パフ代表の徒然ブログ「釘さん日記」

学生にも企業にも圧倒的支持を得ている大手就職サイト「○○ナビ」。

いや、「支持を得ている」というよりも、「利用者(社)を囲いこんでいる」という表現のほうが正確かな…(あ、まずい。毒舌モードのスイッチが入ってしまった、苦笑)。

 

きょう、こんなことがあった。

 

都内のとある場所(ビジネス街からは少し離れている)にある、とある中堅企業に伺った。

未上場ながらも、ビジネスの基盤は強固だし、従業員数は2千人を超えているし、売上も1千億円超だし、利益も数十億円なので、そんじょそこらの(大企業と言われている)上場企業よりもずっと立派な会社である。

しかしながら、学生への知名度はまったくといっていいほどない。

恥ずかしながら、僕も(とある方からご紹介されるまで)存じ上げなかった。

現在、某大手就職ナビだけを使って採用活動を行っている。ナビに対しては、かなりの広告費を使っている。知名度はないのだが、さすが大手就職ナビ。早期からかなりの数のエントリー者がいる。

また、学生に手渡すためのツールも、素晴らしいものを、きっちりと作っている。

説明会への動員も順調で、毎回ほぼ満席だ。

でも、人事責任者(役員)の方には大きな悩みがあった。

 
思うような(採用したい)人が、思うように採用できていないのだ。

いくつか問題がある。

 

・説明会はいつも満員ではあるのだが、「採用ターゲットではない人」で半数が埋まってしまっている。

・ナビにはたっぷりお金をかけているのだが、単に数を集めるだけの施策が中心のように見受けられる。

・ナビ上には、とてもいいコンテンツがリンクされているのだが、学生が探すことのできない場所にあるため見つけられない(制作費は相当に高かったろうに)。

・ナビ内に据え付けられたコンテンツもボリウムたっぷりで、しっかりしたコンテンツなのだが、検索やエントリーを目的としてナビを使う学生には読まれていない(と思われる)。

・上記コンテンツは、ナビの会社に著作権があるため、せっかくのコンテンツが他で流用できていない(おまけにナビ上で読まれていないのでは宝の持ち腐れ状態である)。

・説明会に来場した学生が一次選考、二次選考に進む率が良くない(大勢の説明会参加者や選考通過者のフォローに割けるパワーが不足している)。

・全国採用なのだが、東京だけでも手いっぱいで、なかなか地方の選考にまで手が回らない。

・内定者のフォローも、しっかりできているとは言い難い(半数程度は辞退してしまっている)。

・結果、採用は長期化し、例年、秋口までずっと説明会が続いている。

 

ざっとこんな感じだった。

・・・なるほど。

これは改善に向けて、パフがお役にたてることが、たくさんある。しかも、すぐにでも着手できることもたくさんある。かなりの効果が出そうだ。 

そう思った。

 

で、本日の日記で書きたかったのは、これから。

先方の人事の方々が、困った口調でこう仰った。

「実はいま、10年度の採用で○○ナビさんから追加の提案を受けておりまして…。やるべきかどうか悩んでいるんです」

「どんな内容ですか?」

「イベント関係を中心とした企画です」

「え?」

 

びっくりした。

 

この会社の課題は、僕が上記にあげたようなところにある。さらなる母集団の拡大ではない。また○○ナビの大型イベントでは、また採用ターゲットではない学生の母集団が増えるだけで、それじゃなくても人手が足らないこの会社は、にっちもさっちも仕事が回らなくなってしまうはずだ。

 

「で、どうされるんですか?」

「学生の殆んどを抱えている○○ナビさんの言うことですから、その通りにしなきゃいけないんじゃないかと思ってました……」

「ちなみその追加の提案はおいくらなんですか?」

「総額だと●●●●万円です」

「え。・・・・・・」(絶句)。

 
これ、多くの会社が陥っているワナである。

誤解のないように言っておくが、○○ナビの営業マンが悪いと言っているのではない。営業マンだって必死だ。この不況下、自社メディアの売上を上げないことには、自分の目標達成が覚束ないだけでなく、上(会社)からも相当に責められるのであろう。

しかも、○○ナビの営業マンが、採用に困っている会社に提案できる企画というのは、自社媒体(イベント含む)を使って、「母集団をさらに拡大しましょう!分母を大きくすれば結果の数字は大きくなりますから」ということくらいしかない訳だから、顧客の真の課題解決とは程遠い提案をせざるを得ない彼らも、可哀想といえば可哀想なのだ。

まあ、悪者を探すとするならば、こういう状況を許してしまっている、我々(大手就職ナビではない)同業者であろう。

また、本来はこの状況に苦言を呈さなければならないはずの採用コンサル会社も、その多くは○○ナビの出身者であったり、代理店であったり、ギブアンドテイクで生業を立てているところが多いので、苦言を呈すどころか、大手ナビ会社の片棒を担ぐ結果となってしまっているのだ。

 

パフの営業マンも、もっとしっかりしなければならない。

 

「うちの採用はすべて○○ナビさんにお願いしてますから結構です。ガチャッ!」なんていう、テレアポ時の(定番の)断り文句に引き下がって、シュンとしている場合か?

今こそ「○○ナビに頼りきった採用をやってて、ホントにいいんですか? 騙されてませんか?」と、問いかけるべき時なんじゃないかな。

 

ちなみに、本日伺ったこの会社には、

「いま悩んでおられる提案書も含めて、いままで○○ナビに発注した申込書を全部見せていただいていいでしょうか。必要なものと、そうでないもの(無駄なもの)を、見極めましょう!!」

と、僕から提案した。

答えはもちろん、「ぜひお願いします」だった。

 

さーて。明日から夜道を一人で歩くときは注意することにしよう(爆)。