築地最後の日
2011年9月2日 (金曜日)
宇宙人が築地に攻めてきて、市場や本願寺が粉々に破壊されてしまう…という意味のタイトルではない。
パフ・ザ・マジックドラゴンが、築地に棲息する最後の日、という意味だ。
いよいよ移転まであと1日。築地での仕事は、泣いても笑っても本日でおしまいなのだ。
昨日は、昼ご飯抜きで、ずっと周囲の片づけを行なっていた。
いちばん時間がかかったのが、年賀状や手紙の整理。
なにせ10数年分の手紙とハガキである。2千通以上ある。
要る・要らないの判断を瞬時に行なわないと、1日がすぐに終わってしまう。
そこで、DMや宣伝もどきのハガキや手紙は、無条件にすべて捨てた。年賀状も、(とても辛かったけど)一部を除いて、ほとんど捨ててしまった。
「一部を除いて」と書いたけど、ぜったい捨てなかったのは、手書きのハガキと手紙。
手書きの手紙に出くわすと、ついつい仕分けの手を止めて、じっくり読んでしまった。「そういえば、こんなのもらってんだな~」と、懐かしい思い出が込み上げてくる。
なかでも懐かしかったのが、大昔のイベントや就職相談や「うまれよ塾」で出会った学生からのお礼の手紙。
いまでは手紙でお礼を出してくれる学生はほとんどいなくなったが、10年くらい前までは、メールでのお礼よりも、手紙でのお礼のほうが多かったような気がする。
面接に通過したあと、内定が出たあと、会社選択を決心したあと。それぞれのタイミングでのお礼の手紙があった。1文字1文字に感謝の気持ちがこもっていて、いま読んでもとても嬉しい。
これら手書きの手紙は、おそらく(僕が生きている限りは)半永久的に大切に保存されるはずだ。
そりゃ捨てられないよねー。これがアナログのいいところなんだろうなあ……。
日本人は、年に一度、年賀状を書く風習がある。
とてもいいことだと思うのだが、実は僕は、ここ数年あまり書いていない。ついに今年は、いっさい書くのをやめてしまった。
というのも、この数年間は書くことが義務になってしまっていたからだ。感謝の気持ちを十分に込めて出せていなかったのだ。社交辞令のためだけに書いている年賀状もたくさんあった。社交辞令で義務感だけの年賀状だったら、書かない方がマシだろう…なんて思っていた。
とはいえ、罪悪感を感じていたのも事実。
来年の年賀状はどうしようかなあ……。手書きでもらった手紙やハガキの束をみていて、思案を巡らせたのであった。
さて、本日は昔の手紙を読みながら思い出に浸っている時間は、もう残されていない。
18時までにすべての荷物を段ボールに詰めなければならないのだ。
心を鬼にして(いや、感情を無にして)、「要らない」ほうの段ボールに、ポンポンポンと放り投げなければならない。
と、いいつつ、やっぱり「思いで迷子」になってしまいそうな予感もしている……。
ともあれ築地最終日。一歩一歩踏みしめながら、行って来ます!