが)、この専務理事も、そして奥さんも、僕と同い年である。しかも専務理事は、前職では某大企業の採用責任者を務めていたこともあり、旧知の間柄。でもいまは、いっさいのしがらみ抜きの単なる仲のいい「同い年のお友達」なのである。
向かったお店は、新富町の駅を出てすぐのところにある古ーいお店。60歳を優に超えていると思われる(70歳くらいかな?)熟年のご夫妻だけで経営している飲み屋さんだ。
一階にはカウンターが数席と4人掛けのテーブルが一つあるのみ。僕らは二階に通されたのだが、最初から最後まで貸切の状態。まるで田舎の小さな民宿の食堂にいるような感覚だった。
料理がいけていた。
まぐろの刺身(厳密にはぶつ切りと中落ちですね)が一皿300円。枝豆が250円。厚揚げやてんぷらも300円程度。その他つまみ類は、ほとんどが200円~300円なのだ。しかもボリウムもたっぷりある。そして飲み物も、極めて安い。地方の名酒が、さりげなく並んでいるのだ。
会計をしてみると、三人で十分に食べて飲んだにもかかわらず、ひとり三千円でお釣りが来た。
下手な高級料理店に行くよりも(見た目は怪しくてオンボロだが)満足度抜群の店。他人には教えたくない店である。新富町、恐るべし。
この店を気分よく出たあと、もう一軒、新富町の「かの名店」に、専務理事ご夫妻をお連れした。
それは、おなじみ「スナックのろ」である。
この日記でも何回も登場している店なのだが、新富町で開業して、もう40年ほどになる。いまのママが高校生のとき、喫茶店としてスタートした店だ。その当時は若者だったお客さんも、いまはもう60歳超の方々ばかり。なかには、70歳、80歳、90歳といったお客さんも常連だったりする。内装も昭和30年代そのもの。でもとても清潔感あふれる店で、ママ手作りの料理も天下一品なのだ。
うん。やっぱり新富町恐るべしなのである。
実は専務理事は、この業界団体のトップである某大企業の副社長から、「新富町で安くて美味しいお店を探索しなさい」というミッションを与えられていたという。もう、この二つのお店を紹介するだけで、ミッション達成なのではないかな(笑)。
いやー、東京は懐が深い。新宿、渋谷、赤坂、六本木、銀座の繁華街なんかは、素人が行く街だ。
やっぱり下町にこそ、本来の東京の良さがある。
昨夜は、あらためて新富町の良さを発見した夜だった。