幼いころを思い出してみる(16)
2014年11月25日 (火曜日)
昇段試験は、筆記試験と実技試験からなる。筆記試験は、柔道修行の目的とか技の種類を書いたりとか、ごくごく簡単なもの。前日に予習をすれば、よほどのおバカでないかぎり満点が取れるもの。
実技試験は、形の演技と試合からなる。形の演技は僕は比較的得意だった。肩車とか背負い投げとか。いまでもできるんじゃないかな。
問題は試合。
4人1グループとなり総当たり戦を行う。ここで勝ち越すことが、段位を取得するための絶対条件となるのだ。
弱い選手たちとの組み合わせであればラッキーなのだが、運悪く強い選手がグループの中に2人いると負け越しが決まってしまう。どういう組み合わせになるのかは、当日まで分からない。
僕が割り当てられたグループは、警察学校に通う大人(警官の見習い)が2名、高校生1名、そして僕。
おいおい、なんだよ、なんだよ……。
いままでは中学生同士でしか試合をしたことがなかったのに、いきなり高校生や大人との対戦。しかも、3人ともごっつい体つきである。
僕は試合前から完全にビビりまくっていた。そして、昇段試験を受けるなんて言ったことを後悔した。
でも、いまさら逃げ帰るわけにもいかない。
僕は足をブルブルガクガク震わせながら、警察学校生と高校生との戦いに臨んだ。