パフ代表の徒然ブログ「釘さん日記」

この日記でも何度か触れたことがあったが、いま、とある大手企業(連結子会社含む)の障害者雇用(特に知的障害をもっている人たちの雇用)に取り組んでいる。

知的障害者の雇用を拡大するためには、まずは、雇用主である企業(とりわけ経営者や人事担当者)の意識を変えるところから始めなければならない。

僕らは、知的障害者の方々といっしょに遊んだり、勉強したり、仕事をした経験がほとんどない。つまり知的障害者のことを知らない。無知なのだ。

無知のくせして、先入観や偏見や間違った解釈から、「知的障害者にできる仕事はない」と決めつけてしまっている。あるいは、無知であるがために、何をどうすればいいのかが、分からない。

この先入観や偏見や間違った解釈を取り払い、「何をどうすればいいのか」を勉強するための企画を考えた。そして、この大手企業の本社人事部の皆さんと、二か月ほど前から準備を着々と進めていた。

その企画とは、「障害者雇用の現場を巡るバスツアー」である。

知的障害者の雇用に取り組み、大きな成果をあげている複数の企業を訪問させていただいたり、知的障害者のみなさんとの懇談会を実施したりする企画だ。

答えは現場にある。実際に知的障害者が働く現場を見ることで、正しい理解を促そうと思ったのだ。

提出した企画書に、この企画の目的と期待される効果として、次のことを僕は書いた。

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<目的>
障がい者(特に知的障がい者)雇用に対する基本的な知識の習得と、雇用イメージの醸成

<期待される効果>
① 障がい者雇用に対する、担当者の意識面でのハードルを下げることにつながります。
② 知的障がい者の実際の働く現場をみることで、自社の環境での雇用イメージを掴めます。
③ 実際に働いている障がい者と直接会話することにより、雇用の使命感が醸成されます。

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この企画を対象のグループ企業各社に告知したところ、予想を遥かに上回る参加希望があった。定員20名のところ40社60名の人事担当者からの申込みがあったのだ。

すごい。皆さんの関心の高さが嬉しかった。

でもさすがに60名をいっぺんに連れまわすことは物理的に不可能である。泣く泣く20社20名に絞り込ませてもらった(残りの方々にはまた10月に追加開催する)。

そしていよいよ本日が、この企画「バスツアー」の実行日。

朝8時に、丸の内(とある大手企業の本社ビル玄関)に集合し、バスに乗り込み、赤坂(2か所)、品川、渋谷の現場に向かった。

詳細なレポートは割愛させてもらうが、参加した皆さんの満足度はとても高かったように思う。

僕もそうだったのだが、知的障害者の方々が、嬉しそうに、楽しそうに、働いている現場を見ることで、あらためて「働く意味や意義」を考えさせられた。

知的障害者の方々の礼儀正しさ、挨拶の声の大きさ、ひた向きに仕事に取り組んでいる姿を目のあたりにし、(自分の会社の社員たちや自分自身と比較して)懺悔したり、恥ずかしくなってしまった参加者も多かったようだ。

手前味噌ではあるが、企画書で掲げた「目的」どおりの、「期待される効果」が十分に得られたバスツアーであったと思う。

 

最後に、今回の「バスツアー」の企画・運営を全面的にお手伝いいただいたパートナー企業をご紹介しよう。

株式会社福祉ベンチャーパートナーズ(略称FVP)という会社である。障害者が「あたりまえ」に働ける機会や環境をつくりだすための取り組みを懸命に行っている会社である。しかも、そのことをボランティアやNPOとしてではなく、ビジネスとして成立させようとしている会社である。

このFVPの創業者であり社長である大塚さんは、鉄のような意志をもった、たくましくも、しなやかな女性。きょう一日のプログラムのすべてを、ものの見事にファシリテートしてくださった。大塚さん抜きには、今回の企画は成立し得なかった。大・大・大感謝である。

これからも大塚さんと組んで、知的障害者の雇用を「あたりまえに」拡大させる施策を、ビジネスとして考えていきたい。

<追>

今回多大なるご協力をいただいた、コマツ(人事部ビジネスクリエーションセンタ)の木村所長、大東コーポレートサービスの山崎社長、スワンカフェ&ベーカリー赤坂店さん、ハローワーク渋谷さん、JACCSさん、VSNビジネスサポートさん、また、それぞれの会社で働いておられる障害者のみなさん、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

Komatsu Daitou_2

Swan2 Sibuya