頑固オヤジが語った、うまれよの「れ」
2017年8月23日 (水曜日)
6年前の連載コラム「オヤジから最愛の娘&息子たちへ」の再録。本日は、うまれよの「れ」です。
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うまれよ の「れ」。それは「れいぎ正しくしろ」だ。
俺は学校卒業後、社会で働いて28年になる。学生時代のアルバイトも含めると、32年間働いてきた。(※2011年11月時点での年数です)
小さな会社も大きな会社も経験した。学生時代は駅弁製造工場で1年。割烹料理屋で半年。バス会社で添乗員として2年ほど働いた。
いろんな社会人が、いろんな職場にいた。いろんな大人たちが、いろんな職場での、お客様やパートナーだった。
22~23歳のころまでは、仕事で一緒になる社会人のほとんどが俺よりも年上。
時には、芸能人やプロスポーツ選手と会うこともあった。倍以上、年齢の離れた企業の経営者や重役の方々と打ち合わせをすることもあった。
そして、いろんな社会人と一緒に仕事をするなかで発見したことがある。
それは、
「本当にスゴイ人、偉い人、一流の人ほど、礼儀正しく腰が低い」
ということだ。
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これは、俺が大学2年生のとき。バス会社で車掌のアルバイトをしているときのエピソードだ。
あるプロ野球チーム(差し支えないと思うので明かすが、広島東洋カープだ)の選手たちを、都内のホテルから後楽園球場(今の東京ドーム)まで、貸切バスで送っていく仕事があった。
球場に着くと、俺はバスを降りる選手たち一人ひとりに「お疲れ様でした!試合がんばってください!」と挨拶をして見送るわけだが、若い選手たちは、車掌の俺なんぞに挨拶を返してくれたりはしない。
しかしそんななか、球界を代表する超一流プレイヤーだった山本浩二選手と衣笠祥雄選手の二人だけは、俺の目を見てニコッと笑って「ありがとう!」と言ってくれたんだ。
超一流選手の二人にお礼を言われるなんて……。思わずゾクゾクしたことをよく覚えている。
そしてさらにゾクゾクしたのは、いちばん最後にバスを降りてきた古葉竹織監督の丁寧なお辞儀だ。
古葉監督は帽子を脱いで「私たちを安全に送っていただき、ありがとうございました」と、低く太い声をゆっくりと発しながら、深々と頭を下げてくれたのだ。
このころの広島カープは、リーグ優勝、日本シリーズ制覇を重ね、赤ヘル軍団として隆盛を極めていた。
その常勝球団の監督とスター選手のこの礼儀正しさ。俺はまだ学生だったんだが、むちゃくちゃ感動したものだ。
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一方で、中途半端に優秀な奴(優秀なように自分を見せようとしている奴)や、中途半端に偉い(と勘違いしている)奴は、いかん。
スポーツ選手だけの話ではなく、一般の会社員も含めて、すべての社会人に言えることだ。
中途半端に偉い奴は、態度がふてぶてしい。頭を下げるということを知らん。
自分の(相手より相対的に優位な)立場に安住し、ふんぞり返ってしまうんだな。あるいは、偉ぶることでしか自分の威厳を保てんのだな。
見ていて実に不愉快だし、痛々しいものだ。
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それはともかく。
お前たちは、とにかく礼儀正しくしろ。周囲の人たちに心から敬意を払え。
特に挨拶だ。
大きくはっきりと、心のこもった声で挨拶するんだ。相手の目をしっかりと見て、きちんと頭を下げるんだ。
就職活動中はもちろんだが、お前が社会に出て仕事をある程度こなせるようになった時こそが要注意だ。
人は少し仕事が出来るようになると自惚れ、ついつい他人に対して傲慢になることがある。
しかし、いつまでもそれが続くと、そういう奴からは人も仕事も遠ざかっていく。
でも悲しいかな本人は、そのことに気がつかない。そして、ついには自分自身の成長機会を逃してしまうんだな。
お前たちには、そんな残念な奴にはなってほしくない。
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本日の再録はここまで。うまれよの「れ」。なかなか熱が入ってましたね。
僕は子供の頃からエラソーにしている大人が大嫌いだったことを覚えています。
いまでもコンビニや吉野家や立ち食いそば屋で、店員さんが「ありがとうございました」って言っているのに、それに返事もせずに出ていく無愛想でエラソーな客を見ると、追いかけていって「おい、どーもくらい言えよ!」って怒鳴りつけたくなります(実際にはそんなこと勇気がなくて出来ませんがw)。
では、(すずふり亭でウエイトレスとして働く)みね子の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」っていう気持ちのいい挨拶を見てから行ってきます!