体育会系学生の就職相談をした日
2010年8月12日 (木曜日)
昨日、就職活動中の学生がパフの事務所まで相談にやってきた。
パフを知ったのはつい最近。お父さんに勧められたのだそうだ。
名前はK君。某大学の体育会で副委員長をやっている学生だった。
僕のイメージする体育会系の学生というのは、肝が据わっており、「押忍っ!」と大きく野太い声を出すような粗野な奴。殴ろうが蹴飛ばそうが、「ありがとうございます!」と言ってすぐにこちらを真っ直ぐ向くような奴。
ところがK君は、「おまえは手芸部の部員か?」と思うくらいの繊細な学生だった(スミマセン。「手芸部が繊細」というのも僕の勝手な先入観です)。
とにかく声が小さい。至近距離にいるのに聞き取れない。極度に緊張している。
「面接じゃないんだから、そんなに緊張しなくていいよ。そのリクルートスーツも脱いじゃえ。ほら、まずは麦茶を一杯飲みなよ」
なんとか話ができる状態になった。
話を聞くと、K君の就職活動は、体育会系専門のイベントに参加したり、体育会系専門の紹介会社から企業の紹介を受けたりしながら行っているらしい。
結果は推して知るべし。まったくうまくいっていない。
それはそうだろう。体育会系のイベントに参加する企業は、「体育会系っぽい」学生との出会いを期待しているわけなのだ。求人企業には、僕のように勝手なイメージを持っている人事担当者が多いはずだ。
K君にじっくりいろんな話を聞いてみた。
見た目はおとなしく、いまふうに言えば典型的な“草食系”なのだが、実はかなり硬派なのだ。ひとつのことを辛抱強くやり続けてきているし、後輩の面倒見もすごくいい。アルバイト先(スーパー)でも、違う世代の方々から可愛がられている。
“体育会系”というイメージと“見た目”とのギャップ。そして、実際の中身と“見た目”とのギャップ。
これがK君が、面接で思うように評価されない理由なのだろう。
これを少しでも埋めることがK君のいちばんの改善ポイントだと思った僕は、残された相談時間を訓練時間に充てた。まずは元気な声を出すことを習慣化させることだ。
「いいか、K君。とにかくキミのその声の小ささ。か細さ。それを直すぞ」
といって、声を腹から出させる練習をした。「あえいうえおあお、あいうえお」と、口を大きく開けさせる練習もした。「こんにちは!」と、何回も何回も発声させた。
結果、来たときとは比べ物にならないくらいの元気な声で会話ができるようになった。
「いいか、K君。家に帰ってからも、親と話をするときも、いつでもこんな感じで話をするんだぞ。大げさなくらい、でかい声を出すんだぞ」
そういってK君を見送った。
明日、とある企業の面接があるそうだ。昨日の練習の成果が発揮されることを祈る。K君、ガンバレ!!